どこにもないサパークラブ:フィリピンxタイ、究極の仲良し料理とは

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久しぶりのサパークラブ〜。なかなか通常のレストランでは味わえない「フィリピン料理 x タイ料理」のコラボレーション♪  それぞれのフィールドで活躍されているアジアの女性シェフ、Swilipino(Tintinさん)とGinn Khao(Dowさん)による独創的なコラボ料理の数々がとても刺激だったので、ご紹介したい。

F.T.F (Filipino Thai Friendship) Supper Club

場所はクラプトンの「Palm 2」。一度だけ別のサパークラブで訪れたことのあるベニューで久しぶりだったのだが、まったく変わってない! 広々とした会場はかなりの人数を収容可。そして今回はほぼ満席。約60名が二人のコラボレーションを楽しみに訪れ、今か今かと料理の登場を心待ちにしている。

タイのグリーン・ココナッツ・ウォーター「Fountain of Youth」がスポンサーに。 一人一缶で歓迎^^

ウェルカムショットは、エルダーフラワーとベリーのシュナップス(蒸留酒)

ティンティンさん(フィリピン料理)とダオさん(タイ料理)。二人は以前もコラボされたことがあるとかで、きっと息のあった仕事ができる相棒同士なのだろう。今回も両キュイジーヌの共通点からメニューを構築したそうだ。

正直、これまで伝統のフィリピン料理を知る機会があまりなく、さらにダオさんの故郷であるタイ北部の料理についての知識が深くないところへきて、両者ともにスパイスを駆使するとなると、私にはその融合度の巧みについて語る資格はないのだが、ロンドン市内のどんなレストランでもなかなかいただくことのできない珍しい料理であることだけはわかる。

まず突き出し的に登場したのが、フレッシュなマンゴーと、マンゴーのピクルス(初めての体験!)に、3種の薬味を添えたもの。ココナッツ入りエビのペースト、チリのペースト、ピリっとしたフルーツ・ソルトが、ぼんやりとした私たちの味覚を鼓舞し、本格的なタイとフィリピンの味覚世界へといざなってくれる。

生のマンゴーはシャキリとした歯応えが残る甘すぎないものが選ばれている。マンゴーのピクルスは初めて食べる味で刺激的!これは食事の合間のお漬物としてもぴったり。

Mango with bagon gata, nam prik & dry chili salt

次に登場したのが、なんとも言えないブルーに染まったダンプリングの一皿。キャラメリゼしたエビ、ピーナッツ、ラディッシュのピクルスを詰めたグルテンフリーのダンプリングに、ブラウンクラブのソースを添えていただく。ナッツとカニという取り合わせがなんともリッチなのだが、ラディッシュのピクルスのせいか、なぜかさっぱりと胃の腑におさまってしまう。あと3つくらいはイケそうだ。

Kho krei par mor, Alavar style sauce

次はサトウキビ酢で〆た新鮮なホタテ。タイのハーブと香辛料、トマトなどの季節の野菜が添えられ、ココナッツミルクのソースでいただく。これが美しさ、お味ともども絶品。こんなふうにホタテをいただくのは初めて。スパイシーさもほどよく、タイ風のソースはまろやか。心躍るような魚介の一皿だ。

Jungle Kinilaw

そしてメイン・コースはお肉と野菜のBBQ!これは両国にありそうですね。

バナナ・ケチャップでマリネしたムービン(豚肉)、フィリピン風の豚肉チョリソー「ネアム・ロンガニーサ」
リークのスティッキー・グレーズ焼き。そしてバナナの花で包んでグリルしたタマリンドと野菜のライス。

BBQ(Moo bing、Neam、Leeks)

バナナ・ケチャップというのはフィリピンの一般的なソースで、バナナをすりつぶしたものに砂糖や酢を加えて作るフルーツ・ケチャップ。これでグリルしたお肉は甘辛く香ばしくなって風味もアップ。日本人の舌には嬉しい味わいだ。

リークも照りが美しく、これもバナナ・ケチャップでグレーズされているのかもしれない。フィリピン風チョリソー「ネアム・ロンガニーサ」も独特の発酵を感じて美味。本国の甘いものとは一線を画する仕上がりのようだ。

そして!日本人的に美味しすぎたのが、バナナの花に包んでグリルしたライス! 作り方はわからないのだが、野菜を入れ、タマリンドで風味づけしたご飯をバナナの花に包んでグリルしたもの?これも初めて体験で大満足^^  本当に美味しくいただいたボリューム満点のBBQだった。薬味としての生野菜は必須。

Banana blossom grilled rice

このご飯、美味しすぎた。もっと食べたい。メイン・コースはこのオレンジ・ワインとよく合うのだ。

そしてこのメインの後に、「Larb Sisig ラープ・シシグ」と名付けられた驚きの一皿が登場。

タイ北部のスパイス「ラープ」を使ってグリルした鶏もも肉と内臓に、卵黄を絡め、ハーブマヨでいただくというもの。「Sisig」はフィリピン中部のカパンパンガン料理の名前らしいので、やはりこちらも折衷料理である。

この一皿が本当にエキゾチックすぎて・・・見た目は少しエグいのであるが、アイディアとしてはかなり洗練された一皿だと思う。鶏のすべてを無駄なくいただき、滋養を吸収する感じの料理で、スパイスが絶妙。ハーブマヨがいい仕事をしている。これはビールに合いますな。

Larb Sisig

そしてデザートは、パンダン風味のココナッツ・スープ♡美味しい。スープの中には、ココナッツとパームシュガーを詰めたタピオカ・ボール、ルビーウォーターチェストナッツが浮かぶ。このタピオカ・ボールはどうもダオさんの好物みたい。個人的にはこの中にアンコが入ってるといいな〜なんてw しかしこのデザートはお腹いっぱいでもスルスルと食べられる危険な美味しさなのだ。

デザートの「Bilo bilo & Ruam mit baby」。最後まで完走し、ほっと笑顔がこぼれるダオさん♡

左がティンティンさん♪ 全てのコースが終了し、お二人があいさつで登場。

辛さ、酸味、甘味が調和したタイ料理は、イギリス人の大好物だ。パブのタイ・キッチンはいつも大忙しだし、高級レストランも大人気だが、実はイギリスに住む私たちは、本当はごく一部のメニューしか知らないのだと思う。前回、ダオさん個人のポップアップ・ディナーに参加した際に強く思った。本来は膨大な(未知の)スパイス類、ハーブ類がなければ、この幅広く繊細な味の領域は作り出せないだろう。

一方のフィリピン料理は、ロンドンではつい最近になって現代風の味がもてはやされるようになってきた。いくつかの人気レストランが育ち、ようやくその素晴らしさの一端に触れることができるようになっている。私自身、大昔にアールズ・コート周辺(フィリピン料理店が多いエリア)でいただいた伝統料理は大味で、正直あまり口に合わなかった。しかし近年になってトライしたフィリピン人シェフたちによる店では、考え抜かれたメニューに心地よい舌鼓を打たせてもらうことが多い。

東南アジアの一員として、互いの特質を融合し、素晴らしい折衷料理をクリエイトしたティンティンさん(Swilipino)とダオさん(Ginn Khao)に大きな拍手! これぞ「ザ・ロンドン」なサパークラブだ。

人数が多く、すべてのオペレーションが終わったのは10時をすぎていたと思う。汗だくになってたお二人。本当に素晴らしい料理と体験をありがとう^^

※お声がけいただいたイズリントンのKissa Wa のオーナー、Chieさんに感謝♡

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス。2014年にイギリス情報ウェブマガジン「あぶそる~とロンドン」を創設。食をはじめ英国の文化について各種媒体に寄稿中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。カルチャー講座の講師、ラジオ・テレビ出演なども経験。これまで1700軒以上のロンドンの飲食店をレビュー。英国の外食文化について造詣が深く、近年は企業アドバイザーも請け負っている。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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