お楽しみ満載☆ゆる系ヴィクトリアン・ティールーム

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Tea House Theatre  ティー・ハウス・シアター

テムズ南岸の再開発ハブ、ヴォクソール周辺の進化が目覚ましい昨今なのですが、高層ビルが立ち並ぶナイン・エルムスを尻目に東のランベス側はまだまだ昔のロンドンらしい面影を残し、ヴィクトリアンの住宅街が広がるゆったりとした情緒を漂わせています。

ヴォクソール駅を出て高架を潜ってすぐのところには庶民の緑地「Vauxhall Pleasure Gardens」があります。その端に佇んでいるのが、ヴィクトリアン・パブをそのまま再利用したティールーム、ティー・ハウス・シアター♪  2011年の創業です。

建物自体は1886年の建造!

公園が目の前の最高の立地!

名前の通り、ここはティールームでありながら、折に触れてシアターとしても機能しているのですね♡ オーナーさんは俳優、シアター監督、執筆業などを営むハル・イガルデンさん。Timeoutの「Love London Awards」で3年に渡ってアワードを受賞した、まさに地元民に愛されるティールームでは、夜はアルコールも提供するので結局はパブのような雰囲気に^^

まさにパブの造り! でもティールーム♡ おそらくコロナでテーブルの配置も変えていると思われます。各テーブルの上にケーキを乗せているのも何か意味があるのかも。

誰かの家の居間のようにくつろげます♪

カウンターの向こう側にはたくさんの茶葉が。

さて、ティー・ハウスと言っているだけあり、茶葉にはこだわりがあります。紅茶も頼むとティーコージーが必ずついてきて気持ちがほっこり。ハウスブレンドはアッサムとセイロンをブレンドしたブレックファストのほかにも2種があり、その他にも約30種の充実したティー・メニューを用意。お好みのティーにハーブ類を1ポンドで加える薬効ティーのリストもあって、こちらも興味をそそられます。冷たい飲み物もオリジナルがたくさんあり、本当にお茶や飲み物の専門店なのだなと納得。

食事も朝から夜までノンストップで提供しています。イングリッシュ・ブレックファストはもちろん、田舎のティールームならどこでもありそうな軽食、丁寧に作ってくれるサンドイッチ、パイやサラダ類が揃っていて嬉しくなるメニュー仕立て。でも、よく目を凝らしてみると21世紀らしい現代人に合わせたヘルシー・メニューもちゃんとあり、オーナーさんのバランス感覚を感じます。

ケーキの種類もいっぱい♡手作り感もいっぱい♪

そして選んだのがこちら。マーブル・ケーキにバタークリームとストロベリー・ジャム! 大きなピースが小さなお皿に ^^

お茶はハウスブレンドNo1を選んでみました。アッサムとセイロンのブレンド。力強いブレンドがフルファット・ミルクによく合います♪

このケーキ、スポンジ部分は甘さ控えめでクリーム+ジャムとよく合います。とても美味しかったのです。半分食べて半分を持ち帰りにしたいと言ったら、こんな立派な持ち帰りBOXに入れてくれました♡

この日はケーキ類をどうしても試してみたくなり、マーブル・ケーキにバター・クリームとストロベリー・ジャムを挟んだものをいただいてみました。このマーブル・ケーキはなんと3種もあり、他にもヌテラを挟んだものなどがありました^^  焼き具合も完璧で甘さ控えめ、ココアのほろ苦さも感じることができ、クリームの甘さと混ざり合うとちょうど良いバランスでした。

一段高くなっている場所があり、ここが舞台になるのかなと思いました。

さて、このティー・ハウスが佇んでいる周辺については、とても面白い歴史があるので少し。

目の前に公園があると書きましたが、その昔、17世紀後半から19世紀半ばにかけては、もっと広いエリアが「Vauxhall Gardens」または「New Spring Gardens」と呼ばれる遊興目的の美しい緑地だったのです〜。

最初に造成して所有していたのは貴族だったようですが、伝統的に一般にも開放されていたようです。基本的には上流階級の人々が遊ぶための壮大な敷地で、1万2千人の観客を前にオーケストラがヘンデルの組曲のリハーサルをしたり、はたまた6万人が参加する仮想パーティーが開かれたりと、さまざまなエンターテインメントが繰り広げられたようです。

18世紀半ばはロココの時代。時の皇太子がロココ様式の擁護者だったとかでロココなパビリオンを創設したほか、トルコ様式のテントが作られたときは大人気となり、大いに盛り上がったようですね。しかし19世紀半ばに所有者が破産して敷地は一旦閉じてしまいました。ジョージ王朝時代の貴族の虚栄を描いたサッカレーの『Vanity Fair』にも、Vauxhall Pleasure Gardensが登場します。たいへん歴史のある土地なのですね〜。

そして現在のような公共の公園になったのは1976年。何だか歴史を振り返ると気が遠くなるような思いもありますが、今では庶民の憩いの場としてなくてはならない存在です。

右のハンチングをかっこよく被っていらっしゃる方が、おそらくオーナーのハルさん。この方、なかなかクセのある方みたいで、SNSではよく世間を賑わせているみたいですよ ^^;

ともあれ、とても落ち着けるティールームなのであります。

ティー・ハウス・シアター。いかがでしたか? ウェブサイトを見るとこう書いてあります。

「とにかくリラックスして欲しい。ミーティングしたいなら僕たちはそっとしておこう。仕事をしたいならWifiもあるし、友達とただ楽しむためのゲーム・ボードも用意している。お子さんがいるならハイチェアもあるしオモチャもある。新聞を読むだけでもどうぞ。ここへきたら紅茶でも飲んで、ゆっくりしていって欲しい」

私はよく家を飛び出してカフェで仕事をすることが多いのですが、こういったカフェやティールームは、早く人を回転させたいお店が多い中、今となっては貴重だと感じます。それで、勝手に “ゆる系ティールーム” と呼んでいます ^^  キビキビとしたウェイトレスさんも制服を着こなしていて可愛らしいのです(シアター系だからかな?)。

もちろん、折に触れてイベントも各種催されています。イギリスでは8月からエンターテインメント・ベニューの再オープンを認めるというニュースがつい先日流れていましたけど、さて、これからどうなるのでしょうか。大きなベニューは色々と大変でしょうけど、このくらいの規模であればきちんとコントロールしながら再オープンしていけそうですね^^

 

139 Vauxhall Walk, London SE11 5HL

店名Tea House Theatre
最寄り駅Vauxhall
住所139 Vauxhall Walk, London SE11 5HL
電話番号020 7207 4585
営業時間月〜金 9:30 – 22:00 土 9:00 – 22:00 日 9:30 – 20:00
URLhttp://www.teahousetheatre.co.uk
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About Author

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岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

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