プラスチック汚染

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決して、最近沸き起こった新しい問題ではないものの、やっぱり気になって仕方ないのが、プラスチック汚染の問題です。わけてもマイクロプラスチックに関しては、(薄々知ってはいたものの)ほぼすべての食卓塩に含まれている、という衝撃のこの記事を昨秋に読んで以来、目に見えないプラスチックの粒が、じわじわと体のどこかに積もっていっているような気にさえなっていました。プラスチック汚染問題を定期的にとりあげているガーディアン紙は、連日、記事をアップデートしています。正直、読むとたいてい落ちこみますけど、最近報じられた記事では、製造業者や小売り業者が取り組むポジティブな話題も。

たとえば、毎日何気にお湯を注いで飲んでいるティーバッグの袋の素材。いつの間にか、石油由来のポリプロピレン製が主流になっていました。が、環境問題に配慮せざるを得ない大手紅茶メーカーは、植物由来の素材に切り替えつつあるようです。また、英国人なら愛着を持っているあの「Quality Street」の包装も、現在は土に還る素材で製造されたセロファンを使用しているという話や、どう考えてもプラスチック以外は想像できないあのLEGO も、100%植物由来の素材でできたブロック(木や草形のピース)を含むセットを年内に発売する、という話題も。LEGO ではバイオプラスチック使用の開発に前向きのようです。

大昔(2000年ごろ)、モロッコ旅行でアトラス山脈を越えていたとき、雄大な自然を背景に風に舞うカラフルなレジ袋が目に入り、悲しくなったことを思い出します。そのレジ袋の有料制度の延長など、メイ首相がプラスチック問題に25年かけて取り組むことを1月に改めて表明し、緊急を要するのにそんな気の長いことでど~すんの!と野党や運動家から猛反発されてましたね。それでも、英国政府がマイクロビーズの使用を全面禁止にしたのは正解です。歯磨き粉や洗顔スクラブなどで使われている(なんて知らなかった!!)というこのマイクロビーズについては、日本では(わたしの知る限り)話題にもなってませんから。

エコバッグを使ったり、使い捨てプラ製品をやめたりと、環境問題は消費者の意識改革も重要。で、暖かくて軽くてしかも安価な、ペットボトルを再生した合成繊維のフリースを着てるから、エコでしょ、と思いきや、じつは洗うたびにマイクロプラスチック繊維が水とともに流れていっているという話ですし、海塩ではなく岩塩を使うようにしても、加工食品などから口に入ることは避けられません(食物連鎖を考えればなおのこと?)。プラスチック汚染は、知れば知るほど何もできなくなってしまいます。ま、地球にとってどっちがマシでどっちを優先すべきか?のほどのことでしかなくとも、正しい知識を得る努力はしましょう。

話変わって、先月下旬のヨーロッパ各地は、さながら「ミニ氷河期」でしたね。雪景色になったロンドンの画像や動画に、やっぱり雪は風情があっていいわ~、とうっとり眺めていたわたしでしたが、英国が「東からの野獣」(なんだかGoT みたい?)に襲われたのも、日本列島が例年とは次元の異なる寒波に見舞われたのも、原因は北極上空の気温が上昇したためだとか…。うららかな季節が待ち遠しいのは、ユーラシア大陸を越えたこちらも同様です。この春はうんと楽しんで、寒かった冬の埋め合わせしよう! と思う一方、環境問題を考えると、地球に対して人間の犯してきた罪の深さに、またもや胸がズキンと痛みます…。

ablon #50 r.whiteread's ny water tower#

 

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About Author

京都東山の生まれ。19歳から雑誌の仕事(編集者/スタイリスト/コーディネーター/ライター)に携わる。英国では、憧れのフローリストの下での花修行や、尊敬するアーティストが学んだカレッジで現代アートを勉強し、通算11年間のロンドンライフをエンジョイした。オーサカン(大阪人)となった今も、“心”はロンドナー。変わらぬ日課として読むUK のオンライン新聞から、旬なニュースをあぶそる~とロンドンのためにピックアップ。帰国後は本の翻訳を手がけ、この5月に『ヴェネツィアのチャイナローズ』(原書房)、2014年7月に『使用人が見た英国の二〇世紀』(原書房)、ほかを上梓。ロンドンで目覚めた世界の家庭料理チャレンジ&花を愛でる趣味ブログserendipity blogは、開設して11年目に突入。

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3件のコメント

  1. アバター画像

    最近は、ロンドンでもプラスチック容器に入った野菜などを買わないで、八百屋さんなどでバラ売りのものを買うようにする運動なんかもおこってるみたい。意識は上がって来ているから、より大勢の人が気づいていくことが必要なのよね・・・

  2. dear 編集長

    こちらも、昨日まで気づかず…許してくださいませ。

    わたしはずっとエコバッグを愛用してきてはいるものの、
    最近とみに、気になってしかたないプラスチック汚染です。
    というのも、現代生活において、プラ使用を急に断ち切るのは、なかなか難しい…。
    暖かい、軽い、安い!と三拍子そろったフリース製の衣類を洗うとき、
    罪の意識を感じずにはいられませんが、すべてを捨てられずにいます…。

  3. アバター画像

    今回のテーマ、ずしんと胸に響きます・・・知っているようで知らない、いや、知らされてもいない、数々の問題提議、ありがとうございます! こういう記事は拡散してほしいですね。。。

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