ロイヤルH&M ウェディングは終わったけど、花にまつわる話あれこれ

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ハリー王子とメーガン・マークルさんの結婚式が終わりました。王室公式チャンネルが提供するライヴストリーミングのおかげで、ウィンザーに集まった方々と同じように、世界中がロイヤル「BIG DAY」を共有。王族や貴族によって脈々と受け継がれてきたポッシュで伝統的な英国色と、アフリカ系市民による文化の影響を色濃く出した米国色がミックスされた演出で、いやあ、なかなか画期的な挙式でございました。ロイヤルウェディングの話題はもう飽きたよ~おっしゃられるかもしれませんが、まだまだ各国のメディア(とりわけ熱いのが米メディア)がさまざまな記事をアップしています。ひどいニュースが報道内容の大半を占めるなかで、珍しく「いい話」について報道できる、絶好のチャンスでもあるのです。

前回の当コラムでも取りあげたメーガン妃のお父上の件(結局、娘の結婚式に出られなくなった)は、少々気の毒な気もしましたけど、ロンドンで花屋の修業をしていたこともあるわたしといたしましては、なにより気になったのが、式の装花や花嫁のブーケなどの、晴れの日の「花」。今回のロイヤルウェディングもごたぶんにもれず、あちこちのメディアに登場した花に関する記事は枚挙にいとまありません。ちょうどチェルシーフラワーショーも開催中ですされていたことですしね、花にまつわるトピックを、ちょこっとここでご紹介。

 

<チャペルの装花>

担当することになったフローリストの名前を、ケンジントンパレスが4月初旬に発表。で、ファッション業界でもよく知られているというそのフィリッパ・クラドックさんが手掛けたチャペルの花は、スペタクル!のひと言でした。デイリーメール紙などが伝えていたとおり、かなり「野趣(wild and natural)」なデザインで、チャペルの一部は花に埋もれ、まるで野原が出現したようでしたよね(出席したジェイムズ・コードンがあとで自分の番組で、花粉アレルギーのためにくしゃみを我慢するのがたいへんだった、と告白してます…)。 文字どおり華やかにチャペルを飾ったのは、ケンジントンパレスに故ダイアナ妃を記念して造られた「ホワイトガーデン」に植えられている白バラをはじめ、フォックスグローヴや牡丹など、さまざまな白い花。葉物はウィンザー城裏のグレートパークから調達。装花は、式終了後には花束にリサイクルされ、ロンドンにあるホスピスに届けられました(パチパチパチパチ!)。

 

<花嫁のブーケ>

ワイヤリングなし!! タイドバンチにローシルクのリボンを巻いただけ。ダイアナ妃のシャワーブーケと比較してみてください、大きさがゼンゼン違います。かなり控えめだったキャサリン妃のブーケですら、スズランなどがワイヤーで固定され、持ち手がついた典型的なデザインの花嫁用ブーケでした。メーガン妃のブーケは、新鮮で清楚か質素で貧弱になるか紙一重で、きらびやかな世界にいた花嫁だったからこそ、ああいった美しさの相乗効果が生まれたような気も? ともかく、シンプルなウェディングドレスには見事に映えました。

わすれな草、スウィートピー、スズラン、アスチルベ、アストランティア、ジャスミンなどなど、ブーケに使われた花は、キャサリン妃のときと同様、たとえばダイアナ妃が好きだった、というような、何か意味を持っているのだそうで、ヴィクトリア女王朝に始まったロイヤルウェディングの伝統のひとつ、マートル(銀梅花)の小枝(この時期、花はまだ咲いてない?)も加えられていたそうです。しかも、式前日に、花婿(ハリー王子)自身が自宅の(ケンジントンパレス)の庭(プライヴェイトガーデン)で摘み取った花も使われていたのだとか。

何から何まで、ロマンティックですね~。でも、じつはワイヤリングしないとフラワーテープも巻かないので、ブーケの花は急速に水分を失って(とくにアスチルベなど)、式の途中でしおれてしまうのではないかと、わたし的にはヒヤヒヤしてました。これまた95年間続いているという王室の伝統にのっとり、花嫁のブーケは式後にウェストミンスター寺院まで運ばれ、無名戦士の墓に捧げられたわけですが、写真を見る限りブーケの花はどれも生き生きしたまま…。クラドックさん、いったいどんなテクニックを使ったのか、ぜひ明かしてください!

 

<サセックス妃の紋章>

さて、式が終わった段階でも、花にまつわる新しい話題がありました。サセックス妃となられたマークルさん(とはいえ、婚姻前にもすでに一緒に住んで二人おそろいで公務をこなしていられたわけで、日本の皇室では考えられな~い?)には紋章が必要、というわけで、5月25日にケンジントンパレスより新たに創られた紋章が発表されました。その意匠に、メーガン妃の故郷、太陽がいっぱいのカリフォルニアの光(ん、わかる!)と太平洋の青い海、小鳥と羽柄、そして、カリフォルニア州の花、花菱草の花があしらわれていたのでございます。

紋章のデザインには、メーガン妃みずから関与してこられたそうですけど、この紋章については、英メディアではサン紙のこんな見解やエクスプレス紙のこんな意見など、ネガティヴな記事が目立ちます。話題をさらったアメリカ人への、やっかみでしょうか? それとも、待ち受ける苦難を案じての、同情でしょうか?

 

花の話題のおまけは、ピッパのドレス。お姉さんのロイヤルウェディングで脚光を浴びた彼女も、どうも今回は評判を下げたようです。そして余談ながら、米国聖公会大主教から招かれたマイケル・カリー司教の、14分弱におよんだ説教には、わたし以外にもぶっ飛んだ方もいらしたのでは? この動画、中継をご覧になっていたら抱腹絶倒間違いなし。ここまで茶化したスプーフの公開が許されるなんて、心の広い英国の王室には、ほんと脱帽…。メーガン妃、カリフォルニアのような青空にはめったにお目にかかれない国ですが、心配はご無用! 英国は伝統的なユーモアであふれてますから。

ablon #52 meadow

訂正:

22日にオープンしたチェルシーフラワーショーは、26日まででした。訂正いたします。(5月29日)

訂正その2:

久しぶりに読み返してみたら、あらやだ、花については詳しいと自負していたはずのアタクシなのに、「銀梅花」が「金梅花」になってしまってた…大変失礼いたしました、遅まきながら訂正いたします。(6月26日)

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About Author

京都東山の生まれ。19歳から雑誌の仕事(編集者/スタイリスト/コーディネーター/ライター)に携わる。英国では、憧れのフローリストの下での花修行や、尊敬するアーティストが学んだカレッジで現代アートを勉強し、通算11年間のロンドンライフをエンジョイした。オーサカン(大阪人)となった今も、“心”はロンドナー。変わらぬ日課として読むUK のオンライン新聞から、旬なニュースをあぶそる~とロンドンのためにピックアップ。帰国後は本の翻訳を手がけ、この5月に『ヴェネツィアのチャイナローズ』(原書房)、2014年7月に『使用人が見た英国の二〇世紀』(原書房)、ほかを上梓。ロンドンで目覚めた世界の家庭料理チャレンジ&花を愛でる趣味ブログserendipity blogは、開設して11年目に突入。

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