第43回 スーパーパワーを取り戻せ♪ part3

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Chapter 6.03

スーパーパワーを取り戻せ♪ part3

お久しぶりです。編集長ブログでも先日お知らせがありましたが、私も宣伝しちゃいます。あぶそるーとロンドンの面々が厳選した、ロンドンのとびきり素敵な過ごし方100を紹介した本「ロンドンでしたい100のこと」が7月3日にいよいよ発売されます!
私も場所選びや本作りのお手伝いをさせていただき、とても大切な本になりました。私も今夏はこの本を手にあらためてロンドンを制覇したい。お手にとっていただけたら嬉しいです!

さて、前回からの続き。

ミニマリズムによってその人が本来のパワーを取り戻す段階で、多くの人がちょっとした揺り戻しを経験します。大きく分けるとそのタイプは2つ。

1つは「今のままが楽」という気持ち。不満もあるけど、現状維持しておけば今より悪くはならないだろうという状態です。変化を起こす決心がまだできていないので、その前で留まっている段階です。これは準備ができた・できないに関わらず「やってみよう」と小さなステップを踏み出した時点で解決します。

人によっては前に進むのが怖くて前段階に逆戻りし、空いたスペースをもう一度埋めるように買い物を始めたり、反対に「少なく持つ」ことに異様にこだわったり、「上手くいかないのは○○のせい」と非難したり、点検ポリスになったりする場合もあります。過去のコラムでこの現象についてはたくさん触れたので、ピンとくるタイトルがあったら読んでみてくださいね。

そしてもう1つの揺り戻し。これは無意識に自分を邪魔してしまう「セルフ・サボタージュ」。これは自分ではなかなか気がつかないだけに厄介です。

これは色々やりたい!と意欲的に思っている一方で、「そう上手くいっては困る」という心理が裏で働いている状態。次のステージに進むにはこれまで怖いので考えないようにしてきたこと、つまり「真の課題」と向き合う場合が出てくる。それがイヤなので知らず知らず自分で自分を邪魔をしているという訳です。

例えばやりたい事があるのにそのための準備やリサーチ、勉強だけで何年も経ってしまう。一見いろいろやっているので前向きな感じがしますが、実際に「○○をやる」そして「自分と向き合う」という真の課題を避けているのなら、「いつかやろうと思っている」だけで終わる可能性もあります。

そして、もっとスキルや知識を蓄えてからでないと…という完璧主義は、うまくできるかどうか分からなくて怖いという気持ちの表れ。新しい挑戦に不安はつきものですから、否定などせず「そうだよね、怖いよね。」とちゃんと認めて、やりながら学んでいくぐらいの姿勢でいい。出来上がりや評価はその先の話です。

また「誰かの役に立たなくては」「人を感動させなくては」「成功しなくては」と最初から気負いすぎて、身動きが取れなくなっている場合もあります。これも完璧主義の一種。自己満足・自分本位でまったく構わないのです。

ここで、私が参加しているフリーランス仲間のミーティングでのエピソードをご紹介したいと思います。

このグループにはビギナーもいればベテラン選手もいて、それぞれの職種も様々なのですが、そのうち数人が「ウェブサイトを作りたいけど、まずプログラミングを学んで、そしてサイト写真用に写真を学んで、あ、カメラも高いのを買って、そうだ、ブログのためにリサーチをして…」といった風になかなかサイト完成にたどり着かない。

「難しい…」と悩んでいるので「サイトはテンプレートで簡単にできるからゼロから勉強しなくても大丈夫。今のカメラでも十分だし、機材にかけるお金とスキルを学ぶ時間を考えたらプロに頼んだ方が早いよ。」と周りでコメントしたら「それではズルになる、ちゃんと自分でやらないと」と拒否。

不思議に思って話をしていたら、実はスキルや外見にコンプレックスを抱えていてサイトやSNSに「作家」「プロ」として顔写真を載せたくないのだということが分かりました。

イヤなら無理して載せなくてもいいと思うのですが、「プロなら顔写真は必要である」という思い込みと「でもヤダ!」という内心の思いがバッティングして、自分で余計なタスクを作り出してそれに追われ、いつまでもサイトを立ち上げることができないというスパイラルに陥っていたという訳だったのです。

これこそセルフ・サボタージュの典型的な例。

さて、その数ヶ月後。

悩んでいたうちの数人は見事サイト開設を達成しました。思い切ってプロフィール写真を載せた1人は、周りから賞賛の声を浴び、ああ、自分ってそんなに悪くないのか…と嬉しくなったと報告してくれました。

一方で、いまだローンチにたどり着かないままの人もいます。また完成はしたもののすぐ投げ出してしまい、再び別のプロジェクトで「忙しい」人もいます。サイトがなくても口コミだけで全く問題がなかったという人もいます。

もちろん、ビジネス面から見ればさっさとサイトを立ち上げて軌道に乗せ「成功」することが大切と言えるかもしれません。

でも私は上記の例はどれが良い・悪いのではないと思います。もし「できる!」と思えないなら、無理しなくてもいいのです。

人生の時間はつねに直線的に流れている訳ではありません。時短や効率、発展だけが全てでもない。「なんでこんなに悩むんだろう?」とサイト開設という作業を通して自分と対話したり、寄り道したり、自分にぴったりくる生き方を見つけたり、逆戻りしたりしながら自分を知る時間はとても貴重で愛おしい。

後から振り返ると、その時は無駄だと思っていた時間やただ無心に遊んでいた時に生まれた出会いが今の自分を支えてくれていることに気がつく事もよくあります。人は子孫を残すためだけでなく、色々な経験をするために生まれてきたはず。だから、一人一人が自分のペースで独自の道を歩んでいい。
その方が教科書通りより、オリジナルで面白い人生になるんじゃなかな。

上手くいかなくても、悩んでも、まるごとぜんぶOKなのですよ。

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About Author

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写真家&ライター。東京で広告制作・編集と撮影の仕事を経て2003年渡英。フリーランスで活動中のアーティスト。ロンドンをベースにアーティストや作家をモデルにした絵画的なテイストを持つポートレート制作などを行う。英国をベースとしたエキシビションを開催。日常系ミニマリズム研究家。「あぶそる〜とロンドン」編集長、江國まゆ氏と共に2018年に『ロンドンでしたい100のこと(自由国民社)』(執筆&撮影)、そして2020年には『レス・イズ・モア 夢見るミニマリストでいこう。』を出版。

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