プラチナ・ジュビリーに寄せて

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今週木曜日から週末まで、エリザベス女王が在位70年を迎えたプラチナ・ジュビリーにちなんで、 イギリスでは各地でお祝いイベントが開催されています。

ロンドン中心部に繰り出すとすごい人出!

私はパレードもすっかり終わった夕方に近い時間に行ってみたのですが、バッキンガム宮殿から続く通り、ザ・マルからトラファルガー広場のあたりまで祝賀ムードの残り香が(^^;  )漂っていました。

在位期間が70年間に及ぶ君主は、歴史的に見てもそう多くはありません。エリザベス2世の高祖母に当たるヴィクトリア女王でさえも、在位期間は63年。現エリザベス2世は1952年に25歳で即位し、戦後の困難な時期を国民とともに乗り越え、堅実な君主として国民の心を捉えてきました。

この4月で96歳になるまで彼女が女王として経験してきたことは計り知れないし、その貢献に心から敬意の意を表したいと思います。街を歩く人々の顔が本当に晴れやかだったのも印象的でした。女王がそれだけ慕われていることの証だと思います。

一方で、私がいつも抱えている個人的な思いも去来しました。

現代社会が「平等」や「インクルーシブ」を謳うようになって久しく、世界は急速に平らになろうとしているのに、王様のいる世界って時代にそぐっているのかな?と。

2021年に実施された英王室の支持率についての最新世論調査統計によると、18〜24歳のZ世代の支持率は3割程度と、過去最低を記録しています。それを上回る4割強の若者が「元首は選挙で決めるべき」との考えで、王室に重きを置かない世代が育ってきているのですよね。(ちなみに全体の支持率は6割くらいです)

ハリー&メーガンが王室内部の差別発言について衝撃的なインタビューを公開した後は、二人に対する世論も二分されました。保守層になればなるほどなぜか夫妻を非難し、エリザベス女王に対して同情的。一方、若い世代は二人の勇気ある行動を支持する人が多かったようです。 そういえばアンドリュー王子の事件も王室を揺るがした出来事の一つでした^^;

個人的には、メーガン妃の登場は、非常に象徴的だと思っています。英王室も、現代の在りよう、つまり時代の流れといったものを、正確に映しているのだなぁと。

インクルーシブという概念は、誰もが遜色なく社会の一員であり、存在価値があるということです。人種、性意識、生まれた国や場所にまつわる偏見などをなくし、すべてを平らにならしていく作業が、イギリスをはじめ西欧諸国では急ピッチで進められています。

若い世代の王室支持率が下がっていること、ハリーやメーガンに同情的だということには、そんな意識レベルも反映されているのではないかと思っています。でも、現在20代で王室を支持していない人たちも、歳をとるにつれて保守的になっていくのかなぁ? それはまだ分からない部分ですよね。

 

プラチナ・ジュビリーに際して私が思ったこと。もう少しだけわかりやすく書くと、こんなことです。

つまり21世紀も四半世紀が過ぎているのに、路上で眠る大勢の人がいる一方で、召使いを何百人も抱え国が管理するお金をたくさん使っている家族がいるというのは、どういうことなのかなって。すごく単純なことなのですが。 それってサステナブルな国家体制なのかなと。

もっと言うと、王室のブランド価値と引き換えに、何かを置き去りにしているのではないかと。王室が世界から尊敬されていることで、個人は幸せになるのでしょうか? う〜ん、どうでしょうね?

例えば王室が観光資源になってるって言うまことしやかな支持理由があるんですけど、フランスの方が観光収入は多いんですよねー。フランスにはもう王様はいませんが、文化的な価値をうまく利用しているからこそ、国としての魅力を維持できているんですよね。

君主制が良い時代もあったでしょうし、王室の歴史を批判しているわけでもありません。エリザベス女王を心から敬愛する人々がいることも、素晴らしいと思います。

でも、究極的に、王様のいる社会が、紛れもない「構造的差別」のなかにあるとだけ、指摘しておきたいと思います。

な〜んて。

こんなこと書くと、原稿依頼が来なくなっちゃいますかね(あはは)。私は基本的に政治には疎いのですが、根がアナーキーなので好き勝手なことを書いてしまいました。

プラチナ・ジュビリーに寄せて。これにて筆をおきます。

【6月4日追記】
記事を読んだお友達から感想をいただき、20代半ばの世代はやはり王室に価値をおかない人が多いと聞きました。彼らが将来的に保守に転向しないとしたら、いずれ何か変わるのかも^^

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About Author

岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系広告代理店にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン / Absolute London」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、脱プラスチック、自然療法への意識喚起活動を行うなど、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』(自由国民社)。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中。Instagram: @ekumayu

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2件のコメント

  1. KEIKOさん! メッセージ、とても嬉しく拝見しました♡
    現在の状況というよりも、将来的に絶対に王政というのは無くなっていくのだろうなという感覚があり、書いてみました。個人的にはこの文章にも書いた通り、なぜ21世紀にもなって何も持たないホームレスの人がいて、世界の富の大多数を所有する王様がいるのかというのが、すごく不思議な感じがしたからです。どうしてでしょう? エリザベス女王は王室に生を受けて、彼女の意思とは関係なく女王になりました。そのことや、女王個人への思いのようなものはほとんどないんです。でも、社会的なシステムとして、私たち全員に王様と同じ力がある世の中になるといいと思っていて、これを書きました。社会が彼らを受け入れていく限りそれは存続し、私たちは王室の陰で搾取され続けるでしょう。根本的な問いなのですぐに何か変わるとは思ってないですが、実はこの文章をアップした直後にさほど連絡をとっていなかった友人から連絡があり、「20代半ばの子供達二人が、まゆさんと全く同じことを言ってた」と、連絡してくれました。若い世代は、自分自身の価値に気づき始めていると思います。

    有名人のように王室のメンバーを慕うのは罪がなくて良いと思うのですが、社会的な制度の中では、非常に辛い搾取構造があることは否めないと思っています。ロンドンの物価が高いのも、王族や貴族階級が土地を所有しているからだと思います。手放さないですよねー、やっぱり。自分たちの栄華を極めたいと思うのは人の常ですから・・・

  2. Keiko_3103 on

    まゆさん、こんにちは。
    いつも楽しく拝見させていただいております。

    日本でもTrooping the Colourが途中まで中継され、こんなに人々から(何度かクイーンへのバッシングがあったこともありましたが)ずーっと慕われ続けているエリザベス女王陛下は素晴らしいと改めて感服していました。
    日本にいらしたのはたった1度だけだったんですね。。ちょっと寂しい。
    恐らく最後のジュビリーになるかと思い、私もついプラチナジュビリーグッズ買っちゃいました😅
    でももちろんずーっと長生きなさって、次のジュビリーもお迎えになられたら素晴らしいと思いますけど!

    日本では皇室に関心がない人が圧倒的に多いとは思うのですが、それでも皇室の存続についてはいろいろな意見があります。昨今の敬宮愛子さま人気と、皇位継承順位第一位の筆頭宮家の不人気から、令和で終わっていいという声もかなり聞かれます。
    王(天皇)制から共和制へ。。それもいいとは思いますが、フクザツですね。

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