ヴェリー・クリスマス・モーメント

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イギリスのクリスマスプディングは、Stie Up Sundayに作られるのがトラディショナルなのだそうです。Stir Up Sundayというのはアドベントのシーズンの前の最後の日曜日だそうです。これはクリスマスの5週間前に当たります。プディングを作る時は家族が皆キッチンに集まって、一人ずつ願い事を唱えながらタネをかき回します(Stir up)。だからこの日はStir Up Sundayと呼ばれているのだそうです。

幸運を招くものとして、クリスマスプディングを作っている最中に何かを混ぜ込む方法がいくつかあるのですが、中でもシルバーコインが最も一般的とされていました。現在はニッケルメッキ鋼の5ペンスコインが流通しておりますが、1551から1816年は純銀製、そして1947年まではいくらか銀を含む「6ペンスコイン」があったのです。
72歳になるイギリス人の友達は、子供の頃はクリスマスプディングの中に「6ペンスコイン」が入っていたそうです。そういえばわたくしの義理の姉がクリスマスプディングを作っていた時は、銀製のチャームをクッキングペーパーで包んでプディングの種に混ぜ込んでおりました。しかし72歳の友達の食べていたプディングは、6ペンスコインを裸のまま混ぜ込んでいたので注意をしないとうっかり強く噛んで、歯にダメージを与えるかもしれないものだったそうです。

日本では年賀状を書く人が年ごとに減少しているようですが、イギリスでもそれは同じです。メールや携帯でクリスマスや新年の挨拶を送る人が増えています。クリスマスプディングも然り、出来合いのもの購入する人も年々増えていることと思います。クリスマスプディングは日本人の口にはちょっと合わないお味なのですが、実はイギリス人でもクリスマスプディングは好みに合わないという方も少なくありません。それでもクリスマス当日にお手製のものであれスーパーで買ってきたものであれ、蒸しあがったクリスマスプディングに火を灯したブランデーをかけ、家族でクリスマスを祝うのはお正月にお屠蘇をいただく日本の習慣のようにとても大切なことです。

イギリスに家族がいた頃は、わたくしもクリスマスプディングをいただいてお祝いしたものですが、今は気楽な一人暮らし。ひとりが寂しいと思うこともありませんし、クリスマスプディングもあまり好きではありません。でもどういうわけだかプディングに火を灯したブランデーをかける情景を、ぼんやり思い描いてしまうことが度々あります。

th_Pudding

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洋画とグラフィックデザインを専攻したのち、イラストの道へ。縁あって英高級紙「The Times」の挿絵イラストを担当。同紙から数多くの依頼を受け、新聞のタイトル欄にエリザベス女王と並んでイラストが印刷される。児童福祉に関わる団体をはじめ、クライアント・ベースの仕事をするフリーランスのイラストレーター。4年に渡ってロンドン動物園で週に一度ボランティア活動にいそしんだ経験があり、動物イラストは本物からのインスピレーション。

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