バーバリー「売れ残りの焼却も毛皮の使用もしません」と発表

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早くも9月。ファッションの秋? 現在開催中のニューヨークからバトンを引き継ぎ、14日にロンドンでも始まる「ファッションウィーク」。もちろん、英国の高級ブランドを代表するBurberry も参加します。ところが、独特の色使いのチェック柄が「ラグジュアリー」のシンボルにもなったこのバーバリー、昨年は2800万ポンド相当分の売れ残り品を「焼却」を含む廃棄処分にしていた事実が7月に報道されるやいなや、環境保護の視点から激しい非難を浴びたことは記憶に新しいかと思います。焼却処分する際の「熱を再利用している」などと主張してはみたものの、超高級品を製造販売する企業として、商品や資源に対する敬意や社会的責任などを問われると、やっぱりね~、その反論には無理があります。

高級衣料品は、そもそも生産数の決定に難しさがあるようなのですが、横流しなどで高級ブランドの価値を下げないために、多くの高級ブランドが売れ残り品の廃棄処分をおこなっているにもかかわらず、倫理上問題のある高級ブランドの筆頭として、すっかりイメージをダウンさせてしまったわけです。なんとか汚名を返上しようと、ファッションウィークの開幕に合わせての発表となったもようで、今後は売れ残り品のリサイクルや寄付の拡大にも努めるそう。が、それだけじゃ名誉挽回には足りない(?)と、より「地球に優しい」企業になるべく、毛皮使用の中止も決定したのでした。

高級ブランドの毛皮の使用については、もうずいぶん長いあいだ話題になってきた感があります。ご存知のように、アパレル業界の一大イベントには、ファッショニスタだけでなく多くのメディアが世界中から集まりますので、環境保護活動家にとってはメディアを利用してキャンペーンを展開するまたとないチャンス。過激な抗議運動が展開され、業界が毛皮の使用中止が謳ったり自粛したりしても、つねにキャットウォークにカムバックしてきた毛皮…。本当にホント?とまたもや疑いたくなりますけど、今回は、英国ファッション協会が「100% 毛皮フリー」のショーの開催を発表。

ちなみに、バーバリーは毛皮のみならずアンゴラ毛糸の使用も徐々に中止することを決定しているそうで、なぜアンゴラまで?と気になり、長年アパレル業界へ抗議してきた動物保護団体PETAのサイトを見て、納得しました。残酷です。アンゴラウサギは、なんと生きてるまま皮を剥がれていたのです! 夢(あるいは見栄)の追及とお金儲け、環境保護と企業倫理や社会的責任がどうしても矛盾してしまうのがファッションですが、「虚構の世界」(ある意味)に生きる厳しさ(ブランド品で身を包んでいても家賃を払える収入ナシ)というのか、クリエイティブ職に対するブランド業界の搾取について調査した本社会人類学者がフランスで出版し、話題になってます。日本では今、東京オリンピックのボランティア募集は「やりがい搾取」だと批判されてますけど、似た話かもしれません?

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About Author

京都東山の生まれ。19歳から雑誌の仕事(編集者/スタイリスト/コーディネーター/ライター)に携わる。英国では、憧れのフローリストの下での花修行や、尊敬するアーティストが学んだカレッジで現代アートを勉強し、通算11年間のロンドンライフをエンジョイした。オーサカン(大阪人)となった今も、“心”はロンドナー。変わらぬ日課として読むUK のオンライン新聞から、旬なニュースをあぶそる~とロンドンのためにピックアップ。帰国後は本の翻訳を手がけ、この5月に『ヴェネツィアのチャイナローズ』(原書房)、2014年7月に『使用人が見た英国の二〇世紀』(原書房)、ほかを上梓。ロンドンで目覚めた世界の家庭料理チャレンジ&花を愛でる趣味ブログserendipity blogは、開設して11年目に突入。

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