5月のイギリス、特に田舎には白い花が様々咲いています。
レースフラワー、エルダーフラワーなどなど。なかでも生垣としてよく使われるのがホーソンです。
ホーソンとは日本語では「さんざしの花」、別名メイフラワーといいます。
そういえば、アメリカ独立の約150年前である1620年にピルグリム・ファーザーズとして、清教徒たちがイギリスからアメリカ大陸を目指して旅だったのもメイフラワー号という船でした。
メイフラワーとは、まさに「5月の花」。日本にいたころ小説や歴史でこの名前を耳にしても、じっさいにイギリスに住むまでは「さんざしの花」と聞いても、ピンときませんでした。
ちなみに、さんざしは消化吸収を助ける生薬として中国から日本に入ってきたので、漢方薬に使われるそうです。それにたいしてホーソン(西洋さんざし)は、下記のレシピのところで詳しく書きますが、ハートに効く植物といわれます。
こちらでは、ホーソンは本当にどこにでもある灌木で、生垣としても一般的です。コッツウォルズの家の周りでは、牧場の仕切りにもなっていて、下の方の枝は丸はだか。なぜだろう??と思っていたら、羊たちが食べてしまうからと分かりました。
ホーソンの花は、一般的には白い花びらなのですが、たまに薄紅色や濃いピンクの物もあり、隣村でみつけたのは珍しいものです。
新緑の頃は、黄緑色の葉っぱと、白い花が爽やかなコントラストで野を彩ります。そして秋になると、春の白い花からは想像もできないような、真っ赤な小さな実がなります。
さて、五月晴れのある日、いつものように散歩に出かけホーソンの花を摘んできました。
今回の目的は、ホーソンブランディを仕上げるためです。去年の秋にホーソンベリーを採集しスパイスと一緒にブランデーにつけ込んであります。ここに花を漬け込んで約1ヵ月、冷暗所で保存するとホーソンブランディの出来上がり。
文献によると、ホーソンは心臓への効用が素晴らしいとあります。
循環器系に良いということで、心臓病の予防、高血圧だけでなく低血圧にも効くそうです。また、手足などの末端の血液の巡りも良くするので冷え性にも良いらしい。
さらに、ハートにも効くと昔から言われていて、心の面でも「ハートの問題はホーソン」というのだそう。なんでも、ハートブレイク、失恋とか鬱や落ち込んだときにも効く!?
さて、参考にしたのは、わたしにとっては台所薬局・手づくり薬箱を充実させるためのバイブル的参考文献である「The Handmade Apothecary」。実と花の両方を半年ほどの時間差で漬け込むことで、ホーソンのエキスを余すところなく利用するレシピです。
【材料】
秋に漬け込むもの:
ホーソンベリー500g
ブランディ750ml
ブラウンシュガー100g
シナモン3本
クローブ10個
ナツメグ小さじ1/2
オレンジの皮(おろして)1個分
春に足すもの:
ホーソンの若い花 両手にいっぱい程
このホーソンブランディができたら、おちょこに1杯ぐらい毎日飲むようにすると体質改善になるので、まさに薬用酒ということですね。
私はヨガを始めて冷え性が治りましたが、娘は家系なのか、夏でも手足が冷たく、冬になると霜やけができるほど末端の血液血液の巡りが悪いです。娘にもすすめようかしら。
冬のイギリスの飲み物として、ホットトディというのがあります。ウイスキーやブランディにスパイス類を入れてお湯で割り温め、すこし砂糖で甘くしたもの。身体が凍えそうな時に飲む伝統的な冬の飲み物です。この冬はホーソンブランディで、ホットトディ作ってみたいと思います。その時の様子はまたレポートしますね。
今回漬け込み作業をしながら、思い出したのが実家の初夏の年中行事だった梅酒の仕込みのこと。
こういう季節の仕込みものって、花や実を最高のタイミングで採りたい一心から、毎日の天気や植物の様子をじっくり観察するクセがつくんですよね。それが自然のリズムで暮らす生活の土台を作っているなと感じます。
さあ、あと1ヶ月したら漬け込んだ花と実、スパイスを漉して保存瓶に詰め替えて出来上がり!
う〜ん、楽しみです♪
2件のコメント
Keikoさま、ホームステイ先の奥様もを楽しむ方だったのですね。
メイフラワーのピンクや八重も同様に使えることと思います。
コーディアルもイギリスの伝統的な飲みものです。
来月、ちょっとひねったレシピをご紹介できるようにいま試行錯誤中ですので、お楽しみに!
はじめまして。
私は25年くらい前にイギリスの田舎街でホームステイをしていました。
当時のランドレディはよく手作りをされるかたで散歩道沿いのベリーを摘んでジャムにしたり
エルダーフラワーを摘んでコーディアルやケーキを作っていたのを思い出しました。
この白い花を「メイというのよ」と教わって、私はずっと「メイ」と思っていたのですが、
本当はメイフラワーと言うんだったんですね!食用になるのも初めてしりました!
八重のように咲くピンクとも同種だったのも知らなかった~。。
こちらも食用に使われるのでしょうか、気になります。
これからも楽しみに拝読させていただきます。