クリスマスの短い三つのお話

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以前にここで書いたことがあるのだけれど
それはかれこれもう16年前のこと
私はクロックンCDというプロジェクトに参加しました

建築家の友人から誘われた企画で
CD版の壁掛け時計プロジェクト

私の仕事は1ヶ月以内に
CD版に貼り付けられるドーナツ型のイラストを
50枚描く、ということ

1ヶ月に50枚は結構大変だったけれど
It’s time to…というテーマにして絵を描き始めたら
面白いように、いろいろなアイディアが浮かんで
スラスラと50枚描くことが出来ました

クロックンCDは
CDに収めている50枚の画像をプリントアウトして
CDに貼れば、50種類の壁掛け時計を楽しむことができる
という、企画で

「カオルちゃん、これは売れるよ!」

と建築家のY氏に声をかけられ、時計専門家のK氏との3人チームで始めたプロジェクト

私たちは、頑張って作って、宣伝して
ハンズなどで売りました

で、結果?
大儲けのはずだったこのプロジェクト
全然売れませんでした!

M氏とK氏は出資もしていたので、大損をしてしまいましたが
私は、50枚のシリーズ物の絵が残ったので、それがいつか使えれば
いいじゃない!と、その時が来るのを呑気に待つことに…

で、あっという間に16年の年月が過ぎた時
壁掛け時計じゃなくて腕時計にしたいと考えている、という連絡がK氏からありました

そして、去年からプレ販売を開始して、今年のクリスマスついに
正式販売開始と、なったのです

今回16年の時を隔てて、私ももう一度何か付け足そう、と思い
絵に対して1話ずつ書き下ろしのショートストーリーを書くことにしました

それは、絵を見て思ったこと、想い出したこと
絵の中のキャラクターから聴いた話
天からインスピレーションを受けて書いたもの…

と色々な方向から
私の頭の中にお話がやってきました

今回はクリスマスが近いこともあるので
2つはクリスマスのお話です

それでは、短い短い三つのお話の始まり始まり…

1)これは、私の忘れられない想い出

クリスマスの想い出
It time to go back Home

私の大好きなクリスマスソング
Chris Rea の Driving Home For Christmas

この絵は、その曲がインスピレーションの素

本当は、雪の降る景色の中
家に戻る家族のイメージを描きたかったけれど
でも、白ばっかりの絵になってしまうので
色はつけることにした

私にも30年ぐらい前のことになるけれど
この曲と同じような
クリスマスの想い出でがある

結婚した次の年のクリスマス
私と夫のアランは、仕事が終わって家に戻ると
さあ、いよいよクリスマス休暇の始まりだ!
と、勢い込んで出発の準備に取り掛かった

綺麗にラップしたプレゼントをたくさん車に積み込んで
Londonのフラットを出発、途中で弟のイアンをピックアップして

私達は、夫の実家があるイギリス南部の美しい町Chichesterに向けて走り出した

田舎の道を走り抜けた車の中で聴いていたラジオからは

やっぱり、Chris Rea の Driving Home For Christmasが…

とても懐かしい私の大切な想い出

2)サーカス という言葉に私はとても惹かれます

サーカスを舞台に、何かお話を…と考えている時に
ミッヒョという、名前がぽっと浮かび、そのあとにこの物語が
私の頭の中に流れ込んできました

サーカス小屋のミッヒョ

サーカス小屋の裏の猿小屋に捨てられていた赤ん坊を見つけたのは
ピエロのピカンティでした

団長に赤ん坊のことを言うと
「それじゃ、お前が育てて立派なサーカス団員にするといい」
ピエロのピカンティは、牛や豚や鶏や馬やライオンや象は育てたことがあるけれど
人間の赤ん坊を育てる知識は全くなかったので

「さてと、どうするか???」

と、思いながらも、子供にミッヒョと名付けました
そして、サーカス小屋の空中ブランコダンサーで
仲良くしているルビーの助けを借りて
ミッヒョを大切に育て始めました

ミッヒョはサーカス小屋の皆から愛され
特に、ルビーはミッヒョを自分の子供のように愛し
大事に育てるのでした

ルビーはミッヒョがぐずると
子守唄を唄いながらミッヒョを背負い空中ブランコに乗り
そして、ミッヒョが泣き止むまで、ブーランブーランと
揺れながら、歌を唄い続けます

ミッヒョは象やライオンや猿の子供と一緒に育ったので
動物の言葉を覚え、5歳になるまで
人間の言葉は全く話しませんでした

11歳の誕生日を迎えた朝

突然、ピエロのピカンティとルビーに向かって

「お父さん、お母さん、僕はこれから旅に出ます」

と、宣言をすると
枕カバーを外し、そこに少しだけ必要なものを詰め込んで
その袋を担いで、ライオンの背中にヒョイっと飛び乗り

サーカス小屋を出て行きました

突然残されたピカンティとルビーは
嘆き悲しみましたが、ミッヒョが戻るまで
元気にしていようと誓い合い
そして結婚しました

それから、随分と月日が経ちました

ある、新月の美しい夜のことでした
出て行く時と同じぐらい、思いがけず

ミッヒョが年老いたライオンを連れて
サーカス小屋に戻ってきました

立派になったミッヒョを見て
ピカンティとルビーは、大層喜びました

ミッヒョは、綱渡り技法で旅をしていましたので
綱渡りの大家になりました

山頂と山頂の間にロープを張って、渡ったり
湖を横断するのにも、ロープを張って綱渡りです
どこでも自由自在に綱渡りが出来るようになったミッヒョは

サーカス小屋ばかりでなく、今では世界中で大人気の
綱渡り師となったのです

3)サンタを巡っって何かホロっとさせるものを書いてみたいな
と、思って書いた、クリスマスショートストーリー

クリスマスストーリー
幻のサンタ

彼は、家族が集まって、楽しい時間を過ごすクリスマスが大嫌いだ
その理由は、彼には仲良く楽しく集まる家族がいないから
ただ一人、寝たきりで
彼のことも判らない老いた母が老人ホームにいるだけ…

ここ数年クリスマスの朝、彼はホームにいる母に会いに行き
花束とプレゼントを置いて来る。母は不思議そうな顔をして
他人行儀に「どなた様かわかりませんが、どうも有難うございます」と言って
又すぐ目を瞑る

クリスマスデーは、どこの店も閉まっているけれど
一つだけ開いているカフェがホームの近くにあるので
そこへ寄って、いつもと同じフルブレックファーストの朝食を摂る
その後は、仕事場である病院へ直行

彼は眼科医、誰もクリスマスには働きたくないので
毎年、クリスマスイブとクリスマスデーの仕事は彼が引き受けることにしている
仕事をしていれば、気が紛れるし
あっという間に嫌いなクリスマスが過ぎ去ってゆく

今年も又同じように時間が過ぎ、夕方になり病院のキャンティーンで
新聞を読みながら、名ばかりのクリスマスディナーを食べていた

ふっと窓の外に目を移すと
サンタクロースのような赤いコートを着ている酔っ払いが
フラフラと道を歩いているのが見えた
「危ないな…」
そう思いながらも、彼は又新聞に戻り
あまり興味のない記事を読み続けた

午前一時過ぎに仕事がやっと終わって外に出ると
雪でも降りそうな、キリッと身が引き締まるような寒さを感じ
彼はコートの襟を立てて、足早に駐車場へ向かった
救急車以外は停まっていない駐車場に、彼の車が
オレンジ色の電気の下で寂しそうに、彼の来るのを待っていた

彼の自慢のジャガーに近づいた時
「メリークリスマス、ドミニック」
と、言って車の陰から突然男が出てきて彼を驚かせた
それはさっきキャンティーンの窓から見た、
赤いサンタクロースのコスチュームに身を固めた酔っ払いだった

「なんで私の名前を知っている?  会ったことがあるかな?」
「サンタクロースは、みんなの名前を知っているんだよ、君が
ちっちゃな坊やだった頃からね…」
多分、彼の患者の一人だろう、と思い
「メリークリスマス、サンタクロース、私も貴方の名前は小さい頃から
知っているよ、でも今の私はサンタクロースとは縁が切れた。さ、どいてくれ
寒くてしょうがない」
彼が車のドアを開けようして、酔っ払いサンタに言うと

「サンタクロースは、縁を切ることはしないのだよ、いつも君のそばにいる」

そう言いながら、大きな手を彼の肩に回し、彼を抱きしめ
そして、もう一度「メーリークリスマス、ドミニック」と言うと
彼に小さなプレゼントを渡した

その瞬間、ドミニックは彼の大きな暖かいベッドの中で目が覚めた

「なんだ、夢だったのか…」

まだ外は暗かったけれど、すっかり目が覚めてしまったドミニックは
シャワーを浴びて、病院へ行く支度を始めた

コートを着てドアの玄関を閉めようと思った時
ポケットに何かが入っているのに気がついた

手を入れると、それは夢の中で酔っ払いサンタにもらった
小さなプレゼントだった

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【今日のヒント】
さて、今回のカフェは
私のかなりお気に入り、大大好きなカフェの一つ 時々朝早く
混まないうちにiPad持参で行って、バーに座ってコーヒー飲みながら仕事をする
あの眺めを見ながら仕事ができるって、ロンドン在住の特権だね!
ヒントは、テムズ川沿にあるカッコいい美術館のカフェ

【前回のこたえ】
Biscuiteers
194 Kensington Park Road, London W11 2ES

 

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About Author

島田カオル

東京生まれ、ロンドン在住の絵本作家。高校卒業してすぐに渡米。その後、パリ、南仏に暮らし、ロンドンへ。ロンドンでセシルコリン氏に師事、絵や陶芸などを学ぶ。1984年からイギリス人の夫と2人の子供と暮らしながら東京で20年以上イラストレーターとして活躍、その間、「レイジーメイドの不思議な世界」(中経出版)の他、「ある日」「ダダ」「パパのたんじょうび」(架空社)といった絵本を出版。再渡英後はエジンバラに在住後、ロンドンへ。本の表紙、ジャムのラベル、広告、お店の看板絵なども手がけている。現在はロンドンのアトリエに籠って静かに絵を描いたりお話を創る毎日。生み出した代表的なキャラに、レイジーメード、ダイルクロコダイル氏などがいる。あぶそる〜とロンドンにはロンドンのカフェ・イラスト・シリーズを連載。好きなものはお茶、散歩、空想、友達とのお喋り、読書、ワイン、料理、インテリア、自転車、スコーン、海・樹を見ること、旅行、石(特にハート型)、飛行場etc etc...

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