目的地のお菓子工房に行くために降りた駅が、ロンドンの地下鉄の駅の雰囲気に似ていました。思わず含み笑いをしながら足早に地上に出ました。
花隈駅（兵庫県・阪急電鉄神戸高速線）
ここは港、神戸。トレードマークの神戸ポートタワーや（改装工事のため休業中、2023年リニューアルオープン予定）、神戸の海をクルーズしているような気分にと2階を船首に見立て設計されたスターバックスコーヒー 神戸メリケンパーク店など、神戸観光には外せない場所です。私は海風に当たりながら一息ついて、ハーバーロード沿いを散歩しながらお目当てのティールームに向かいました。
メリケンパーク。中央にある神戸ポートタワーは改装工事中。
「シュガースプーン」
まもなく150年を迎える歴史ある神戸元町商店街。全長1.2kmにわたる商店街の一番西の先にその工房はありました。コンパクトで縦長の建物の、長い階段の2階と3階部分です。
お菓子を焼き続けてかれこれ40年になるという、オーナーのMichikoさん。10代で行った海外オーストラリアで、ホストマザー達が夕食の準備をしながらデザートのケーキを簡単に作り、しかもその美味しさに感動したのが始まりです。帰国後も大好きだったお菓子を食べたくて、日本の材料でひたすら試行錯誤の日々でした。その後、大きな転機を迎え、本格的にベーキングを習いにイギリスへ渡ります。
そしてMichikoさんはまた10代の頃と同じように、いとも簡単に家族や友達のためにお菓子を作ってくれるお母さんやおばあちゃんに出会ったのです。おしゃれにデコレーションされているわけではないけれど、家庭で代々受け継がれてきた素朴でとても温かいお菓子たち。そんなオーストラリアとイギリスのお母さん達の優しい味をルーツに、2020年小さなお菓子教室とお菓子工房をオープンしました。
こちらのお店では1日2組まで、3Fワンフロア貸切というプライベート空間で食事を楽しむことができます（各2〜5名/ お一人様2,750円税込・貸切代込み・予約は2日前まで）。さらに好きな食器を選ぶことができるボーナス付き。アンティーク家具に囲まれた素敵なティータイムを過ごすことができます。
2Fの縦長の販売スペースには今日焼き立てのお菓子が並びます。山側に向いた細長いカウンタースペースでは、お好みのお菓子とお茶が楽しめます。
2F
今日はおひとりさまアフタヌーンティー（2,000円税込）を楽しみにやってきました。一人の場合は2Fのイートインスペースの利用となり、他のお客さんから見えにくい半個室の席となります。予約は不要ですが、1席しかないため予約しておいた方がスムーズですよ。（2名以上のアフタヌーンティーは3F・要予約のみ）
そしてこちらが私の本日のスペシャルシート♡ 販売スペースと繋がっていますが、お互い見えないという気分はもう個室感覚♪ 行き交う人の波も見下ろせる落ち着く空間です。
今日のお菓子をちょっと見てみましょう♪
・左下：テイクアウトしたヴィクトリア・スポンジ・ケーキ。ラズベリージャムとバタースポンジのしっとり美味しいこと♡
・左下：見ているだけでコーヒーが香ってくるコーヒーとくるみのケーキ。大好きです！
・左上：イギリスの漫画キャラクター、ロジャーダドジャーから名付けられたジャミードジャース。イギリスのスーパーには必ずある人気者！
・右：ジンジャーマンとステンドグラスクッキーはクリスマスツリーに飾りましょう。
・左：Michikoさんおすすめの最強のバナナケーキ。食物繊維、胃腸を整える、カリウムがむくみを解消、貧血予防、代謝アップ！いい事づくめ。
・右：カランツ、サルタナレーズンたっぷりのアールグレイティーケーキ。バター、油脂を未使用のローカロリー。ミルクティーに合いそう♡
・お店を出てテイクアウトしておけばよかったと後悔したグラニースミスのアップルパイ。次回は必ずいただきます！
アイスクリームを添えて♪
と、そこへお客さん。スコーンをたくさん購入されたようです。なかなか予定が合わず、今日やっとお店に来ることができたのよ、とMichikoさんとお話中でした。その会話を小耳に挟みながら「そうそう、この私もそうなんですよ。やっと予定があってアフタヌーンティーに来れました！」と心の中で一緒に会話しました（笑）
お待ちかね♪ おひとりさまアフタヌーンティーがやってきました！
うっとり見とれてしまうティースタンドにティーウェアが、ぴったりとカウンターテーブルに寄り添います。またミントグリーンの窓枠がステキじゃないですか♡ 私の一番大好きなミントグリーン。もう最高のスペシャルシートです！
紅茶は「シュガースプーン」さんのスコーンとケーキにあった「スシーラティー」さんによるオリジナルブレンドティーです。西宮市甲東園と世田谷区等々力で紅茶教室を開催し、スリランカに自社茶園を持つ現地直輸入の新鮮な紅茶。ストレートでもミルクでもいつまでも香りよく引き立つ味わいでした。
下段はハムときゅうりのサンドイッチです。薄めのパンがおなかに優しく、スコーンへと繋いでくれました。
あたたかさが今にも伝わってくるようなスコーンの味を、さらに引き立ててくれるのがクロテッドクリームとジャム。このジャムは、岡山の手作りジャム専門店フルシードさんにお願いして、スコーンに合うよう煮詰め時間を特別に調整して作ってもらった無添加の苺ジャムです。甘味と酸味、新鮮な色合いのジャムが、小麦やミルクやバターとちょうどいい感じでまとまります。そこへクロテッドクリームがのって贅沢な口当たり♡ たっぷりつけていただきました。
左：おもための粉を使用したトラディショナルスコーン。素朴で小麦の香りがしっかり感じられました。
右：おばあちゃんのスコーンと名付けられた、軽めの粉でミルクとバターの香りがするほんのり甘いスコーンです。この優しい味は、きっとイギリスのおばあちゃんに通じているんだろうなと思い噛み締めました。
上段は今日の季節のケーキ3種になります。
・イギリスのカフェにならどこにでもある人参ケーキ。ブラウンシュガーと人参の甘さも程よく甘すぎないのがクセになりそうです。そしてクリームチースのフロスティングがとっても可愛い。
・ナッツとコーンフレークのザクザク食感が楽しめるマカロン。フランスのマカロンとは大違い！私はイギリスが好きだな〜。
・噛めば噛むほど後になって美味しさがやってくるパーキン。最初ぼそぼそするのですが、じわじわ口の中からやってくるたっぷりのオートミールと糖蜜の味。100年以上も昔から伝わるお菓子で、元々はスコットランドからきたお菓子だそうです。たっぷりのスパイスが入っているので体が温まりますよと、Michikoさんが教えてくれました。
焼いては試食を繰り返し、夢中で作り続け完成した「シュガースプーン」さんオリジナルの焼き菓子たち。
オーストラリアとイギリスのお母さん達の優しい味をまた食べたかった店主Michikoさんがあったように、ここ神戸に住む人たちにとってMichikoさんが作る「シュガースプーン」のお菓子たちは、食べたくて食べたくてならない、だからなくてはならない優しいおやつなんだと、私は思いました。
素朴で温かい、優しい時間をごちそうさまでした。
※※※※※※※※※※
【シュガースプーン】
〒650-0025 神戸市中央区相生町1丁目1-15 カーサルーチェビル2F・3F
営業日：毎週 木・金・土（日曜は不定休）
営業時間：10時30分～18時(売り切れ次第終了)
Tel受付日時：078-351-6688（午前10時～午後5時 / 火曜～土曜）
◉予約の詳細はウェブサイトにてご確認ください
Website
Instagram
