釜に放り込まれたように感じる恐ろしい夏。この猛暑の中、大阪に住む私の母は元気にしているだろうかと気になったが、3ヶ月ぶりに会う母は涼しげに明るく登場し「あら~ナミちゃん、来てくれたん!」と嬉しそう。元気な母の姿にも安心し、私は久しぶりの関西に一週間滞在することになりました。
恐ろしい暑さとゲリラ豪雨のため、遠出は奈良にある薬師寺を訪れただけ。残りの日々は、神戸三宮と大阪梅田の中間地点である西宮界隈で日差しを避けながら過ごすことにしました。関西にお住まいの方ならよくご存知の阪急西宮北口駅。大阪と神戸、海にも山にも便利な場所ですよね。百貨店あり、映画館あり、食も娯楽も困ることのない場所ですが、毎日時間潰しに歩いていると、あっという間に飽きてしまいました。とはいえ炎天下の中、遠出はしたくない。さて何をするべきか、と思いついたのが、阪急沿線キャロットケーキを巡る旅。近距離かつ炎天下を避けてとおる旅です。
本日の旅は、西宮北口駅と一駅向こうの門戸厄神(もんどやくじん)駅のちょうど間にある珈琲、紅茶、チャイと身体に優しい手作りケーキのお店です。
カンカン照りではありますが、駅間が短い沿線なので日傘を差し向かうことにしました。住宅街の中を歩み続けると、一面に青い空と緑の田んぼが現れました。青々しい風景と遠くに連なる山並みに、しばらく足を止めて見入ってしまいました。いつまでも見ているには暑いしね、そろそろお店に向かわなきゃと思っていたら、その田んぼの真向かいが今日の旅の目的地、高波カフェさんだったのです。カフェの扉に手をかけようとすると、バンと開き、中からカッコいいお兄さんが♡ 一人でカフェを巡る「スイーツ男子」に違いない♪
「どうぞお好きな場所にお座りください」
北欧ナチュラルな空間に私一人。カンカン照りだったこともすっかり忘れてしまうそんな開放感。すこし懐かしい音楽も流れていました。
さっと見渡し私が選んだその場所は、西陽が差し込む青い田んぼが見えるテーブル。先ほどの「スイーツ男子」もこの席に座っていたようです。きっとこの席はカフェの特等席なのかもしれません。
さて目的はキャロットケーキ。ではそのケーキに一体どんなドリンクを合わせるべきか。暑いからこそエアコンの中でゆっくりいただく熱々マサラチャイに決めました。チャイはプレーン、マサラ、シナモン、ジンジャー、ミント、高波チャイ(きな粉とメープルシロップが入ったオリジナルチャイ)の6種類から選べます。
お店のインスタグラムによると、2001年西宮の苦楽園で開業しましたが、2009年春に閉店。その後2012年夏にここ門戸厄神で再オープンしました。一歩踏み入れてわかるホッとできるカフェ。長年地元に根付く愛されカフェです。
「暮しの手帖でも読みながらお待ちくださいね」
本棚のバックナンバーを眺めながら一冊一冊手に取ってみると、なんだかほんわか穏やかな時間。若かりし頃、愛読していた自分を思い出し、気持ちが落ち着いていくようでした。
「チャイはとても熱いので気をつけて飲んでくださいね」
西陽とちょうど重なった生クリームとクリームチーズのかるいトッピング。ほんのりスパイス香り漂う具沢山のケーキです。しっとり生地に見え隠れするすりおろした人参や胡桃、レーズン、ココナッツ。一口食べるごとに夏バテ解消、元気が湧いてくるケーキでした。さらに合間に飲むマサラチャイが、ほてった体を回復させ、気持ちを安定させてくれるのです。そしてちょっと懐かしい、聖子ちゃんや原田知世ちゃんの昭和メドレーがとても心地よい♪ 一人時間を過ごすには最適な場所でした。
またこちらのカフェでは楽しくワクワク、革クラフトや手芸などの作品作りも開催されているとのこと。(→案内や募集はインスタグラムをチェック)家や仕事場の他にも「自分らしく居られる場所」のひとつになれたらいいなぁという、店主さんの思いだそうです。もし私がいつか参加できるなら、がま口ポーチを作ってみたいと決めています!
最高の人、物、音楽、出来事に出会った時に「高波が来た!」というのが店主さんの口癖なんだそうです。そう、そこから名付けられた高波カフェ。青々しい風景、懐かしい雑誌に昭和の音楽。そして本日の主役、キャロットケーキに出会えたこと。まさしく最高の「今」を私はこの空間で過ごすことができました。
そろそろカフェの前の田んぼも稲穂が育つ秋の気配。赤とんぼもたくさん飛ぶ頃でしょう。阪急門戸厄神駅から南へ徒歩 8分、阪急西宮北口駅からなら北へ徒歩12分、阪急沿線キャロットケーキの旅へ行ってみてね~♪
【高波カフェ】
住所:西宮市伏原町2-12
営業時間:11:00-18:00
定休日:月曜日、木曜日
パーキング:店の前に軽自動車1台可能
Instagram:@chaimonster2001