今年の冬は本当に長かったですが、ようやく本格的な春の到来ですね!
冒頭から宣伝っぽくなり申し訳ないですが、先週からご紹介しております私の自宅キッチンが、今月イギリスで発売の月刊誌“Kitchens, Bedrooms, Bathrooms”の表紙になっています。 中でも12ページに渡って詳細な取材をして頂いたので、ぜひお手に取ってご覧ください。 発売されたばかりなので、お近くのニュースエージェント、WH Smithなどどこでも取り扱っているのではないかと思います。 雑誌と一緒に現在この連載でご紹介しているプロセスを追って頂けるとより深く理解して頂けるのではないかと思います。
さて、前回は建築プロジェクトの基礎となるコンセプトデザインを固めました。
ここからはいよいよ工事業者への入札仕様書と家具・備品などの発注する基となるリスト作成に向けて細部をデザインしていきます。
なお、イギリスでは住宅をPermitted Development(開発許可)を超えて増築する場合には自治体へのPlanning Application(計画申請)が必要です。 申請から許可に2ヵ月かかるので、レイアウトが決まった時点で申請を行います。
またイギリスではArchitect(建築家)は構造計算は行いません。 細かい設計にはStructural Engineer(構造エンジニア)からのインプットが必要で、この頃にStructural Engineerに依頼します。 非常に大きな住宅改装プロジェクトや建物がListed Building(指定建造物)の場合はさらに専門家やQuantity Surveyor(積算士、見積もりの専門家)を雇う場合もあります。
3. デザイン・ディベロップメント
住宅改装プロジェクトのデザイン・ディベロップメントのステージでは、以下のような図面を作成します。
- 平面図
- 立面図
- Look Books(プレゼンテーション)
- マテリアルボード
- パース(3D)
平面図と立面図に関してはキッチンのような非常に詳細なデザインが要求される場合、家全体の設計図(50分の1の縮尺図)とキッチンだけの設計図(20分の1の縮尺図)が両方必要となります。 今回はキッチンを例に取り上げているので、家全体の設計図は省略します。
Look Books(プレゼンテーション)は前回お見せしたイメージを基に実際に調達するアイテムをまとめたもの、マテリアルボードは素材だけを集めて素材感が感じられるようにしたものです。 この2つはペアで使用し、設計図とともにプレゼンすることで、クライアントができるだけ実際のイメージがビジュアライズできるようにします。 マテリアルボードはここに載せるために写真を撮ったもので、実際はメーカーから取り寄せたサンプルです。
- Look Books(プレゼンテーション)
- マテリアルボード
コンセプトデザインから出発してここまでくると、最終形が見えてくるのではないでしょうか?
パース(3D)は自宅のプロジェクトなので作成しませんでしたが、特にひとつの空間に違うレベルのフロアをつくる場合(吹き抜けやロフトなど)、クライアントに最終空間をイメージしてもらうのに効果的です。 平面図と立面図だけでは、なかなか伝えきれないものです。
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