Toklas Bakery & Cafe トクラス・ベーカリー&カフェ
英国の名だたるアート・メディアが、パン屋さんを立ち上げたら? 一体どんな感じになると思う?
その答えを先日、見つけてしまいました。ウエスト・エンドのはずれ。ロンドン大学のキングス・カレッジの目と鼻の先、サマセット・ハウスの裏手にひっそり、Toklas / トクラスというレストランが2021年10月に誕生し、その1ヵ月後にベーカリー部門が隣接してオープンしていたのです。私は別のことをリサーチしていて見つけたのですが、開業1年超、これまで気づかなかったことが悔やまれますw 周辺で働いたり勉強したりしている人以外、まだあまり知られていないのかなぁ?という感じを受けているのですが・・・。
Toklasと言う名前の響き、お料理の感じから流行りの地中海レストランで、オーナーもその周辺かと思っていたら、これが大違い。
トクラスは20世紀初頭にパリで活躍したユダヤ系アメリカ人アーティストでライターのアリス・B・トクラスの名に由来しているのだとか。彼女はほぼ生涯に渡ってガートルート・スタインのパートナーだった女性で、レシピ本を書くほどの料理人でもあったそうです!
そしてオーナーさんは、イギリスでよく知られたアート雑誌「Frieze」の創業者! トクラスさんの料理本に大いなるインスピレーションを得たからということが命名の理由のようですが、1920年代パリの華やかなりしアートシーンに敬意を表したのかもしれません。
レストランとベーカリーは、この1970年代のブルータリスト建築に収まっています。近くには威風堂々とした最高裁判所や謎めいたテンプル寺院、サマセット・ハウスその他の歴史的なアトラクションがあり、街の深い歴史に心を寄せつつ散歩したくなるエリアでもあります。
店内はとても広くて、2つのスペースに分かれています。注文カウンターのある小部屋を抜けると、奥にとっても落ち着ける飲食スペースが。今のところ平日も土曜日も、私が訪れた日は時間帯に限らずさほど混んでいなかったので、「穴場」と呼ばせていただきますねw
レストランのベーカリー部門だけあり、平日は美しいサラダやキッシュ、ピザやサンドイッチなどを用意しているのでランチ時に立ち寄っても後悔はしません。それにしても、ペイストリー類の美しいこと・・・! 何度通えば全部制覇できるでしょうか^^
さっそくキッシュと日替わりサラダを注文♪
佇まいの美しさに魅せられます♡ サックリとした薄いクラスト生地もお見事。お茶も入れてこれで12.80ポンドだったので、お手軽なクオリティ・ランチを求めているあなたにピッタリではありませんか。
甘いペイストリー類もいくつか試してみました^^(セイボリーもあります!)
イチオシは上品なピスタチオ・クリームを楽しむ俵形のペイストリー♡ シグニチャーの一つだと思います。生地はサクっとした本格派。職人さんの矜持を感じる仕上がりであります。
こちらの可愛いお花形のデニッシュはアップル・カスタード味。 薄くスライスしたリンゴの上にこれまた甘さ控えめの上質カスタード・クリームがのっています♡
次回の訪問で楽しみにしているのは、マーマレードとアーモンドのボストック。気になるでしょ? 熱い紅茶が合いそう。
この素晴らしい芸術品の数々を生み出すベーカリー部門を監修しているのは、イギリスにおけるアルチザン・ベーカリーの立役者の一人であり、ブレッド・コンサルタントとして多方面で活躍しているアダム・セラーさん。そしてヘッド・ベイカーはヨハネスブルグ生まれのジャニーン・エドワーズさんで、彼女も以前はLittle Bread Pedlarでヘッドを務めていた経歴のある素晴らしい人材です。
そして今回いろいろ調べていてわかったのですが、レストランの方は昨年5月からYohei Furuhashiさんという日本人のヘッド・シェフが就任しているんです! というわけで、近々レストランの方に乗り込んでみたいと思っております。乞うご期待♡