イスタンブール紀行の続き。今回の旅では面白い食体験ができた。Qちゃんの友達で、トルコの食を専門としたツアーガイド会社「Gourmet Holidays」を運営しているGさんにベイオール地区の食べどころを案内してもらえたのだ。
ベイオール地区は日本で言えば新宿・渋谷みたいなところ。ロンドンならトラファルガー広場につながるレスター・スクエア界隈。反政府デモの舞台となっているタキシム広場に通じる大通りの周りに、老舗人気店から話題の新店舗までバラエティに富んだチョイスを楽しめる。
まず連れてきてもらったのがFiccin(フッチュン)というコーカサス料理を出す有名店。
面白いのは、この通り沿いにある店のほぼ全部がFiccinという名前で、ある店が満席でも別の店に空席があればそこで同じ料理が食べられるという「Ficcin通り」の趣を呈していること。キッチンもつながっているらしい。ここのスペシャリティをGさんがたたっと注文してくださって、やってきたのがコレ♪
コーカサスの中でもチェルケズ人たちの郷土料理で有名な当店では、チキンの胸肉をクルミと一緒にクリーミーなピュレ状にした「ÇERKES TAVUĞU」(右上)、コーカサス風のポテト入りダンプリング「PATATESLİ ÇERKES MANTISI」(右下)、白身魚のバジル・マリネ「FESLEĞENLİ MEZGİT」(左下)、そして店名にもなっているコーカサスのおやき「Ficcin」(左上、ホウレンソウとチーズ入り)。
一押しはやさしい味のダンプリング! フィリングは肉とポテトを選べるのだが、ポテトが断然いい(←って肉は食べてないのけど)。ヨーグルトがかかってくるのだが、その上に好みの薬味をふりかけて食べる。おやきは見た目通りの美味しさ☆ 魚のマリネはちょっと身が締まり過ぎだったかな。そういう食べ物なのだと思うのだけど。
お値段はとてもリーズナブル、気軽に入れる食堂風の店は大勢の人で賑わっていた。
お次は黒海沿岸の料理に特化したHayvoreという店。
ここはGさんの大のお気に入りらしく、郷土料理の代表的なものをパパっと注文してくれ、あっという間にテーブルには食べ物が ^^
この黒海産の新鮮なアンチョビで作るお米のディッシュ「Hamsi Pilaf」は、中に炊き込みご飯が入っていて美味しい♪ カラントなどの干しフルーツを入れるのが習わしなのだそうだ。アイデアは鱒寿司みたいなものかと。左下の豆は、酢でマリネしたものを炒めているとかで、調理法がユニーク。右下のドルマはご飯にひき肉が混ざっているところがご当地流。そしてこれ↓
「Trabzon Peynirli Açık」という黒海風ピデ(!)。たっぷりのチーズにバター、そして卵黄。周りの生地をちぎって、中心のとろりとしたリキッドに浸しながら食べる、なんとも罪悪感で胸いっぱいになるシロモノ。でも間違いなく旨い☆
このカステラ風のものは黒海地方のパン「Mısır Baton Küçük」。何でできているのか忘れてしまったけれど美味しかった。そして左下の「Laz börek」。これはマストトライのデザート! ボレックは食事系のものが多いが、このボレックはカスタード系クリームでふんわりしっとり仕上げられていて、いくらでも食べられそうなキケンなお味……「私はここにいる」という意味の店名になにがしかの哲学を感じる、郷土料理レストランの名店なのである。
小路をくねくねと歩いていて案内されたのが、ミシュラン・スター・シェフもお忍びで訪れるという、Gさん曰く「イスタンブールで一番うまいケバブ屋」がここ「Dürümzade」。
我々は試しはしなかったものの、Gさんによると、生地にすでにスパイスなどでフレーバーを付けちゃうテクニックがミソなのだとか。レビューも相当いい。次回の来土の際には必ず行かねば!
デザートを目指す道すがらG氏から教わったところによると、まだまだ貧しい人々が多いトルコの都市では、コミュニティーで助け合う精神が浸透しており、お金が乏しくてもお腹をふくらすことができるような安い食堂がたくさんあるのだそうだ。食堂ではないが、例えばこういった街でたまに見かけるチキンとひよこ豆、ライスの屋台もそういった店の一つなのだそう。
さて、いざデザート屋さんへ。Gさん一押しは、「中東のお菓子は甘すぎる」と思っている方にも、ぜひ試していただきたいと思った「Sakarya」という甘味処。
ここの名物は、旬の秋冬しか棚に並ばないという、熟した花梨から作るデザート「Ayva Tatlisi」。クロテッド・クリームに似た「Kaymak」(カイマク)というクリームを付けて食す。花梨を生で食べたことがないので味を言葉で表現できないのがもどかしいが、「マルメロの味を知っているとしたら、こんな味」と思えるテイスト、食感、まさに絶品。寒い季節にイスタンブールを訪れたら、ぜひAyva Tatlisiを。当店のものがベストとか。ちなみにカイマクは伝統的にはバッファロー・ミルクで作るらしい。これをハチミツと一緒にパンに付けて食べると……至福。
チョコ・コーティングされた棒は、栗の粉で作ったお菓子。これにも結構ハマってしまって、実はニシャンタシュ地区にある他店でお土産に買って帰った(こちらは栗の形をかたどった手の込んだもの)。日本の和菓子を思わせる上品な甘さである。
バクラヴァは甘すぎるという日本人は多いけれど、私はナッツと蜜とフィロペイストリーのザクっとしたハーモニーは存外に好きだ。とくに、当店のような美味しい店に来たら試さない手はないのだが、結局ここのバウラヴァは口に入れずじまい。次回は必ず。
さ、お口の中がほどよく甘やいだら、トルコ・コーヒーで締め。Gさん、やってくれた。隠れ家好きの心をくすぐる店構え、そしてご主人。リピ確実のMandabatmazである。
1967年創業の当店で、過去20年に渡って煮出しコーヒーを淹れ続けているマスターはセミル・フィリクさん。毎日ローストされるコーヒーの味わい深さは言わずもがな。イスタンブールっ子が通うというその味のヒミツは、ロゴと店名に隠されているのかもしれない。
「水牛でさえ沈まない濃いコーヒー」
さすがの老舗。ユーモアのセンスもあるようだ。
4件のコメント
カオちゃん☆行って行ってーん。
私も、絶対にトルコに行かねば!
まりこさん・・・・イスタンブールは粉もの天国だよね〜♪ (*^▽^*) もうしばらく、ここに住みたいくらい・・・・ふつうのパンも美味しいし。しかも私、トルコのご飯も好きなの。ちょっと塩気をつけて風味よく炊き上げられるご飯、ケバブによく合います♪ 私もピスタチオのバクラヴァ、食べたくなってきた♪ あ、まりこさんなら作れるな・・・ヘ(゚∀゚*)ノ
あ~まゆさん、わたし好みの粉ものだらけ、、、イスタンブール行きたいなぁ。以前訪れたのは彼これ20年位前(大昔!)。その時でもエクメックや鯖サンド、ピデにラフマジュン、、なんて粉ものが美味しいんだろうと思ったのです。あ~ピスタチオのバクラヴァも食べたい~☆