Snackbar スナックバー
オランダの飲食カルチャーといえば、ゴーダ・チーズやホワイトアスパラガス、酢漬けのニシン、それに色んなソースをかけたホクホクのフリッツ(ポテトフライ)、ボリュームたっぷりのアップルパイくらいしか知らない私が出会った、洗練の「スナックバー」がこちら。
オランダでは、簡単な軽食を扱う店のことを、スナックバーと呼ぶのだそうです。東ロンドン・ダルストンに登場している「スナックバー」のオーナーさんは、オランダはマーストリヒト出身のフレディー・ヤンセン / Freddie Janssenさん(若いときのブリジット・バルドーに似ている^^)。トレンド・リーダーのようにも見える彼女のスナック好きオランダ魂が、このキュートでクールな小さなお店を完成させたのです。
フレディーさんは世界のトップ50レストランの常連でもあるショーディッチのLyle’sでマーケティング部長だった経歴もあり、さらには発酵やピクルスの専門家として既にレシピ本も出版されている我が道を追求する人。いくつかのポップアップで経験を積んだ後、スナックバーを立ち上げました。それは2019年、ちょうどパンデミックの5ヵ月ほど前のこと。
独立系のレストランやブティックが並ぶダルストンでも指折りのファッショナブルな通り、Dalston Lane沿いを東へ下っていくと、真っ黄っきの個性的な店舗が、右手に見えてきます。
中に入ると、真っ黄っきのテーブル、そして真っ黄っきのお花! デザイン性の高い骨太なインテリアは、無駄を排したデザインの本場でもあるアムス風なのかもしれません。どこからどこを見てもバシッと決まってる、スナックバーなのであります^^ このインテリアだけでも見にくる価値あり。
ところで「スナック」ってなに? と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ヨーロッパでスナックというと、正規の食事と食事の間にいただくおやつのこと。日本で言うスナック菓子のことではありません。
イギリスでスナックと言うとき、それはサンドイッチだったり、菓子パンだったり、チップス(ポテトフライ)だったりします。オランダでも同じように、小腹がすいた時にいただく軽食のことをスナックと言うようで、ここ、スナックバーでもコンセプト通りにサクッと軽くいただける楽しいスナック・メニューが揃っていました。
そう、そうなのです。さりげなくもユニーク。かつ目が覚めるような高級レストラン風プレゼンテーションに唸らされる新世代のスナック! 見てください、まるでファイン・キュイジーヌのようではありませんか・・・
こちらはコーン・ブレッド。ほどよい厚さにスライスされたコーン・ブレッドは上出来の美味しさ。さすがピクルスの達人のお店だけあり、甘さ、酸っぱさ、旨味のバランスが実にいい塩梅なのです。白いのはヨーグルトソース。そしてピンク色の蕪のピクルスが全体にシャキッとメリハリをつけます。
もう1品は、スモークした七面鳥のパイ!
インドのパラサ風に揚げたパイの中には、これまたよい塩加減の温かいスモーク・ターキーが詰まっていて、付け合わせのポテト・サラダ+セロリのピクルスとの相性抜群。誰がこんな素晴らしい食材の組み合わせを考えたのでしょう?
それはパッと選んで入った “Caff” のクオリティが、驚くほど高かった時の感動に似た、高揚感のあるランチでした。
バナナブレッドの話をしなくてはなりません。
これはただのバナナブレッドではありません。それはタヒーニ入りのバナナブレッド。
実は最初の訪問のときにいただいたのですが、甘さ控えめであるだけでなく、塩気が強いんですよね。どちらかというと、味噌ブレッドみたいな感じ?
正直、すごく美味しいとは思わなかったのに、2度目の訪問でも怖いもの見たさ?でまた注文してしまいました^^; そして、やっぱり同じ感想!(笑)。とはいえ2回ともバナナブレッドだけは必ず豊富に用意されていたので、おそらくここのシグニチャーでもあり、そしてフレディーさんの好物でもあるのでしょう。
上の写真の左側のイメージは、トイレの壁にかかっていたネオン文字。テーブルに載るカトラリー入れに至るまで、フレディーさんのオランダ的な美学が行き渡ったデザイン天国です。
料理はキレキレの美味しさ。デザイン好きにもおすすめしたい、とっておきのスナックバーです♡