2月も半ばを過ぎ、2025年がまたもや飛ぶように過ぎ去ろうとしている。
私はと言えば、年末からずっと取り組んできた2つのプロジェクトに区切りがつき、ようやく今週末、ほっと一息ついているところだ。「飲めないのにバーが好き」という話をBritish Madeさんで書かせてもらったが、プロジェクトの一つは企業さんの依頼でロンドンのバーを巡ってお話を聞くというものだった。
2週間の間に、40を下らないバーを回ってバーテンダーさんと話をするうち、昼間のバーの様子などを垣間見ることができて面白かった。時にはカクテルを奢ってもらえたりね^^
カクテル作りの腕というのがあって、やはりベテランさんが作ると目が覚めるように美味しい。見習いさんたちは、まずはバーカウンターで人に見られながら上手に作ることに慣れねばならない。目立たないバーに入っているミクソロジストの中にも百戦錬磨の凄腕さんたちがいるし、店によっては有名店ならではの悲哀もあったりして、たくさんの勉強をさせてもらったのだった。
第一線で活躍する日本人ミクソロジストの中村充宏さんとの出会いもあり、ワクワクさせられることもあった^^ お話させていただいた時に、エスクワイアで取材されたとおっしゃっていたのだが、あっ!今日、この記事が公開されているではないか。ふむふむ。ロンドンのバーは奥深いね^^
もう一つは皆さんもご存知、文藝春秋の看板トラベルマガジン「CREA Traveller」。なんと2016年から9年ぶりにイギリス特集!
まだちゃんとした予告は出てないみたいですが^^; 私はお察しの通り、食の分野で参戦中。プロジェクトの途中から参加したので前回2016年のときのように全部のお店をリスティングしたわけではないのだが、おすすめのお店をご紹介しているのでお楽しみに^^ アフタヌーンティーとか驚きもありすごくよかった!
3月22日発売予定です♡
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というわけで今年は2月半ばまで仕事に専念していたのだけれど、日本から短期旅行で来た友人たちとのキャッチアップは必須。本ウェブマガジン「イギリスおかし百科」でもめちゃくちゃお世話になっているイギリス菓子研究家の安田真理子さん、そしてイギリスの犬事情について書いてくださっていたYORIKOさんが渡英。それぞれと楽しいひとときを過ごさせてもらった。ありがとうございます♡
そして・・・
個人的な出来事として記しておきたいのが、家族のように親しく付き合っていた20年来の友人が、昨年末に他界してお葬式などが1月にあったこと。
自宅が徒歩圏内にあることから病のお見舞いにも頻繁に行っていたのだが、ちょうどクリスマス前に亡くなり、周囲は驚いたのだった。治療もうまくいって今年は回復の年と思っていたからだ。脳腫瘍だったので体のコントロールが難しくなり、亡くなる直前まで意識もはっきりしていたのだが、突然帰らぬ人となった。
人生の節目には必ずいてくれた人で、クリスマスも共に過ごし、家族ぐるみで付き合っていた友人で、ここでは書ききれない想いがたくさんある。家が近所だったせいで地域コミュニティでも付き合いがあり、パンデミックの際にも行き来していた。カフェでお茶をしたり、人生の課題について打ち明け話をしたり、どんな仕事が一緒にできるかについて熱く語りあったりした。今でも近所のカフェの前を通ると、ふと「Sはいるのかな」と、彼の影を追ってしまう。とても寂しい。
きっとやりたいことが他にできて、一足先に旅立ってしまったのだと思っている。
1月20日、Sのお葬式があった。彼はこの世のものとは思えない静寂を湛える美しい林の中に永眠した。
その夜にトリビュート・ギグがあり、ふたたび友人・親族が集まった。
Sはもともとベーシストなのだが、晩年は(と書いてしまう)UKだけでなくUSベースの映画音楽制作やプロデューサーとして活躍しており、業界のコンサルタントなども請け負っていたようだ。Sには「クリエイティブ」というテーマで各界で活躍する人にインタビューし、人間の創造性について考察する本を出したいというアイディアがあり、私に「一緒にやろう」と話をしてくれていた。近所のカフェでそんな話をした時間が一番楽しかった。そんな本がいつか出せたらいいな。
Sはそういう人で、おそらく他の人にもいろんなビジネスのアイディアを話し、種を植えて、どの種がうまく成長し、実をつけることができるかをこっそり伺っていたのかもしれない。なんて。今となってはわからないけれど、話しているとワクワクするエネルギーをもらえる人だった。

トリビュート・ギグ! 親友たちに見送られて・・・。
Sのお葬式の様子を家族が撮影・制作し、YouTubeで公開している。
冒頭で親友たちがジミの「Little Wing」を、情感を込めて演奏しているのが切ない。
Sよ、安らかに眠れ。また会おう!