Wapping – White Chapel – Bethnal Green

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cafevisit


天気がよかったので
どこか気持ちの良い水辺のcaféにでも行きたいなぁ〜
と、思っているうちに…
雲が出てきてしまいました

じゃあ、どこでもいいか…
バスにでも乗ってふらりとお散歩しながら
caféを探してみましょうか…

そんなこんなで私は、一番初めにきたD3バスに飛び乗った
行き先は、Bethnal Greenに決まり

このバスは、Canary Wharfから乗ると、とても面白いルートを通る
ずっと、遠回りをしてテムズ川沿いのWappingを周ってから
White Chapelへ戻ってBethnal Greenへと向かう

私の大好きなルートを走るバス
ロンドンの別の顔をここでも観る事が出来る
とても興味深いルートでございます!

先ず、Wappingへ向いましょう
Wappingは、川沿いにあるので
中世の頃から海運業で栄えていた場所らしい

造船所、マスト作り、角材屋など造船に関する仕事をする人々
また、船員や船、川、海に関わる人々が暮らしていた場所で
その後も、ロンドンの入り口として発展した

又、その昔海賊や水上での犯罪人が、処刑された場所でもあったことで
ここは知る人ぞ知る、隠れ観光地?!

では、その処刑所はどこなのでしょう?

「ここだ!多分こっちだ… 嫌ここに違いない!」

…と、残念ながら、今ではハッキリと判明していませんが
1830年まで、海軍裁判の名において
処刑は400年も続いていたのですって!

見せしめの公開処刑で、多くの人が集まったそう
そして処刑後も、満ち潮引き潮を3回繰り返すまで
そのまま放置されていたらしい…

そんな、ちょっと恐ろしい歴史のあるWappingですが
今では、第二次大戦のナチスの爆撃から運良く残った
倉庫や工場が、お洒落な住居に改築され
2LDKだと、一億円を超える値段になってしまった

とても人気のあるエリアなのでございます
このWhappingの狭い路地を
バスはくねくねと廻って走り、大通りに戻ります

そうしているうちに、乗客がガラリと入れ替わり
バスの中は、ベールをかぶっている中東、アフリカ人が主で
私を含め他エスニック系の人種で一杯になりました

ここは、ロンドン?と、本当にビックリしてしまいます
以前暮らしていたチェルシー/ケンジントンとは、大違い!

私の隣には、3人子連れのお母さんが座りました
彼女は、全身真っ黒のベールで体を隠しています
開いているのは、目の部分だけ

前に座ったおじさんは、ムスリムの男の人がよく着る白い服を着ています
帽子も白です

斜め前には、赤や紫の鮮やかな色のサリーを着た
インド人のおばあさん達が座っています

バギーを押した赤ちゃんずれの若い黒人の女性2人は
赤ちゃんをあやしながら、お喋りしていて

私の後ろには、柔道着を着たムスリム系の少年達が
何やらペチャクチャペチャクチャ楽しそうです

そして一番前の方に
一人だけアーティストっぽい白人青年が座っています

 

D3のバスルートとは、外れるけれど…
アーティストで思いついたので、ちょっと横道へそれます

White Chapelの一つ前にAldgate Eastという駅があり
駅を出るとすぐに
1901年に、【東ロンドンに住む人達のため】に、と
誕生した有名なWhite Chapel Gallery があります

喧騒感溢れる街のど真ん中にあるこの素晴らしいミュージアムは
1世紀以上、東ロンドンのアートシーンの拠点地のような役割をしています

1939年にはピカソのゲルニカを展示
(その際ピカソが最初で最後の一度だけの英国訪問を果たす)
1958年には、初のアメリカ抽象画展、ジャクソン ポロック
1961年、アメリカ人アーティストのマーク ロスコーの英国初の個展
1970年台にはホックニーやギルバート&ジョージも展示しました

そして、1982年、まだほとんど知られていなかった
メキシコ人アーティスト、フリーダ カーロをロンドンっ子に紹介したのも
White Chapel Gallery だったのです

モダンアートのマスターから、コンテンポラリーアートまで、
《各時代の先端アート拠点地》の役割を担ってきた
White Chapel Galleryは、イーストロンドンの誇りのようなミュージアムです

さて、ここで、現代アートを観た後は
1階にあるブックストアーに行きましょう!
面白い本が必ず見つかります

そして、その後は、ミュージアム内にもカフェがありますが
私はすぐ近くにある、コーヒーとケーキが美味しい
お気に入りカフェに寄ることにしています

カフェの入り口には美味しそうなサンドイッチやお惣菜が
ずらりと山積みに並び、それを目当てに
お昼時になると、長蛇の列が出来てしまいます

人気のこのカフェは、雰囲気もスタッフもとても感じよくて
私は前を通る度に、いつも入ってしまいます

では、またバスのルートに戻りましょう
この後D3バスはWhite Chapelの駅前の大通りを走るのですが
この大通りは、Oxford Stのように大混雑です

そして歩いているのは、ほとんどがムスリムの人達
大通り沿いにずっとあるマーケットは
食べ物から、衣類、雑貨など…ありとあらゆる物があります
みんな、買い物袋をたくさん抱えて歩いています

ムスリム系の人達の日常生活に必要な物は
多分ここでなんでも揃うのでしょう

私は、マーケットを歩くと
子供の頃楽しみにしていた、屋台が並ぶ縁日の様子を想い出すせいか?
いつもワクワクしてしまいます

特に、このマーケットは
スパイスの香り、魚屋の匂い、ケバブの匂い、カフェのコーヒーや水タバコなど
色々混ざった異国の香りと
カラフルな衣服や雑貨、それに山と積まれた果物や野菜の色
人々の話し声、笑い声、子供の泣き叫ぶ声や、お母さんの怒鳴る声
そして、ムスリム系の音楽もそれに加わって…

私はロンドンにいることを忘れ
ふっと、突然異空間に紛れ込んでしまいます

天気が良くて時間のある日には
バスを降りてのんびりと探索したい場所の一つ

ここは歩いているだけで五感を刺激されるマーケットです

 

さて、この後バスはCambridge Heath Roadを左に曲がり
その後少し走ると私の目指すBethnal Greenに到着です

Bethnal Greenの駅周辺の雰囲気
ここも又イイんだな〜、私は大好きです

イーストエンドの町の雰囲気の中に緑多い公園があったり
大きな教会やミュージアムと、楽しげなカフェやバー、レストランがあって
そう…なんとなく、小さい上野、という感じ?

このエリアには、多くの若いアーティストが移り住んでいる所なので
美しい街ではないけれど、その代わり
ヒップでエネルギッシュな雰囲気を感じます

そういえば、15年ぐらい前の事だと思うけれど
1人で久しぶりにロンドンへ来たとき、私はここの
Childhood Museamを訪れたことがありました

その時は、ただただ随分遠く、東の果てに来たものだ…
と、思ったことを覚えています

遠い記憶を辿ると、今とは随分様子が違っていました
当時イーストエンドには、すこし怖い雰囲気があったのでしょう

あの日私は、ミュージアムを出ると、辺りを散歩もせずに
すぐに地下鉄の駅へ急ぎ
ホテルのあるSouth Kensingtonに戻ったと、記憶しています

なんとも臆病だったのです

しかし、もうBethnal Greenは怖い所ではなくなり
そして臆病じゃなくなった私は、バスを降りた後
大通りをそのまま北へ進むことにしました

反対側に、ちょっと興味を引かれるレストランやカフェが見えたけれど
今回は、こちら側を歩くことにしよう!
何故なら、今日はこちら側にある、一本の路を目指しているから

その路地、実は7、8年前まで
ロンドンコンテンポラリーアートシーンの、中心的存在だったらしい

当時ロンドンアート事情をチェックする事も
イーストロンドンに来る事もなかった私は
そんな面白そうな状況を全く知らなかった

その頃の写真を見ると、80年代のNYアートシーンの
イメージを彷彿させる
この小さな路地がアート好きな人で溢れかえっているのだ!

そういえば、バブル前の東京もちょっとこんな感じだった
どこの画廊も、元気よくて
プライベートヴューの日には、飲み物を
(そして日本的に食べ物も) 大盤振る舞いしていた

さて、ロンドンオリンピックの影響もあり
この辺りの東ロンドンの安かった地価も高騰してしまった
そして、家賃を支払えなくなったギャラリーは
どんどん店を閉めてしまい、この路から去ることになった

で、その路を歩いてみると…
当時の活気ある面影は今は無く
シャッターが下りている車庫と倉庫街のようだ

その中に壁をグレーや黒で塗った、カッコいい建物があるけれど
これらは生き残りギャラリーで、今は主に貸画廊となってしまったそう…

そして目についたのは、工事現場
ここにも、新しい億ションが建つ予定

活気溢れる当時の事は知らなかったけれど
こうして事情がわかると、なんだか悲しくなる…

それでも、ロンドンイーストアートシーンは止まらない!
毎月最初の木曜日の夜には
イーストエンドの画廊を巡るバスツアーがある
トークショウがあったり、プライベートヴューを観て回るこのツアーは
人気ですぐにチケットが売り切れてしまうから、早めにチェックが必要だ

 

さて、グレーの壁のギャラリーを越えてもう少し歩くと
路地の突き当たりにちょっと気になるものがある
近くに行くと、看板が置いてあった

カフェなのかしら?と、小さなドアのない入り口から中を覗くと
どうやらカフェではないみたい…
ショップなのかしら?

中に入ってみると

ヨーロッパで見つけてきた古いタイルやオリジナルのタイル
それと質感ある仕上げにした床材木を展示販売する
ギャラリーであり、インテリアデザインの会社でした

なぜか電気があまり付いていない店内は、薄暗く
主な明かりは窓からの光
窓辺の中央にフレンチドアーがあり、それが開いている

気持ちの良さそうな庭へ、出られそうだったので
ちょっと出てみることにした…

すると、出て見てビックリ!
そこに庭はなかった
あったのは、運河に浮かぶ船へ降りるための橋だった
どうやら、この船はお店のオーナー達が暮らしている
船の家(Barge)だったみたい

それにしても、ここにも運河があったんだ…
特にイーストロンドンを歩いていると、小さな運河が多いので
思わぬ所で、それらに出会えて楽しい

私はとにかく水が好きだから
川や海の近くにいることで、心が弾み、そして落ち着く
川を見たら、運河沿いを散歩したくなってしまった…

運河沿いの小径に降りられるところが、近くにきっとあるはずだ!

そう、思って大通りまで戻って来た時に
カフェ?レストラン?があったので
散歩の前に、一休みしようと中へ入った
カウンターへ行ってカフェを注文しようとした私が目にしたのが

PERONI

その途端に、喉が渇いて…
誘惑に負けた!
午後3時だけれど、ま、イイッか…
運河沿いの散歩の前に、ビールを一杯頂くことにした!

th_Bethnal Greenーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【きょうのヒント】
今回のカフェ/レストラン/バーは、かつてはアートシーンで活気のあった
小路の入り口の角
運河に並行している路だから、簡単に見つけられると思う

Bethnal Greenとその周辺には
探索したいと思っているところがまだまだある
なんだかこの辺りを歩いているとワクワクする!
この近辺の探検散歩に、これからも行きますよー!

【前回のこたえ】
Cable Cafe Bar
8 Brixton Road, SW9 6BU
opening hours: 8:30-23:00 Mon-Thur&Sun, 8:30-1:00, Fri/Sat

 

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About Author

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東京生まれ、ロンドン在住の絵本作家。高校卒業してすぐに渡米。その後、パリ、南仏に暮らし、ロンドンへ。ロンドンでセシルコリン氏に師事、絵や陶芸などを学ぶ。1984年からイギリス人の夫と2人の子供と暮らしながら東京で20年以上イラストレーターとして活躍、その間、「レイジーメイドの不思議な世界」(中経出版)の他、「ある日」「ダダ」「パパのたんじょうび」(架空社)といった絵本を出版。再渡英後はエジンバラに在住後、ロンドンへ。本の表紙、ジャムのラベル、広告、お店の看板絵なども手がけている。現在はロンドンのアトリエに籠って静かに絵を描いたりお話を創る毎日。生み出した代表的なキャラに、レイジーメード、ダイルクロコダイル氏などがいる。あぶそる〜とロンドンにはロンドンのカフェ・イラスト・シリーズを連載。好きなものはお茶、散歩、空想、友達とのお喋り、読書、ワイン、料理、インテリア、自転車、スコーン、海・樹を見ること、旅行、石(特にハート型)、飛行場etc etc...

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