動物性の食品を全く口にしないヴィーガン食が大人気という昨今の英国。過去6年でヴィーガン人口が4倍に増えているというから驚きです。毎年1月にあるヴィーガン推進月間「ヴィーガニュアリー」も英国が発祥の地。
スーパーでも最近ベジ&ヴィーガン商品がどんどん増えています。
必ずしもヴィーガン=ヘルシーという訳ではなく、正直「う〜ん、これは体にいいんだろうか?」と疑問に思ってしまうような商品も多いのですが、動物性のものより環境にいいから、という理由でヴィーガンに切り替える人も多く、さまざまな代替食品が生まれているようです。
カラフルなケーキやアイスクリーム、ファストフードのようなジャンルでヴィーガン・バージョンが増えているのも最近の特徴。「これならちょっと試してみたいかも」と思わせる敷居の低さがいいのかもしれません。ヴィーガン=選択肢が少なくてつまんないという意識から、ヴィーガンだっておやつやジャンクフードを楽しめるんだよっていう、よりカジュアルな感覚に変わって来ているのでしょう。
しかしながらヴィーガンになってもチーズはときどき無性に食べたくなる、ヴィーガン生活に興味はあるんだけど乳製品をやめるのは難しいなあ…と思う人もかなり多いよう。クリーム系や植物性ミルクについてはかなり選択肢が増えてきましたが、ヴィーガン仕様のチーズはなかなかおいしいものがなく、悩んでいる人も多いようなのです。
ガマンは禁物。今回はそんな人たちの気持ちに応えるように登場した美味しい「ヴィーガン」チーズ屋さんをご紹介です。
店名は「ラ・フォーマージェリー」。東ロンドンの人気ストリート、ブリックレーンを一本道を入ったチェシャー・ストリートにあるお店です。「フォー=Faux」は「偽」=つまりミルク不使用であるという意味ですね。牛乳の代わりにプラント・ミルクを使って店内で本格派のチーズを造っています。フランス語でチーズ店を意味する「フロマージェリー」をもじってこの店名というわけです。
実はこのお店、2019年に南ロンドンのグルメエリア「ブリクストン・ヴィレッジ」にロンドン初のヴィーガンチーズ専門店としてスタートしたのですが、人気になりすぎていつも長蛇の列。お店に人が入りきらないとのことで、開店早々に現在のお店に移転したという逸話があるのです。
現在はイースト地区にありますが、もともとはサウス地区で誕生したお店ということで今回サウスうろうろで取り上げさせていただきました〜。
「ラ・フォーマージェリー」のチーズのベースはナッツや植物の種を使ったプラント・ミルク。それだけだとあっさりしすぎてしまうのでシアオイルや米ぬか油などの油分を加えてチーズらしい濃厚な口あたりを演出し、お味噌などの発酵食品やハーブを加えることで味に深みを加えています。
いろいろ味見させてもらったうち「これは美味しい」と買ってしまったのがトリュフ風味を加えたカマンベール風の「シャマンベール(Shamembert)」。トリュフ=きのこ=シャンピニオンということで、こちらも語呂合わせのネーミングです。
じっくりと熟成され白カビに覆われた姿はご本家カマンベール・チーズと見分けがつかず、クリーミーな口あたりもミルク不使用なんて気がつかないほど。植物性オイル使われているので冷蔵庫に入れておいても固くなってしまうことがなく、出したばかりでも柔らかな口当たり。ご本家より若干塩気が強いかなと感じましたが、カマンベールチーズの美味しさはミルクだけでなく白カビの風味によるところが大きいのだなと改めて確認したのでした。
私自身はヴィーガンではないのですが、ヴィーガン食って面白いなと思ってしまうのはこんな努力や工夫にあるのかもしれないなあ。
チーズを作っているのはヴィーガン姉妹のシャーロットとレイチェル。チーズ作りやフレーバーの研究が楽しくてたまらないという感じが伝わってくるお二人の話に引き込まれて、つい長居してしまうお店なのでした。
ではまた、サウスでお会いしましょう〜♪
La Fauxmagerie(ラ・フォーマージェリー)
住所:20 Cheshire St, Shoreditch, London E2 6EH
水曜〜日曜営業。12時〜19時まで営業。日曜は18時まで。
ウェブサイト:https://shop.lafauxmagerie.com/
※オープニング時間は変更になる場合があります。
1件のコメント
ネモさん、以前から楽しく拝読させて頂いています♬
ヴィーガンのチーズとは興味深いです!
通常チーズとほぼ味が変わらないとはちょっと驚きです。
たしかに、白カビの風味がきいているので、口当たりが同じなら、
味〔見〕分けできないかもしれませんね。
となると、イギリスが誇るスティルトンは、さらに区別がつかないのでしょうか。
ぜひ試してみたいです!