夫婦の在りかたって?

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イースターが過ぎて、春本番かと思いきや!
雪やアラレが降ったり、霜が降りたり、なんとも天候が定まらないイギリスです。

こちらでは4月12日からロックダウンが少し緩和され、春の陽差しとともに少しずつ人々の気分が明るくなっています。1年間で計3回のロックダウンとなったイギリスですが、3回目のロックダウン中、先月末に27回目の結婚記念日を迎えました。

イギリス人の夫とは東京で出会い結婚。これまでずっと結婚記念日は都会で迎えてきました。だから「レストランで祝うのがあたりまえ」と感じていたけど、今年は初めて田舎の自宅で過ごすことで、これまで見えなかったことが見えてきました。

3人目の子どもを出産後、1年たらずの頃、シンガポールへスライド転勤したのですが、この11年間がまさに結婚生活の荒波にもまれた時期だったことも思い出されます。

お互いに親類や友人など頼る人もないアウェイな土地で、働き盛りの夫は仕事の鬼、わたしは3人の子供達のワンオペ育児。また病気や術後のリハビリを経て、専業主婦から起業してヨガの仕事を始めたりと、人生の転機も迎えました。

当然、夫婦関係もいつも良好だったわけではなく、それなりに荒波をくぐり抜けてきたのです。当時のわたしは(たぶん夫も)余裕がなく、自分にも厳しく他人にも厳しくガチガチだったのかもしれません。しかし自分を心の底から「まるごと」愛して認めることができないと、周りとの関係も、上手くいかないものです。

シンガポールは四季もなく、自然環境という点では限界のある都市国家です。地に足をつけた生活をするのも難しい面がありました。今でもシンガポールは大好きなのですが、高層住宅の建ち並ぶコンクリートジャングルは、海辺の小さな町育ちの身には辛かったのも事実。

イギリスに引越して、ホッとしたのは緑の豊かさです。大地に支えられているという安心感。夫の働き方も、毎週のように出張にでることもなくなり、週末を愉しむ余裕も出てきました。3年前に夫がリタイアしてからは、本格的にロンドンとコッツウォルズの2拠点生活となり、田舎で過ごす時間がさらにふえてきました。

田舎で過ごす時間が増えるにつれ、夫がやっと自分のルーツを再発見できたのか、生き生きとしてきました。いまは村のコミュニティ・パブの経営というボランティアを全力投球でやっています。

わたしも四季の巡りを感じる生活の豊かさ、自然のリズムで生きること、環境が心身に与える影響などを体感しています。五感が歓ぶことが、すなわち究極のセルフケアだと思うのです。

このように紆余曲折を経て、年とともに丸くなってきたこともあり、以前のようなピリピリした雰囲気はなくなったのが、27年連れ添った今年のわたし達かな、と先日の結婚記念日に振り返ることができました。

さて、今年に話を戻しましょう。

今年はレストランなどが閉店中なので、この日をどうやってスペシャルな日として祝うか?頭を悩ませ、

「そうだガーデンセンターに行こう!」

と思いついて、ワクワクしたじぶんを発見しました。ガーデニングは不得意なのに、まさか結婚記念日にガーデンセンターに行くことを心待ちにする日が来るとは思いませんでしたよ。向かったのは北コッツウォルズの自宅から1時間ほどの距離にあるガーデンセンターBurford Garden Companyです!

ちょうどイースター前だったのでチョコレートや春らしい飾り付けです。

この店は品揃えが素晴らしく、お花や植物の種類もさることながら、ブティック、本屋さんそしてインテリア、雑貨、アートなども取り扱っています。併設のファームショップやカフェのクオリティも悪くない。小洒落た複合セレクトショップのような感じで、軽く半日は楽しめるのです。わたしはロンドンへの往復で立ち寄ることも多いです。

ここ数ヶ月ほど外出と言えばスーパーだけだったので、ハーブや球根、春の花を選んだり、庭の鉢植えを買ったりするのも、心躍りました。帰宅後はケーキでお祝い。いつもは優雅な午後のお茶などしないのですが、結婚記念日なので、ちょっとスペシャルに。

自宅でのディナーは珍しく赤のスパークリングワインで乾杯し、前菜にホタテサラダをつくりました。メインは村のパブからテイクアウェイ。

例年とは違う意味で、とても思い出に残る結婚記念日となりました。数年後、2021年の結婚記念日はガーデンセンターに行ったね〜と笑い話になればと思います。

……と、ここまでのことを「例年のようには祝えなかった結婚記念日」という気持ちで書いたのですが、はた、と思い直しました。

それは思い込みかもしれない。

ハレとケという観点でみれば「すでに普通と違った1日」です。こうして夫婦ともども健康にお祝いできたこと、なによりも元気に生きている事実など、「あたりまえ」の日常に感謝するべきですよね。

イギリスでは毎年の結婚記念日に夫婦でカードやプレゼントを贈りあったり、夫から妻に花束を贈ったり、レストランで祝うことも珍しくありません。とくに節目の年には、親戚や友人を呼んで盛大なパーティをすることもよくあります。

日本では銀婚式や金婚式など、節目の結婚記念日以外は、あえて祝うことをしない夫婦も多いかもしれないのに比べて、イギリスでは結婚記念日の年数ごとの名前も、細かく伝統的にこんな呼ばれ方をします。

1年 紙
2年 コットン
3年 レザー
4年 麻と絹
5年 木
6年 鉄
7年 銅
8年 ブロンズ
9年 陶器
10年 錫
20年 磁器
25年 シルバー
30年 真珠
40年 ルビー
50年 金
60年 ダイアモンド

イギリスで毎年結婚記念日を祝う背景には、長続きするカップルが珍しいからということもあるのかもしれません。アメリカほどではないにせよ、イギリスの離婚率はここ数年で増え続けていて、コロナ収束後、さらに増えそうだという予測も出ています。

2019年の統計によると異性結婚のうち42%が離婚するそうです(同性婚ではもっと高い数字)。さらに、結婚したカップルのうち60%が結婚20周年を迎えずに離婚するというデータも出ています。

日英で夫婦のあり方に違いがあるとすれば……それは仮面夫婦が少ないことでしょうか。イギリスでは夫婦間で合わないとか、浮気などが発覚したら、すぐ別居から離婚という流れになることが多いのです。だからこそ、毎年のアニバーサリーで、互いの関係を確かめ合うという面もあるのかもしれません。

わたし自身、結婚の経験は、今のイギリス人の夫のみ。日本を離れて19年たち、日本の現状にも疎くなっております。なので、日本の夫婦の在りかたに関しては、あくまで両親や身近なの人の観察によるものとお断りしておきます。今どきのカップルは違うのかもしれません。

その辺りは、読み手の皆さんからご意見を伺いたいです。

ではまた来月!

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ヨガセラピスト、アーユルヴェーダヘルスコーチ。がんフレンズネットワーク主宰。神奈川県逗子市の海辺育ち。2013年から英国ロンドンとコッツウォルズの田舎でのデュアルライフを実践。皆さんが「今・ここ、この季節のじぶん」に必要なセルフケアを選んで実践できるように、身体からのアプローチで習慣を変えるコーチングを得意とする。身体も心もアイデンティティも進化させるオンライン講座、メルマガやブログ記事を英国から発信中。大好きなものは、野草摘み(Foraging)、手作りスキンケア、海、オペラ。 インスタグラム:@mariko.yoga

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