英国を感じる本がズラリ【リーディングマグ】の優しく多様な空間

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名古屋市地下鉄 星ヶ丘駅。マンモス学区西山小学校の近くにある西山商店街。この場所に2021年10月、子供たちに多様性を伝えるセレクト本屋「リーディングマグ」さんがオープンしました。店主はたくさんの子供たち、学生さんたちに、この広い世界の多様性を知って感じて考えて欲しい、そんな思いを伝える場所を作りたかったのです。

隣は公園。花や緑、子供たちがたくさんな場所。

店主のキムラナオミさん。子供の頃に読んだ洋書絵本の美しさに惹かれ、グラフィックデザイナーとなり、本の装丁の仕事をしていました。そんな中、彼女は図書館で、30年ほど前のある一冊のイギリスの本に出会うのです。それは子供向けに英単語を紹介したものでした。例文の面白さやイラストが楽しくて、そのうちに借りるのではなく、手元に置いておきたいと思うようになったのです。しかしネットで探しても世界中どこにもありません。そんな時、古本による町おこしで有名な街、ヘイ・オン・ワイ(イングランドとウェールズの端境にある小さな街)を知ることになるのです。

「もしかしたらサイトを持っていないイギリスの本屋さんにあるかもしれない!」2011年彼女の思いは現実となり、ヘイの街中の古本屋さんを歩き訪ねる旅に出たのです。残念ながらその一冊を探し出すことはできませんでしたが、代わりに洋書の装丁の素晴らしさ、現地の店主さんの優しさに触れることになりました、部屋ごとにカテゴリ分けされている本屋さんや、お庭が書店になっていたり、雑貨屋さんやカフェが併設されているところなど、本屋自体が「地域のコミュニティの場」になっていることに気付かされたのでした。そう、古本の街に恋してしまったのです♪

イラスト満載!

その後、親子でロンドンホームステイも経験されました。同時にチャリティショップの存在、マーケットにディスプレイ、そしてイギリスで何を食べても美味しかった!と♡ 私も同感!美味しい国イギリスです。

2018年よりオンラインで洋書の本屋「Reading Mug」を運営。洋書の新刊も扱っていますがメインは古書。ヴィンテージなコレクターズアイテムから、日本未発売やあまり知られていないイギリスやアメリカの人気児童書が並びます。近年は海外へ買い付けに行けない為、イギリス在住の翻訳家である友人Yuko Perryさんから本を送ってもらっているそうですよ。

【一部sold outあり】右上:Good Old-Fashioned Cakes(ナショナル・トラスト監修)/右下:Scone or Scone(クロテッドクリームなどのうんちくもあり)/左:The Great British Afternoon Tea Cook Book(かなりカジュアルレシピ)

ではなぜ出店にいたったか? それはこの場所で名古屋市主催の「商店街オープン」という地域活性化のワークショップが開催されることを知り、イギリスの独立書店と同じような「地域のコミュニティの場」としての本屋を、この場所で開業することができたら素敵ではないかという思いからだったそうです。

2月のある日の早朝、我らは兵庫県宝塚市にあるスターバックスコーヒー中山寺店で朝食後、名神高速をひたすら名古屋目指して走り続けました。行き先は同じだけれど、目的が違う仲間たち(笑)。

名古屋市内でランチ後、夜まで自由行動。私は車で皆をそれぞれの場所まで送り届け、時計を見たら14時30分。ホテルにチェックインしてもよかったのだが、夜の集合までまだまだ時間がある。せっかく名古屋まで来たのだから、さてどうしよう…。そこで名古屋なら、ポン!と思い浮かんだのが西山商店街の「リーディングマグ」さん。

大きな窓と扉を取り囲むように彩られた美しいティールブルーの外観。ティールブルーの向こうにはどんな世界がつまっているのだろうと、いつも気になっていたから。迷わずナビを設定して車を走らせました。お店の真横にある商店街の駐車場に駐車(とても便利!)ちょっとドキドキしながらドアに手をかけ中に入った。

あの日は「名古屋ってこんなに寒いのか?!」と思うぐらいの冷たさ。しかし大きな窓から差し込む陽の光は、店の奥までずんと延びていて、暖かさでしかなかった。フリースペースではチョコレートのワークショップの第二部開催前で、続々と参加者の皆様がご来店。クラスではカカオの皮をむき、石臼でチョコレートにするところまでを体験。参加していない私や他のお客様は、甘くてほろ苦い空間を共有できるという、なんとも贅沢な場所。

本棚背面のペンキ塗りも自分たちの手作り

フリーマーケットで見つけたというアンティークなマガジンラックがステキ⭐︎

そしてワークショップの真横には、棚一杯に広がった米粉を使用した焼き菓子たち。本屋を運営するにあたり、複合的にいろんなテナントさんが入っているような本屋さんだったらいいのではないか、と考えた店主キムラさんは出店者を募集されました。その結果、イギリスはじめ欧米でも人気のグルテンフリーのお菓子を扱う「粉粉」さんが出店。「おやつは心の栄養」この言葉を胸に、毎日安全で優しい焼き菓子を提供しています。

クックブックがずらり。レシピはもちろんのこと、テーブルセッティングやティーパーティーのヒントにもなりそうです。表紙もデザインも文字も美しい!

イギリスの作家レイチェル・ウェルズの「Alfie the Doorstep Cat:通い猫アルフィー」。読書会から広がる様々な思いや知識。読んでなくても興味がある方、また読書会ってなんだろう、一緒に共有して学び分かち合える場所でもあります。洋書の読み聞かせや、洋書絵本の会も行うそうですよ。

 

児童書が並ぶ中、1組の母娘さんが随分長く本を手に取っておられました。娘さんは座り込んで楽しんでいたよう。最後に店主キムラさんとお話をされてお店を出られました。ふと娘さんが座り込んでいた場所を見ると、なんと黒猫のクッションが!かわいい〜 (=^ェ^=) そして本棚には猫の本。先ほどティールブルーの外観の写真にも「ねこ」「絵本」とありましたね。猫の洋書和書もたくさん、ねこ専門店みたいに取り揃えておられます。「えっ!」と驚きや発見のある本屋さん。いろんな意味で長居してしまう♪  母娘さんの気持ちがよ〜くわかりました(笑)

 

ロゴ入りオリジナルマグカップ。内側のロゴがポイント!お子様にもオススメの少し小さめマグ。

イギリスといえばロンドン南西部に広がる王立植物園キューガーデンも店主キムラさんが大好きな場所だそう。スケールの大きさと景観の美しさは言葉には表現できないくらいです。どうぞ手に取ってその素晴らしさを感じてみてくださいね。

「THE BOTANICAL CITY」残念ながらsold out

本のみならず、イギリスを間近に感じられる雑貨オンパレード。ついパシャパシャ撮ってしまいました。今日はワークショップや猫イベント開催の為、通常ディスプレイされているユニオンジャックなどは飾られていなかったのですが、1ページめくればイギリス。一歩歩けばフィリップ王配に出会えます。

一番私の目に留まったのは、日本語翻訳とその原書が、2冊並んで販売されているところ。これってすごいことだと思うのです。私たち家族がアメリカに駐在していた頃、子供たち3人が通う現地校では指定された本を購入して授業が進められることが度々でした。夏休みは日本のような各教科ごとの宿題はないのですが、唯一サマーリーディングリストを与えられ、読書だけは必死に頑張っていました。でもあの英語だけの長い本、到底読み解けません。その時に大活躍したのが翻訳本。家庭教師の先生とともに二つの言語で読み解いていくのです。完全に理解することはできなくとも、海外の文学に触れることや、日本語だとこう書いてるものが、英語ではこんなふうに表現されるんだ、英語ってかっこいいな〜なんてところまで当時考えられるようになりました。リーディングマグさんの本棚には2冊が隣り合わせに並んでいます。英語へのきっかけはなんだっていい、そんな興味を持たせてくれる場所だと感じました。

「ハートストッパー」イギリス発ベストセラー青春ボーイズラブストーリー

さて、イギリスから本を送ってくれる店主キムラさんの友人で翻訳家のYuko Perryさんが、3月から「The Bookshop Tours of Britain(英国本屋巡り)」翻訳本発行のクラウドファンディングに挑戦されます。その本はこちら:

「本屋を愛してやまない作者ルイーズ・ボランドが、独立系書店を軸にイギリス中を旅する本屋巡りのツアーガイド/紀行文です」(thousandsbooksより)

発起人Yukoさんは「世の中にはまだまだ素敵で見るべきものがある」と。店主キムラさんは「それを伝えるこの本を、是非日本語で多くの人に味わってもらいたい」と応援しています。心に響く一冊を応援してみたい方はどうぞこちらをご覧くだいませ →http://thousandsofbooks.jp/project/bookshoptours/

ねこ、洋書、イギリス、美味しいおやつ、チャリティショップ他いっぱい書き切れないほどの今回の名古屋訪問。読書会、モーニングイングリッシュレッスン、編み物のダーニング教室(靴下やニットの穴などを縫う衣服の修繕法)などイベントが盛り沢山! 音楽も映画も、たくさんの多様な世界を多くの人と共有していくことが、リーディングマグ店主キムラさんの願い。日本語だったり英語だったり他の言語だったり、本屋という場所で情報として発信していきたい。そして何よりもいろいろな種類の本をたくさん皆さんに紹介したいと考えておられます。

ありがとうございます!「ロンドンでしたい100のこと」あぶそる〜とロンドン/江國まゆ&ネモ・ロバーツ

 

本屋がつなげてくれるのは、本と人、そして街や国」と語る店主キムラさんの言葉が印象的でした。
またいつか名古屋に行けたなら、西山商店街に行ってみよう。「リーディングマグ」さんの本に囲まれ、「粉粉」さんの焼き菓子を食べながら、気になるワークショップに参加してみよう! そう心に誓った名古屋の旅でした。

 

 

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【charity book shopk「Reading Mug(リーディングマグ)」】
〒465-0085 愛知県名古屋市名東区西山本通2-31 ⭐︎星ヶ丘駅より徒歩16分/市バス西山本通2丁目バス停すぐ
定休日:月・火
営業時間:11:00~19:00(粉粉さんは~18:00 お菓子なくなり次第終わり)
Website
Instagram
note
🇬🇧イギリス好き店主キムラナオミさんのInstagram

 

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About Author

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兵庫県伊丹市出身。東京都在住。主婦時々パートタイムジョブをこなす。子育て期をニューヨーク、ロンドンにて駐在生活を送る。思いつきのその日決めで行動する一匹オオカミ派。『成るように成る』をモットーに今世を生きる。水泳・ジョギング・登山・ウクレレ・映画・ライヴ鑑賞・奉仕活動と未知なる自分を今後も探求し続ける。Instagram: @n_amihey

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