はじめてのサパークラブ

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初めてSupper Clubなるものに行ってみた。

イギリスでも都市部では外食を楽しむ人が劇的に増えてきたが、ひと味違う食のエンターテインメントとして、自宅を開放した有料のサパークラブがある。こちらのガーディアンの記事によると、サパークラブが本格的にロンドンに増え始めたのは2008年後半頃からだという。今や サパークラブの数も増えて、有名レストラン並みに人気のクラブもある。

私がお邪魔したのはバーモンジーにあるイタリア人オーナーの家で、彼と知り合いのケータリング業界で働く友人に誘ってもらったのだ。このサパークラブの名前は「Backdoor Kitchen」。イタリア人のロブさんが玄人はだしの料理の腕前を披露してくれる。彼はイタリアン・デリカテッセンで働く傍ら、自分の料理を大勢の人に楽しんでもらいたいと月に2回程度のペースでサパークラブを開催しているのだとか。

本日のシェフ、ロブさん(左)とアシスタント君。下は友人が持ってきてくれたハンガリー産のリースリング。料理にぴったりでした♪

本日のシェフ、ロブさん(左)とアシスタント君。下は友人が持ってきてくれた
ハンガリー産のリースリング。料理にぴったりでした♪

この日は5コース+プロセッコ1グラスで35ポンドのメニュー。もっと飲みたければ自分で飲みたいものを持っていけばいい。12名で満席になる。サパークラブの面白いところは、全く知らない人と同席してディナーを楽しむことになる点だろうか。それは友達のディナー・パーティーに参加するのとも違う感覚で、不思議な縁が生まれるかもしれないし、なんだか刺激的だし新鮮なのだ。

Grilled Sardines with Toasted pine kernels, Roast Pepper ketchup and Parsley foam

Grilled Sardines with Roast Pepper ketchup and Parsley foam

突き出しはグリルしたイワシに、ロースト・ペッパーのケチャップを添えた品。素材がフレッシュで自家製ケチャップも美味しかったのだけど、イワシに少しだけ塩を振ったほうがよかったのかも。しかしこのアミューズの後から、ロブさんの面目躍如といった感じの素晴らしい料理のオンパレードとなる♪

Mullet-san - Red Mullet bites and pan seared scallop served with asparagus, garden peas slowly cooked in butter, radish and watercress. Served with a saffron Hollandaise sauce and melted Guanciale slices.

Red Mullet bites and pan seared scallop served with asparagus, garden peas slowly cooked in butter,
radish and watercress. Served with a saffron Hollandaise sauce and melted Guanciale slices.

こちらは2コース目のホタテとレッド・ミュレ(ヒメジ)にグリンピースやアスパラガスといった春野菜を合わせた一品。カリカリ&ジューシーな豚トロ塩漬けグアンチャーレと、サフラン・ホランデーズ・ソースがよいアクセントに。この皿はとにかく素材の新鮮さが際立ち、味のバランスがよくて感心させられた。ちなみに写真は2名分。食材は近くのバラ・マーケットやモルトビー・マーケットから仕入れるというから、相当いいものを使っているはず。

Braised Iberico pork cheeks tortelloni in a soicy chicken jus served with poached langoustine and prawn, sauteed spinach, Samphire and morel mushrooms.

Braised Iberico pork cheeks tortelloni in a soicy chicken jus served with poached langoustine and prawn,
sauteed spinach, Samphire and morel mushrooms.

そして3コース目のこちら。陸と海の食材がこんなに仲良く一皿に寄り添っているなんて・・・ちょっとびっくりするくらい美味しかった一品なのだ ^^ 濃いめに味付けしたイベリコ豚頬肉のトルテリーニ、ポーチした特大海老とランゴスティン、アミガサダケが、とても上品な鶏スープの中で調和し・・・ 。海老とランゴスティンの火の通り具合、塩気も完璧。イベリコ豚に含まれる脂肪分のほかはほとんど油分なし。それでこんなに満足度の高い皿を作れるなんて、シェフのアイデアに脱帽!

Venison fillet served with roasted carrots, sauteed wild garlic, Jersey new potatoes on a bed of shallots macerated in wine. Served with a Vinho de Madeira based gravy. Plus secret dessert.

Venison fillet served with roasted carrots, sauteed wild garlic, Jersey new potatoes on a bed of shallots macerated in wine.
Served with a Vinho de Madeira based gravy. Plus secret dessert.

4コース目はマデイラをベースにした甘めグレイビーと共にいただく鹿肉のロースト、ジャージー・ポテト、ベイビー・キャロット、シャロット。鹿肉も柔らかく、野菜は言わずもがなの新鮮さ。これは男性陣が喜んで食べていたかな ^^   写真は4人分。

友人によるとロブさんは「デザート作りはさほど得意じゃない」と言っているそうだが、そんな自己評価なんてふっとんでしまうくらい美味しかったのが、見た目は今ひとつだけど味のよさが際立ったオリジナル・デザート。正確な素材を聞き逃してしまったけど、チョコレート・スポンジとフルーツ入りのしっとりスポンジでヘーゼルナッツのクリームを挟んでイチゴのソースを添えたものだったと思う。小さなピースで大きな満足を得られる、スイーツ好きのためのスイーツだった。

これらの料理は全て、ロブさんの家の、ごく普通のキッチンで作られる。買い出しから下ごしらえなど考えると大変な作業だと思うが、客の喜ぶ顔が何よりのモチベーションになっているに違いない。ロブさん、ごちそうさま! サパークラブ、なんだかクセになりそう♪

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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