017 | 感情とバイオケミストリー

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あっという間に2月も後半。たくさん笑って、元気いっぱいに毎日を過ごしていますか? 今号では、ストレスを中心に感情や心の状態に関係のあるケミカルとともに、去年の一年のおさらいも含めて、健康度としあわせ度アップをサポートするアクティビティと食品/栄養素、香りやハーブなどを紹介します。

 思考のコントロール

015号同様に、過去でも未来でもなく「100%今に生きる」ことを一秒でも多く実行したいもの。個人的に、思考のコントロールは心身ともの健康はもちろん、人生を豊かに生きるための大切な要素だと思っています。もし、ストレスいっぱいに思う一日があったなら、普段よりたくさんストレス・ホルモンを作って、からだに負担がかかったと思ってください。今日のストレスは今日のうちに消化しきって、翌日に持ち込まないようにしましょう。怒りや悲しみ、フラストレーションなど、ネガティブな感情を心の底に溜め込むと、いつか身体的な症状になって出てくる時がやってきます。物事をストレスだと受けとめる前に、そうでない状況を見つけられるようになるのが一番だと思いますが、実行となるとなかなか難しいものです。日頃の感情リリースには、ジョギングなどの運動やサウナで汗をかいて流すか、笑いで吹き飛ばすのも手ですが、やさしく効果的な、EFT(Emotional Freedom Technique = エモーショナル・フリーダム・テクニーク)や、Bach Flower(バッチ・フラワー)などのフラワー・レメディ/エッセンスなどもいいと思います。エッセンシャル・オイルなら、一般的ですがラベンダーなど鎮静効果のあるものや柑橘系の香りを状況に合わせてブレンドすれば気分もすっきりするはず。また、神経や脳の強化には、サバやイワシなどに含まれるDHAをはじめ、フラックス・オイル(亜麻仁油)やクルミなどのナッツに含まれるオメガ3など、健康的な油脂分の摂取が有効です(1)。

 第二の脳?

腸は、腸神経系を通して脳と直接コミュニケーションをとるので「第二の脳」とも呼ばれています。また、腸内細菌たちが彼らの健康状態によって違ったDNAシグナルを出すため、腸内細菌の状態は、ホスト(わたしたち)の感情や健康にも大きく関係します。最近では、腸内細菌たちがヒトの作る全てのホルモンを作ることもわかってきているようです。例えば、甲状腺ホルモンの20%は腸内細菌の助けのもとに作られます(2)。抗生物質や農薬、加工食品の摂取、またストレスなどの影響で悪玉菌が蔓延ると、ホルモン・バランスが崩れるだけでなく、その代謝物質「エンド・トキシン」と呼ばれる毒素の数値が高くなり、炎症や痛みを促したり鬱の引き金になったりします(3)。また、眠りやしあわせ感に欠かせない、通称ハッピー・ホルモンと呼ばれているセロトニンというホルモンも、体内全体の90%くらいが腸内で作られます(4)。なので、腸内環境を整えることは基本中の基本。毎日のお通じに加えて、食物繊維や発酵食品の摂取、農薬や食品添加物・加工食品を避けること、などが大切な要素となります。(その他、腸については、012・013号をご覧ください。)

甘いものは危険!?

甘いものは危険?

ストレスと栄養素

食べることは、生命の維持に欠かせないアクティビティ。安全で栄養のあるものを、よく噛んで、一口ずつ楽しんで食べるのが理想的です。毎日忙しくしている現代人が陥りやすい、加工食品や炭水化物(パン・パスタ・白米・菓子類・砂糖など)中心の食事に加えて、コーヒーやアルコールなどの刺激物過剰摂取は、健康のバランスを崩すもとです。何かが多すぎるか足りない場合には、すぐに死に至ることはまずありませんが、どこかがうまく機能しなくなります。炭水化物中心の食事では、インスリンとともに血糖値が急上昇/急降下し、安定しません。いわゆる糖尿病の手前段階で、炎症を起こしやすくなる状態です。この状態が、ストレス・ホルモンの分泌も促すため、交感神経優位から抜け出すのも難しい状態となります。脳もホルモンも油脂分が原材料で、ストレス度が高いとコレステロール値が上がるのは、原材料のデマンドに応えるため。からだがストレス・ホルモン分泌で大忙しになると、その他のホルモン値が崩れることもあります。女性の場合だと、PMSに始まり、生理不順になったり、妊娠が難しくなったりというのが典型的な例。ストレスは、特定の栄養素(ビタミンB群・マグネシウム・ビタミンCなど)を多く消費すると同時に、消化器系の機能を停滞気味にします。食事から摂取した栄養素がエネルギー源となるので、それもままならなくなると、からだはすぐにエネルギーとなる、砂糖など炭水化物を欲するようになります。もともとの食生活が炭水化物中心の場合、状況は悪化する一方。しかも、炭水化物中心の食事は、認知症やアルツハイマーとも関係があるので、控えめにするのが安全です。特に加工されている炭水化物を避けるようにして、タンパク質・健康的な油脂分・食物繊維の多い食品を中心とした食事を心がけましょう。また、砂糖や小麦はコケインやヘロイン同様、脳の特定の場所を刺激し、中毒症状を作り出す(5)ので注意が必要です。これらを多めに摂取している人は、代わりになるものや補足するものを加えながら、時間をかけて徐々に量を減らすといいでしょう。例えば、食べ物には積極的にシナモン使用し、クロミウムと呼ばれるミネラルのサプリメントを摂取するのが、砂糖中毒と血糖値コントロールに有効です。自力でコントロールするのが難しい場合には、健康に投資と思って、ニュートリショナル・セラピストやヘルス・コーチと一緒に改善を図るのがお勧めです。(安全な食品については、007・008・009号をご覧ください。)

 眠りとセロトニン

毎日しっかりと眠ることは、健康的な食事とともに、元気の土台となる部分。心身ともの正常な機能には、 欠かせない要素です。寝不足で一時的なハイを得ることもありますが、これは主にストレス・ホルモンの分泌によるもので、基本的には免疫力を低くし病気になりやすい状態を作ります。ここで大切なのは、深い眠り・休息についている時のみに、からだが傷んだ部分を修理したり新しい細胞と入れ替えたりすることです。時折必要に迫られて寝不足になることがあれば、その後はしっかり休むようにしましょう。前述のセロトニンは、脳内ではメラトニンという眠りに必要なホルモンに変換されます。鬱の人によく眠れない人が多いのは、セロトニン・レベルが低く、メラトニンが十分に合成されないことも考えられます。また、携帯やタブレットのモニターから出る光(ブルー・ライト)は、メラトニンの合成をブロックします。なので、就寝前はこれらの使用を避けるべきでしょう。食事からは、アミノ酸のトリプトファンがセロトニンに変換されるので、腸の状態を整えて、バナナ・牛肉・豆類・魚・かぼちゃの種・ゴマなど(6)、トリプトファンを含む食品を積極的に摂取するのも役に立ちそうです。その他では、エプソム・ソルト(マグネシウム=リラックス効果)のお風呂や、ラベンダーやベルガモットのエッセンシャル・オイルを夕食後に使うなどすれば、眠りの質向上に役立つはず。また就寝前には、カモミール・ティーでも飲みながら、その日うれしく思ったできごとを3つメモに書く(いわゆるグラティチュード・ジャーナルと呼ばれるもの)のも、一日をいいことで締めくくるため、脳によく安眠に有効です。(その他の眠りとその対策については、002・003号をご覧ください。)

ここまできてお気づきかと思いますが、心身ともの健康は脳と腸の健康が大きな鍵となります。そして、その他全てのパーツがつながって機能しています。加えて、これらと切り離せないのが、わたしたちの住む環境。環境による健康へのダメージは多岐にわたるため、今後も最新情報とともに小分けにして取り扱う予定です。

 

 

参照:

  1. Liska D, et al. (2004). Clinical Nutrition, A Functional Approach. 2nd edn. Washington: IFM. pp.70, 78
  2. Beyer S. (2016). Gut Microbes, Gut inflammation and your Thyroid. Integrative Brain and Body. Available at: http://ibrainandbody.com/gut-microbes-gut-inflammation-and-your-thyroid/ (Accessed: 12 February 2017).
  3. Maes M, Kubera M, Leunis JC. (2008). The gut-brain barrier in major depression: Intestinal mucosal dysfunction with an increased translocation of LPS from gram negative enterobacteria (leaky gut) plays a role in the inflammatory pathophysiology of depression. Neuroendocrinology Letters. Vol.29, No.1. pp.117–124
  4. Stoller-Conrad, S. (2015). Microbes Help Produce Serotonin in Gut. Caltech. [Online]. Available at: http://www.caltech.edu/news/microbes-help-produce-serotonin-gut-46495 (Accessed: 10 February 2017)
  5. Lebentz, L. (2016). Sugar, Inflammation, Stress: How to treat your ‘addicted’ clients. [CAM conference: Nutrition resolution: breaking the cycle of stress and chronic inflammation.] 5 November.
  6. Osiecki H (2010) The Nutrient Bible. 8th edn, Eagle Farm Qld: Bio Concepts Publishing. pp.117
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About Author

徳永 ゆり子

大阪府出身、1996年よりロンドン在住。京都で8年、ロンドンで7年間グラフィック・デザイナーとして働いたのち、2004年に補完・代替療法の世界に入る。CAM(コンプリメンタリー/オルタナティブ・メディスン)プラクティショナー。CThA、BANT正規会員。ハックニー地区にあるコンプリメンタリー・ヘルス・クリニックを拠点に、ロンドン内で活動中。好きなこと:健康的でおいしいものを作って食べること、ナチュラル・ヘルス・フード・ストアでヒット商品を探すこと。好きな色:ピンク紫(夕暮れ時の空の色とか)。好きな言葉:(実現の状態を)見る前に信じること(”You’ll see it when you believe it.” by Wayne Dyer)。

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