引っ越し、そしてウィリアム・モリス。

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minimalist


ただいま久々の引っ越しを計画中
引っ越し歴約20回と移動の多い人生の中で今の家は約10年、これまでで一番長く暮らした思い出がいっぱい詰まった場所です。

家族も増えたし、自然とモノたちも増えました。
渡英してからも何度も引っ越しを重ねましたが、最初のうちは全財産がスーツケース1つにおさまっていたことを思うと感慨深いです。

しかしこれを機に少しスリムになって、お気に入りだけに囲まれ、すっきりしたお部屋で新生活を始めたい。

不動産屋が写真を撮りに来る日に向けて、ロックダウン中に溜まってしまったモノたちの大処分に取り組みました。

お引っ越しとダイエット

最初に生活の変化や家族の成長によってもう要らなくなってしまったもの、使えなくなってしまったものをバッサリ処分。大好きで手放せない思い出グッズは、スペースを限定してキープします。

ただの整理整頓ではない、ミニマリズム的片付けはまるでダイエットのよう。

いらない脂肪を落として、必要なところには程よく筋肉をつけて、理想のボディを目指す感じ。ジャンクフードばかり食べていると体調を崩すことがあるように、家が「なんとなく」のもので溢れかえっていると、生活も乱れてしまう気がします。

そしてダイエットしすぎも考えもの。「ミニマリズム=必要最低限」と考えられがちですが「大切なものを本当に大切にしていれば、あとは必要ないよね〜」というのがもともとのセオリー。やみくもに減らすと生活が楽しくないので、自分にぴったりくる量にスリムダウンするのがコツです。ある面では何かを増やすケースだってあります。

ロックダウン中に作った絵の1つ。まだ処分を決めかねているのだけど、欲しい人います?(笑・でも真剣)

メンタルパワーは大切なことに使いたい

いわゆる断捨離、「処分する」タイプの片付けは、思っている以上に精神的パワーを使います。それは人が1日に選択できる数(=脳で処理できる量)はある程度決まっているからだといわれています。

何かを選び取る作業は残りの選択肢を手放すこと。つい損得勘定をして「選択疲れ」状態になって挫折する。とりあえず全部キープすることで、自分のメンタル・パワーを温存してしまうのです。人って変化がめんどくさい生き物だから。

ちなみにこの心理はマーケティング用語で「ジャム理論」と呼ばれています。商品チョイスが多すぎると頭が選択疲れを起こし、何かをを選択するのを諦めてしまう現象を証明したものなんだそう。

たしかに「ランチセット、30種類の中からお選び下さい♪」よりも、A・B・Cと3つぐらいの方が悩まず選ぶことができますもんね。

国のリーダーや経営者が決断力や集中力を研ぎ澄ますために、優先度の低いところはチョイスをあえて切り捨てて「朝ごはんはいつもこれ」「服はこの組み合わせだけ」と大胆に一択制にしているのは、そんな意味もあるらしいです。

もちろんファッションが好き、食べるのが好き(→私もそうです♪)という場合はこの限りではありません。でも「バラエティこそが大切」というのは、時には幻想だったりすることもあるんです。

拙著「レス・イズ・モア 夢見るミニマリストでいこう」には、この選択肢にまつわる心理やマイナス面について「せんたくし症候群」という名前でくわしく紹介しています。

私もこの際にスッキリして、今取り組んでいることにもっとエネルギー集中したいという気持ちもあるんです。

引っ越ししなくても使える、3つのルール

次は新居へもっていくモノ選びです。
家族のモノはそれぞれにお任せするけど、私自身は普段から悩まないために3つのルールを使って「いる・いらない」を決めています。

それは
①大好きかどうか
②今、使っているか(季節モノは除く)
③これがなくなったら、同じようなものを買い直すか。

この3つのいずれかに当てはまらないものは、「これまでサンキュ〜」とサヨナラします。
「もったいない」「いつか使うかも」系がその代表です。

特に3つ目の「これがなくなったら、同じものを買い直すか」という問いはとてもパワフル。今までの前提や思い込みをいったんゼロにして、基礎(ベース)がない状態で考えるため「ゼロベース思考」とも呼ばれています。煮詰まった時、アイデアを生み出すのにも役立ちます。

モリスさんを見習いたい♪

「モダンデザインの父」と呼ばれるイギリスのウィリアム・モリス(1834-1896)は、

“Have nothing in your house that you do not know to be useful, or believe to be beautiful” 「役立たないもの、美しいと思わないものは家に置いてはならない。」

という名言を残しました。
リバティー・プリントで知られるモリス氏は、優れたデザイナーで思想家でもあり、詩人としても活躍しました。美しい活字に美しい用紙、そして美しく製本された理想の書物を生み出すために印刷工房ケルムスコット・プレスを創設したほどの美学の持ち主。

美しいものに囲まれて暮らすことに妥協をしなかったモリスの思想が伝わってくるようで、このフレーズを思い出すたびに、スッと背筋が伸びる思いがします。

※この家で前回に大型ディクラッター(ガラクタ捨て、断捨離のこと)を行った時に起こった、ちょっと面白い現象については以前の記事でご紹介しています。こちらもよかったら読んでみてくださいね♪

麗しすぎる本の数々。ウィリアムモリス・ギャラリーにて。

 

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About Author

写真家&ライター。東京で広告制作・編集と撮影の仕事を経て2003年渡英。フリーランスで活動中のアーティスト。ロンドンをベースにアーティストや作家をモデルにした絵画的なテイストを持つポートレート制作などを行う。英国をベースとしたエキシビションを開催。日常系ミニマリズム研究家。「あぶそる〜とロンドン」編集長、江國まゆ氏と共に2018年に『ロンドンでしたい100のこと(自由国民社)』(執筆&撮影)、そして2020年には『レス・イズ・モア 夢見るミニマリストでいこう。』を出版。

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