ウロボロスの2025年。

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「ウロボロスの蛇」については、たぶんご存知の方も多いと思う。2頭のヘビが、互いの尻尾を飲み込もうとしている円形図だ。1頭のヘビが自分の尻尾をくわえている場合もあり、いずれにせよ「始まりも終わりもない完全なるもの」を象徴しているという。

またヘビは脱皮を繰り返し成長することから「死と再生」を意味し、ウロボロスの蛇はまさに終わりがないこと、つまり不老不死を意味することもある。不変、永続するもの。循環するもの。

ヘビが自らの尻尾をくわえ、円をかたどっているとしたら、それは「守り」の意味もあるだろう。円の中に位置することにより、安全であると思えるかもしれない。

元々、ウロボロスの概念はエジプト神話として生まれたようだ。太陽神ラーの航海を闇から守るため、円陣を組んで守護したのがメヘンと言われる蛇の神だというのだ。この形に名前を付けたのが、のちの古代ギリシャ人なのだそう。命の源である太陽の運行を、闇に妨げられない方法についての神話のようだ。ヘビは軍神でもあり、やはり守護する者として優秀なのだろう。

しかし無理に線を輪にして閉じることなく、一直線に伸びていくヘビにも勢いがある。

ヨーロッパで医療の象徴としてよく描かれている「アスクレピオスの杖」はご存知だろうか。イギリスでは医療機関のシンボルとしてしばしば目にするもので、ギリシア神話の医神アスクレピオスが持つ、ヘビが巻きついた杖のことだ。この場合、ヘビは大地が持つ治癒力、螺旋が象徴するパワーを表しているようだ。こうしたヘビの力は錬金術にも通じ、ちょっぴりオカルトの香りがする領域でもある。

しかし、和を描くウロボロスの蛇は、象徴学的に言うと、宇宙を象徴するのではないかと思う。メビウスの輪のように、永遠に続いていく何か。誰にも邪魔されない強さ。完結しているイメージ、と言えばいいだろうか。

日本ではもとより蛇信仰があり、白蛇は神様の使いであり、神そのもの。三輪山の神様だって蛇ですしね。大己貴命/大穴牟遅(おおなむち)=大物主というのだが、その名の響きと字面にヘビっぽさが^^;  「おおなむち」とは「大きな穴」という意味で、ようは「大きな穴にすむ蛇」のこと。「己」は「巳」に通じるということだ。「己」という漢字も、両端をつなげるとあら不思議、メビウスの輪のようにも見えるではないですか^^

2025年は、巳年。巳とは、己(おのれ)のこと。

というわけで、今年はウロボロスの蛇のように、調和を大切にしつつも、己を堅固にしていくイメージを持つと、思い通りの年になっていくのかもしれない。

新年あけましておめでとうございます! 旧年中はあぶそる〜とロンドンをご愛読いただき本当にありがとうございました。今年も引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2025年が皆さまにとって、素晴らしく幸多き一年となりますよう、心よりお祈りしております^^

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス。2014年にイギリス情報ウェブマガジン「あぶそる~とロンドン」を創設。食をはじめ英国の文化について各種媒体に寄稿中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。カルチャー講座の講師、ラジオ・テレビ出演なども。英国の外食文化について造詣が深く、企業アドバイザーも請け負う。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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