ぶっつけ本番?

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realkyusyoku


働き出して3日も過ぎた頃、朝の用意を一通り終えるとミスターCから今日の仕事の予定を聞かされた。

「なぽりんさん、今日はレジをやってみましょう。」

え? もうレジやっちゃうの、新人なのに??

学生たちがやって来て食べ物や飲み物を買うのは、早朝のブレックファースト、11時からのブレイクタイム、12時20分からのランチタイムである。なぽりんは早朝勤務はしないのでレジをするのはブレイクタイムとランチタイムである。

どの仕事も週替わりで、それぞれ決められた仕事を週替わりでこなすことになっている。が、新人は先輩やマネージャーと一緒に説明や手ほどきを受けるのである。

そろそろブレイクタイム。「はい、なぽりんさん、いいですか? まずは私の後ろに立ってレジを覚えてください」。ミスターCから言われるがまま、後ろで観察。

ジリジリ〜!ベルがなるや否や、おびただしい数の学生たちが勢いよく食堂めがけて走ってくる。売り場は2ヵ所で、レジは全部で4台。学生たちは、お目当ての食べ物が売り切れる前に争って買いに来るのである。そしてレジにはあっという間に長蛇の列が。

学生たちはレジに来ると指を差し出してきて・・・

「ピッ」

な!なんと学生が人差し指を小さなマシーンにタッチすると、レジのスクリーンに顔写真と名前、クレジット残高が表示される。つまり指紋で個人情報がスクリーンに映し出され、レジでは現金は一切使用しない仕組みになっているのだ。

一人ひとりの学生情報がスクリーンに出たところで、私たちスタッフが 購入品をタッチスクリーンで選んで記録していき、次々にチェックアウト!

「はい、なぽりんさん、登録されている品物の位置と値段、よく覚えてくださいね」

ちょっと、ちょっと。聖徳太子でもあるまいし、こんないっぱい一気に覚えるのは無理でしょ〜。まあ、ちょっとずつ覚えればなんとか(汗)………

「はい、それじゃなぽりんさん、やってみてください。私が後ろで見ますから」

え?

いきなり、ぶっつけ本番である。とりあえず、ミスターCが後ろで助けは出してくれるものの、何が何だかわからない。アタフタしているうちに終了のベルが鳴った。

約20分ほどのブレイクタイムではあるが、いったい何百人の学生が来るのだろう? とにかく次々に素早くこなさないと大変なことになるのは間違いなさそうだ。

ブレイクタイムの後は学生たちの食べたテーブルを綺麗にふき上げ、軽く掃き掃除をし、ランチタイムの準備や飲み物の補充などをする。それが終わると自分たちの30分のランチタイムである。

ふ〜、やっと休憩。ランチは自分が食べたいものを何でも選んで食べていいことになっている。今日はベークドポテトとツナマヨ、それとサラダにしよう。体力を使うので結構お腹が減るのである。

スタッフみんなで長テーブルでランチ。最初思ったよりみんなフレンドリーでちょっと安心していたところ、「なぽりんさん、ランチタイムもレジお願いしますよ」とミスターC。「ちょっと自分でやってみてください。わからなかったら隣のレジのルルさんに聞いてくださいね」

「…………」

どうやってこなしたのかは定かではないが、とにかく隣のレジのルルに聞きまくったのは言うまでもない。

つづく

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About Author

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福岡県出身。グラフィックデザイナー、アートディレクターを経て、2005年の結婚を機にイギリス・ロンドン郊外に移住。2009年出産後から専業主婦生活に。2014年6月より現在の仕事、地元中学校にてケータリングアシスタントを始める。幼少の頃より大のスピリチュアル・ファンである。

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