「アガサ・クリスティーを味わう」アフタヌーンティー@帝国ホテル

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英国を代表する「ミステリーの女王」として名を馳せたアガサ・クリスティー。クリスティーの代表作といえば「アクロイド殺人事件」「そして誰もいなくなった」…などきりがありませんね。どの作品もここで取り上げるのが憚るくらいの有名作品ですが、結末がわかっていても2度3度読み直してしまうのは私だけではないと思います。

さて、今年はアガサ・クリスティー生誕130周年・デビュー100周年。そして日本のホテル業界を常にリードしてきたトップクラスの「帝国ホテル東京」も開業130周年(1890年)を迎えました。この記念すべき年に、推理小説の世界で登場する食材を三段ティースタンドにのせた「アガサ・クリスティーの世界を味わう英国アフタヌーンティー」が本館17階「インペリアルラウンジ アクア」で10/31(土)で終わりを迎えます。我々が現代から小説の中に入り込み、その時代に表現された食材を舌と感覚で楽しむ妄想の2時間。皇居を望む壁一面の大きな窓のラウンジでいただくアフタヌーンティーは、いうまでもなく大人気でありました。

絶好のロケーションで季節ごとに変わるアフタヌーンティーを♬

実は秋という季節は私の誕生月であります。昨年も秋生まれの友人ウメちゃんと、バースデイ・アフタヌーンティーを目黒の「スリーティアーズ」さんで開催しました。もちろん、今年も盛大に開催したい!というわけで帝国ホテルへ、アガサ・クリスティーの世界も堪能しつつのお誕生会です ♪

都内に住んでいるとはいえ、帝国ホテルなんて、そぉ〜度々行くもんじゃ〜ぁございません。まずは遠目に眺めてみた(日比谷公園から)。お次はラウンジ前に展示されている作品をジーっと見た。極め付けは左手に日比谷公園、その奥に皇居を一望しながら、バシャバシャ写真を撮ってみた(最上階17階から)。するとラインが1通…「早く到着し過ぎたので、ラウンジ前の大きな窓の前で座ってます」とウメちゃんより。「えっ!!私ここにいるやん、バシャバシャ写真撮ってたやん!なんで気付けへんの〜」といきなり二人、一年ぶりの再会、しかも大笑い、馬鹿笑い(お〜恥ずかしぃw)

1890年(明治23年)海外の賓客をもてなす迎賓館として、東京、日比谷に誕生

1890年9月15日、イギリス、デヴォン州のトーキーに生まれる

日比谷公園の緑を眺めながら…ちょっと曇り

この日は雲の合間から青空がちょこちょこ顔を出すお天気。大きな窓から明るい光の差し込む窓辺のゆったりした席でした。陽の差すこの時間帯は、日比谷公園の緑が穏やかな時間で私たちを包んでくれます。
まずはアガサ・クリスティーのサインがプリントされた数枚のコースターから、一人一枚選びます。手にとった一枚を裏返すと、そこには彼女の一作品が描かれています。私が選んだ一枚は「動く指」(1943年)。タイトルの如く不気味な聞こえと、コースターの緑の中に描かれている張り詰めた蜘蛛の巣に絡み合う一つ一つの事柄を、ミス・マープルが指を動かし毛糸を編みながら、真相を教え導いてゆくというお話。出だしからの帝国ホテル流の粋な演出。もったいなくてコースターには使えません。この日の記念にお土産としてお持ち帰り決定です。

飲み物も紅茶、ハーブティー、フレーバーティー他、様々なメニューの品揃え。お好きなものをチョイスできます。但し、次のお茶を頼む頃合いは気持ち早めのご注文を。お客様の「安心・安全」の為に徹底した対策を取られています。よって何事にも時間を要するのは大切な事。少し時間を先読みされて注文されるのもいいかと思います。私たちはティースタンドを下段、中段、上段の順番にいただきました。そしてホテルお勧めの紅茶を順番にお願いしてみました。これがなんとも相性抜群でした。

おすすめ紅茶

①ラプサンスーチョン:スモーキーな松の香りがきゅうりのサンドイッチにぴったりでした。
②ミカド:繊細で紅茶本来のすっきりとした味わいと香りを楽しみながら中段のセイボリーへ。
③カメリアズ ウェルカムティー:ラムやフィッシュケーキと共に緑茶、白茶、生姜のブレンドがスッキリ。
④スージングローズ(バラのなごみのお茶):目を閉じていても香るバラとスパイシーさがさらに甘いデザートを誘います。

小説内に登場する食材たち

 

◆マッシュポテトと牛挽肉のキッシュ
◆クランペットとサーモンムース 「ヒッコリー・ロードの殺人」(1955年)
◆キュウリとチーズのサンドイッチ
◆プレーン・レーズンスコーン(イチゴジャム・クロテッドクリーム・はちみつ)

帝国ホテル流にアレンジされたアガサのセイボリーやお菓子の数々

甘味が強いサルタナレーズンを使用。美味しい!

こんな小ぶりのスコーンをいただくのは初めて。ホテルタイプなのでしょうか。サックサクのこの大きさが逆にすんなりお腹におさまって、まだまだティーフーズがいただけます。柔らかい小型のクランペットといい、まさに帝国ホテル流スリーティアーズの演出ですね。私は丸いクランペットしか見たこと、食べたことはないのですが「ヒッコリー・ロードの殺人」では四角いクランペットが登場していました。文中では「ホットケーキ」(早川書房/高橋豊訳)と表現されていました。次回はたっぷりのバターでクランペットをいただきたいですね。

 

◆ミント薫るラムの煮込み 「世界の果て」(1926年)
◆ロブスターのグリーンサラダ
◆キッパーズのフィッシュケーキ 「バートラム・ホテル」(1965年)

アガサが大好きだったロブスターを時を超えてご一緒に

どんなに時が流れても「昔の英国」が居心地よく既製された古風なバートラム・ホテル。モデルとなったホテルはロンドンで最も伝統あるホテルのひとつ「ブラウンズ」だそう。「ブラウンズ」といえばアフタヌーンティーも最高級。私がロンドンで初めて訪れたアフタヌーンティーでもあります。そういえばいつも笑顔のドアマンが立っていらっしゃる。そのドアマンが小説の中では・・・。あぁ〜現実と小説が錯綜してしまう。

 

◆キャラウェイシードケーキ 「バートラム・ホテル」(1965年)
◆トライフル 「火曜クラブ」(1932年)
◆ブレッドプティング 「動く指」(1943年)
◆メレンゲ「火曜クラブ」に登場するトライフル

ピスタチオとカカオニブのメレンゲ。なんとも上品で繊細なメレンゲだこと♡ひとくちで美味しさが十分に味わえます

多量の砒素がもられたトライフルによる毒殺。そのトライフルに散りばめられていた hundreds and thousands (色とりどりのあられ砂糖)。ミス・マープルの直感力がいとも簡単に解決へと導いてしまう短篇である。編み物をしながら、周囲を観察し、その好奇心があらゆるものをキャッチしていくんでしょうね。それゆえに、人の悲しみややるせなさも受け止めているはず。だからミス・マープルの言葉に時々はっとさせられる時があるのです。ポアロ派か、ミス・マープル派か?と聞かれたら、ミス・マープルが時折ぽろりとこぼす台詞に共感することは事実です。
例えば…
『人は過去へもどることも、また過去へもどろうとしてもいけない ー 人生は前へ進むことだということ。ほんとに、人生って、“一方通行” なんですね?』(「バートラム・ホテルにて」より)極端な言い方ですが、目玉は上にも下にも横にも後ろにもついていない。前に向いてついている意味を考えさせられます。立ち止まりたい時は、静かに目を閉じてその場で立っていればいい、次の一歩を踏み出せる日が時が来るまでは…なんて思ってしまいます。

国内外のゲストを迎える伝統格式ある帝国ホテルでのひととき。オリジナリティあふれるアフタヌーンティーを満喫しました。英国の国民的作家として揺るぎない地位をこの先も築き続け、私たちはこれからも同じ作品を何度も読んでは観続けるのでしょう。本を読みたくなる季節。新訳も出ていますので読み比べてみるのもいいですね。あたたかい紅茶と英国菓子と一緒に。

そして次回帝国ホテルのアフタヌーンティーはPEANTUS誕生70周年と帝国ホテル開業130周年を記念した「SNOOPYアフタヌーンティー1950’s」(2020/11/01~2021/01/11)。
この東京のど真ん中でホリデーシーズンをどうぞお楽しみください。

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【帝国ホテル 東京】バーラウンジ インペリアルラウンジ アクア
https://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/restaurant/imperial_aqua/
〒100-8558東京都千代田区内幸町1-1-1
TEL:03-3504-1111

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兵庫県伊丹市出身。東京都在住。主婦時々パートタイムジョブをこなす。子育て期をニューヨーク、ロンドンにて駐在生活を送る。思いつきのその日決めで行動する一匹オオカミ派。『成るように成る』をモットーに今世を生きる。水泳・ジョギング・登山・ウクレレ・映画・ライヴ鑑賞・奉仕活動と未知なる自分を今後も探求し続ける。Instagram: @n_amihey

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