神々のおわす風景:小林伸幸写真展@Sway Gallery

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「少年のような眼をしている」という表現があるが、写真家の小林伸幸さんの瞳はまさしくそのように、明るく弾んでいた。

その視線の先にあるのは、森羅万象をうつす自然だ。

古来より日本人は山や森、岩、そして湖や川に神々が宿ると信じていた。小林さんはその八百万の神々を風景の中にみつけだしてはカメラに収め、プラチナ印画という美しきフォームで後世へと残す。その貴重な写真は、現在、オールド・ストリートにあるSway Galleryで展観している。

たぶん、自然のほうが、小林さんにポートレートを撮ってもらいたがっている。

Portrait of Nature ~Myriads of Gods~」のオープニング・ナイトにお邪魔して、強くそう思った。だから小林さんは撮影のさい、行き先の詳細を決めない。もちろんどの方角に行くかは決めるが、後は何ものかに誘われるまま、いにしえの自然の中へと分け入っていく。すると神々のおわす風景がたちあらわれ、小林さんはあるべき作法で自然の肖像をフィルムに焼きつけるのだ。

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オープニング・ナイトはこの後、白熱!したらしいが、私は最後までいられなかった。残念。

オープニング・ナイトはこの後、白熱!したらしいが、私は最後までいられなかった。残念。

そして小林さんが写真の焼き付けに使っているプラチナ・プリントの技法がすごい。文字どおり白金を用いた技なのだが、紙には高級和紙を使っているので耐久性にすぐれ、黒と白の陰翳も極限まで追求できる。プラチナ印画というのは黒のしまりがよいものなのだそうだが、和紙のせいか漆黒の黒といえどもたおやかな色調に見えるから不思議だ。細やかな配慮と技術、経験を要する焼き付けの様子は、ギャラリー内に設置されたビデオで小林さんの活動とともに紹介されているので、ぜひぜひご覧になっていただきたい。

小林さんのインタビューとプラチナ・プリントの焼き付け技法に釘付け!

小林さんのインタビューとプラチナ・プリントの焼き付け技法に釘付け!

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「唯一神を信仰する国が多いなか、『八百万の神々』という概念そのものが日本という国をよく表していると思うのです。自然を愛し、敬い、共存する文化を海外に広めたい」という小林さんは、すでに日本外での活動歴も長い。「イギリスにもケルト神話をはじめ、同じような自然崇拝の土台はあるのですよ」と話を向けると、「そう、だから今回のイギリス滞在では、ウェールズとスコットランドを下見に行ってきます ^^」と、にこやかに嬉しい返答が帰ってきた。いつかイギリスの荒々しい自然も、小林さんの手によってプラチナ印画という永遠の肖像画となる日が来るのかもしれない。

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笑顔がとってもチャーミングな小林伸幸さん♪

岐阜県にあるという岩・・・神様、いるなぁ・・・

岐阜県にあるという岩・・・神様、いるなぁ・・・

プラチナ印画は、それを見ることそのものが、現代では稀な体験だ。ぜひ会場で現物をご覧いただきたいが、 2013年に入魂の写真集「自然の肖像 ~八百万の神々~ / Portrait of Nature ~Myriads of Gods~」を出されていて会場でも入手可能なので、こちらもぜひお手にとっていただきたい。

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作品に目を凝らすと、まるで静かに呼吸をしているように感じる。それは原始に立ち返った地球そのものの息づかいなのかもしれない。

心にビシバシとコネクトしてくる写真展。会期中にぜひ♪

Nobuyuki Kobayashi小林伸幸写真展「Portrait of Nature ~Myriads of Gods~」
会場
Sway Gallery, 70-72 Old Street, London EC1V 9AN
会期:2017年3月16日(木)〜28日(火)
開場時間:月〜金 11:00 – 19:00 / 土 11:00 – 16:00

小林 伸幸 Nobuyuki Kobayashi
1970年生まれ、埼玉県出身。写真専門学校卒業後、出版/編集関連プロダクションでの専属カメラマンを経て1993年独立。広告/雑誌等で主に人物全般を対象とした撮影に携わる。2001年、N.Y.にてファインアーツの基礎とオルタナティブ・プリント技法を学んだ後に帰国。2005年からはヨーロッパ各地、台湾等でも作品を発表。2008年、写真事務所zenne,Inc.を設立した。現在はスチールとムービー、古典と現代技法を両立させる特異な存在として活動中。

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About Author

江國 まゆ

岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系広告代理店にて各種媒体の翻訳ローカライズや日本語コピーライティングを担当。日本語翻訳リライトのスペシャリスト。2009年からフリーランス。趣味の食べ歩きブログが人気となり『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房)を出版。2014年にAbsolute Londonを立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。

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