第29話 ミニマリズムの落とし穴・パート2

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minimalist


Chapter 4.2
ミニマリズムの落とし穴・パート2

さて今回も引き続き、ミニマリスト生活を始めた人たちが陥りがちな落とし穴についてあげてみますね。(パート1はこちら

<落とし穴その3>
小さくまとまってしまう
ミニマリズムではモノを減らす・無駄を省くといったフレーズがよく使われるせいか「簡素・質素・節約こそがすべて」という風に解釈されてしまうことがあります。

そして将来への不安を抱える人が「今のうちから物欲や煩悩を減らしておいて、貧しくなっても傷つかなく済むような境地に達しよう…」とどんどん小さくまとまってしまうことも。

やってみたいことや学びたいことができたのに、新たに道具が必要だったり、お金や時間がかかるからやらない。あるいは「モノはいらない=お金は悪者」とお金アレルギーを起こして、世捨て人のように生きる。

ひとつのあり方ではあるけれど、せっかく自由に使える時間や空間やお金ができたのにちょっともったいないですね。

ミニマリストになるための経済的な条件はありません。お金持ちでもごく普通でも貧乏でも、自分で稼いでいなくても構わないのです。

たしかに、買い物をやめられない人がミニマリズムを知り「買い続けてしまう真の理由」を理解することであっさりと中毒を克服したり、借金生活を卒業できたというような例はたくさんあるので、経済的に困っていたらそれだけでも試してみる価値はあります。

でも本当に面白くなるのはこの先。

  • 時間やお金がなくて無理と思っていた習い事やビジネスを始めた。
  • 家族とたくさん時間をもてるようになった。
  • パートナーとの関係が深まった。
  • 仕事に対する姿勢が変わった。
  • 転職した。
  • 豊かになった。
  • なぜか怒らなくなった。
  • イライラが減った。
  • 健康になった。
  • 出会いが増えた。
  • 交友関係が変わった。
  • 幸せを感じられるようになった。
  • やりたいことが見つかった。
  • 「やりたいけどできない」って思わなくなった。
    …などなど。

モノへの精神的な依存や保管場所が必要なくなると、どんどん身軽になって、その人の人生が動きはじめます。

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「これがなくなったら○○って思われる(○○と思われるのが怖い)」「いつか・また使うかも(必要になった時にないという状況が怖い)」「××のことが許せない(許してしまったら相手を野放しにすることになる、自分の気が収まらない)」「あの人のことが忘れられない(その人なしの人生が耐えられない、1人が怖い、前に進めない)」。

…必死にしがみついていたものたちを手放すと「あれ?意外と大丈夫だ!」ということに気がついたり、しがみついていたモノ自体が自分の足かせになっていたことに気がつくからです。

(この仕組みについては15話「ザワザワが消えたあと」でも触れていますので読んでみたくださいね。)

そして、物理的にもやっぱり身軽です。

家がキレイなので来客時にあわてない、モノが行方不明にならない、掃除がラク。どこをみても好きなモノだけ。家に帰ってくるのが楽しい。頭もスッキリ…というレベルは当たり前。

「旅に出たい!」って思ったら、簡単にアパートを引き払って気ままな旅へ。浮いた家賃で旅の費用をカバーすることだってできてしまう。仕事をしながら世界を旅するようになったノマド一家もいます。

「縛り」や「いらない」をミニマムにしたら、自由にマキシマムに生きられる。

もちろん、再びいらないモノでスキマを埋めなければの話、ですけれどね。

<落とし穴その4>
「モノが買えない」と思われてプレゼントの山をもらう

これは、これまでの3つとはちょっとタイプの違う落とし穴。
ミニマリズムを始めるとほとんどの場合、その人の持ち物が大幅に減ります。そこにやってきた事情を知らない家族や友人ががらんした部屋を見てびっくり。

「もしかしてこの子は服も買えないぐらい困っているのかしら、コーヒーカップも買えないのかしら」
「もう少し部屋を飾った方がいいのに」
と心配あるいは同情し、たくさんの(本人には必要のない)プレゼントをくれたり、自分の家の「いらないもの」をどんどん持ってきてくれるという笑い話のような事態が発生することがあります。

服は似合うものと好きな物だけに減らしただけ、コーヒーカップは必要な数にしただけでも、理解してもらえないことってあるものです。
モノは多いほど豊かでよい、処分するなんてとんでもないと考える人も沢山います。

こういったケースにどう対応するかは人それぞれですが、「心配してくれてありがとう」と相手の気持ちに感謝した上で正直に冷静に話をしてみてください。

あるいは部屋を見てびっくりしている相手に「これからは大切な物だけ厳選して持つことにしたんだ。スッキリしていいよ」「買えないんじゃなくて、買わないんだよ。いらないの。」「なんでも捨てるんじゃなくて、寄付したりリサイクルして役立てているよ」と先手を打って、自分のミニマリズム・ジャーニーを楽しそうに話してしまう。

理解してくれそうにないな、と感じた相手にはあえて詳しい説明をする必要はないと思います。「『ミニ何とか』なんて変な宗教にハマっちゃって、こんなに身辺整理しちゃって、もしかして自殺志願?!」とさらに心配されることもあるんだそう…!

…さて以上4点、いかがだったでしょうか。ミニマリズム・ジャーニーにすでに乗り出された方には「あるある!」と共感できる箇所があったのではないでしょうか。

かくいう私も落とし穴にハマった経験あり。色々リサーチしたり観察して知っているつもりでも、ついやってしまうものなんですね。

それでも思います。軽やかになると、人生が動く。

そろそろ、動かしてみませんか?

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About Author

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写真家&ライター。東京で広告制作・編集と撮影の仕事を経て2003年渡英。フリーランスで活動中のアーティスト。ロンドンをベースにアーティストや作家をモデルにした絵画的なテイストを持つポートレート制作などを行う。英国をベースとしたエキシビションを開催。日常系ミニマリズム研究家。「あぶそる〜とロンドン」編集長、江國まゆ氏と共に2018年に『ロンドンでしたい100のこと(自由国民社)』(執筆&撮影)、そして2020年には『レス・イズ・モア 夢見るミニマリストでいこう。』を出版。

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