ファッショニスタ首相をめぐる政治とファッションの争い

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おなじ女性として、英国の女性首相に続き米国に女性大統領が誕生しなかったことに(というよりあんな男が次期大統領になることに!)、ショックがあとを引いている年末です。ご存知のようにブラジルと韓国では女性大統領が失職。ドイツのメルケル首相には頑張っていただかなきゃ…。資質や手腕やともあれ、決して世間が放っておかないのが、女性政治家のファッション。いま、メイ首相のレザーパンツが物議をかもしています。

先月、メイ首相がダウニング街10番地で、サンデータイムズ紙のセレブなフォトシュートに応じた際、赤いソファに座ってポーズをとりました。問題視されたのがこのときのファッション。キャサリン妃の御用達ブランドAmanda Wakely のレザーパンツはお値段が995ポンド! くつろいだ雰囲気の演出ですからね、さすがにヒョウ柄のヒールはNG? で、メイPMがお選びになったのはBurberry のスニーカー。295ポンドなり!

ブレグジットのせいで、景気後退の覚悟を国民が迫られているこんな時期に、「庶民とかけ離れた(金銭)感覚」とかみついたのが、モーガン元教育相(女性)です。仲間内(女性たち?)で話題になっているそうで、洋服にそんな大枚を払ったのは「ウェディングドレス以外にないわ」とコメント。けど、別の仲間のMP(女性国会議員)が、今度はこれに「キャメロンのスーツはその3倍でも問題にならなかったのに」と非難のつぶやき

たしかに…。政治家のファッションが話題になるのは、おそらく、女性の場合のみ。ですが、こうなるともう、女同士の醜い争い。メイMPは自他ともに認めるお洒落好きの首相ですから、ご本人にしてみれば洋服の価格が問題になるなど頭にもなく、トップ政治家には珍しい洗練されたファッションセンスを、披露したかったのでしょう。けど、メイPM、せめてこのフォトシュートのときだけでも、H&MかZara になさればよかったのに?

忘れもしません、わたしがロンドンに住んでいた今世紀初頭、メイMPが(たしか)枢密顧問官になって注目を浴びたときに、はいていたヒョウ柄の「キトンヒール」がタブロイド紙の表紙を飾ったことを(今回の件も、もちろんサン紙が記事にしてます)。故サッチャーPMのお召し物を振り返れば、わたし自身、ちょっとした驚きでした。ですから、世の中の男性たちにしてみれは、それほど刺激的なファッションだったのでしょう。

女性政治家のファッションは、個人的な好みで言うなら、アンギー(メルケル首相)の地味さ(体型的に冒険できない?)は退屈すぎ。一方、ミャンマーのアウンサンスーチー国家最高顧問の華やかさが好きでしたが、ロヒンギャ弾圧を知り、見るたびに新しいオーダーメイドの衣装に、いくらかかってんのかしらん?と、勘ぐらずにはおれないこのごろ。というわけで、政治姿勢によっても女性政治家のファッションの見方は変わります。

公人の「華美」な装いを嫌う傾向のある日本では、(好き嫌いはおいといて)小池東京都知事がベストドレッサー賞に選ばれ、民進党の蓮舫党首は左右異なるピアスで記者会見に登場。だいぶ変わってきてはいるようです。政治家ではないけれど、国家元首の奥方や家族のファッションもつねに話題になります。ファーストレディーでは、つい最近、ファッションレーベルを発足させた英国の元首相夫人、SamCamは、まあまあのセンス?

米国では、スタイルアイコンのジャッキー以来の、ファッションの話題をさらったのがミッシェル夫人(エリザベス女王に面会するさいにカーディガンを着て、大ひんしゅくを買いましたが)で、どんどんグラマラスに変化しましたよね。ところで、米次期大統領ファミリー(とりわけ、ピンヒールをはいた妻と娘たち)が一堂に並んだ光景を見て、なんだかすべてが嘘っぽ~い(嘘だったらいいのに)、と思ったのは、わたしだけでしょうか?

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About Author

京都東山の生まれ。19歳から雑誌の仕事(編集者/スタイリスト/コーディネーター/ライター)に携わる。英国では、憧れのフローリストの下での花修行や、尊敬するアーティストが学んだカレッジで現代アートを勉強し、通算11年間のロンドンライフをエンジョイした。オーサカン(大阪人)となった今も、“心”はロンドナー。変わらぬ日課として読むUK のオンライン新聞から、旬なニュースをあぶそる~とロンドンのためにピックアップ。帰国後は本の翻訳を手がけ、この5月に『ヴェネツィアのチャイナローズ』(原書房)、2014年7月に『使用人が見た英国の二〇世紀』(原書房)、ほかを上梓。ロンドンで目覚めた世界の家庭料理チャレンジ&花を愛でる趣味ブログserendipity blogは、開設して11年目に突入。

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