春のロックダウンが明けて街を歩いていたら、メイフェアの一等地で素敵なエネルギーを発しているカフェを発見。視察がてら入ってみました。このErgon Deliは2017年夏頃にオープンしたみたいですが、なぜか今回初めて目に飛び込んできたのですよね^^
中に入ってみると驚くほど奥行きのある広々としたスペース。とてもモダンにでデコレーションされた店内にもっとよく目を凝らしてみると、自社開発のフード・プロダクトもたくさん扱っているのです。その時はコーヒーだけいただき、いくつか商品を買って帰り、後からお店の素性について調べてみました。
Ergon / エルゴンは、2007年に起業家のトマス&ギオルゴス・ドゥージス兄弟がギリシャ第二の都市テサロニキで創業した食ブランドでした。もともとオリーブ油の生産販売から始め、その他の分野へと手を広げていったクラフト・フード・ブランドの先駆けのようで、2011年に初のデリをオープン。3ヵ月後に、ギリシャ人シェフで本国ではテレビなどでも活躍しているディミトリス・スカーモウトソスさんがエグゼクティブ・シェフとして就任! 一気にクラフト・フード/デリのエンパイアを構築していきます。
ここ10年ほどで世界中の都市における食やライフスタイルのあり方が新たなステージにシフトしていますが、ギリシャでモダン化の一翼を担っているのが、どうもエルゴンのようです。現在はレストランやデリだけでなく、ホテルなども手がけるライフスタイル・ブランドとしての側面も発揮し、ギリシャの優良企業としてどんどん成長しているようです。実は2013年にロンドンのマリルボーンにもレストランがオープンしてました。私はノーマーク。すぐに閉店してしまったようですが・・・ ^^;
実は来店中、もう一つ驚いたことがあります。トイレに行こうとお店の方に場所を聞いたら「店の外に出て右よ。隣の店の中にあるから」と言われたのです! なんと隣のお店は同じくギリシャのファッション・ブランド、Zeus+ Dioneとコラボしているスペースなのでした!(今年初めからポップアップ・ストアとして入っているみたい)
ギリシャの神々からその名をもらっているZeus+ Dioneの「D」はギリシャ文字のDelta Δで表わされ、ブランド理念である精神性、調和、創造性の意味があるのだそう。なんだか奥深いな^^ 一方、Ergon / エルゴンのほうはギリシャ語で直訳では「仕事・機能」と言う意味みたいですが、広義には「その仕事を起こす力」のことを指すようで・・・つまりエネルギーってことみたいです。このページを見ると、ニュアンスとしては「自然に働く力」と言う感じなのでしょうか。自然のフォース。そこから生み出されるもの。食ブランドとしても、ライフスタイル・ブランドとしても、ぴったりのネーミングです。
Ergon の食部門を監修するエグゼクティブ・シェフのディミトリスさんは経済学を修めていらっしゃるようなのですが、就学の地はUCLA。西海岸のクリエイティブな空気を思い切り肌で感じつつ、世界各国の料理をそこで学んだのだとか。2001年にギリシャに戻り、母国料理のモダナイズに貢献。そんなバックグラウンドのあるスーパーシェフなんですけど、私はまだデリご飯をいただいていません。一度、トライしようとしたのですが、ロックダウン中はデリバリーも持ち帰りにも対応していなかったのです。
次回試してみたいのは、ギリシャのごまパン「koulouri」にポーチドエッグを乗せたこちら♡
日本でもギリシャ料理が少しずつ認知されてきているようですね。ロンドンに暮らしていると、フムス、ファラフェル、タジキなどなど、地中海沿岸や中東で食べられている日常食は当たり前のように浸透していて、スーパーでも簡単に手に取ることができます。だからこそロンドナーの舌がずいぶんと肥えてきているのも確か。当サイトでも料理家の金澤みずえさんがギリシャ料理について「Mizue’s Greek Kitchen」で書いてくださっています^^ ロンドンからギリシャ料理について発信することが、とても意味あることのように思える今日この頃でもあります。