ハートの痛みをとってくれる🌱リンデンの巻

0


今回は、街路樹として公園によく植わっている木々の一つであるハーブをご紹介したいと思います。「え、ハーブなのに木?」とびっくりする方もいらっしゃるかもしれませんね。

バジルやタイムなど、植木鉢でも育つ植物だけがハーブではないのです。

<木?草花? 植物の形態と部位>

ハーブ=薬草は、その形態にもいくつかの種類があります。

「木本」と呼ばれる樹木や低木など、「草本」と呼ばれる一般的な草花としてのハーブ、そして他にはヤドリギ・Mistletoeなどに代表される寄生植物等もあります。

薬草として使われる部位は、花、葉、根、実、果皮、樹皮など異なります。前回ご紹介した「エルダー」は、お花(エルダーフラワー)と実(エルダーベリー)を薬草として主に使います。

中には西洋タンポポ(ダンデライオン)の様に全草使用できるが、部位によって効能・使い道が異なるといったハーブもあります。機会あれば、メディカルハーブの本をめくって「利用する部位」「使用法」「効果効能」「注意事項」を確認されるともっと楽しく知識が広がりますよ。

公園の中のリンデン

<ベストな収穫時期は?>

薬草として収穫する際は「旬の収穫時期」というのもある程度決まっております。

花を使う薬草(ハーブ)は開花中、根を使うハーブの多くは秋あるいは春、地上部(葉や茎)を使う場合でその薬草の主な有効成分が精油の場合、精油が最も多く植物に含まれる時期に収穫するのがベストとなります。

ちなみに今回ご紹介する「リンデン」の旬の収穫時期は「開花中」となります。

<リンデン>

日本ではリンデン、西洋ボダイジュとして知られているハーブです。英名はリンデン・フラワーLinden Flower/ライム・フラワーLime Flowerとなります。

ハート型の葉が愛らしいリンデン。薬草として使う部位は、主に「包葉(bract leaf)」と「花」となります。(国によっては内樹皮も使われています。)

包葉と花。開花中にこちらを採集します。

年々温暖化が進んでいる最近のイギリスですと開花の時期は場所によっても異なりますが、5月後半から6月上旬〜中旬となります。そう、まさに初夏を楽しめる季節の始まりにリンデンの開花が始まります。

爽やかなそよ風が吹く日にリンデンの木の下で寝転がっていると、風に揺られて包葉や葉がこすれあって奏でる心地よい音と同時にやさしく甘い花の香りを楽しむことができます。

<リンデンの種類>

イギリスには何種類かのリンデンを見つけることができますが、主に使われている種はSmall-leaved lime (学名:Tilia cordata) Large-leaved lime (学名:Tilia platyphyllos)そしてこの2種の交配種であるCommon Lime (学名:Tillia × europaea)が挙げられます。

Small-leaved lime。包葉と同じくらいあるいはそれよりも5cmほどの小さな葉。樹皮は灰褐色で滑らかで、年とともに薄板状になる。樹皮は若いときは滑らかで灰色がかっていますが、古くなると固くなり、縦の隆起と横の亀裂が入ります。

こちらはSilver lime。

Silver lime。葉の表面は深い緑色ですが裏側が銀白色。私がこの種を初めてみたのはフランスでしたがあまりの美しい姿に見惚れたことを今でもはっきりと覚えています。

2つの木が並ぶとその見た目の違いがわかりやすいですね。

2種のリンデン

リンデンはイギリスだけでなくヨーロッパ各地で街路樹として植えられています。

私が住んでいる地域でも街路樹をはじめ、公園の一角にと数種のリンデンを見つけることができます。
写真でもお分かりかと思いますが、
40ml 以上の高さまで成長することもあります。

5階までのフラットを優に越していますね

 一つ残念な?ことに、リンデンの葉を食べるアブラムシによって作られる蜜露によって、「蜜露被害」が出ている木の下にうっかり車を停めてしまうと、その液体が落ちて車までベトベトになってしまうのです。これは避けたいもの!もしリンデンの木の下に車を停める際は、葉にベトつきがないか?チェックしてみてくださいね。

お分かりでしょうか? こちらのリンデンも若干のアブラムシによる蜜露がみられます。触るとベトベトします。



<どんな効果があるの?>

鎮静作用、鎮痙作用、抹消血管拡張、発汗作用、利尿作用、穏かな血圧降下等があります。

リンデンは赤ちゃんから高齢者まで安心してお使いいただけるとても安全なハーブの一つ。一般家庭ではハーブティーでご利用いただけます。

リラックスしたい時、眠りにつけない時、ストレスを感じる時、不安な気持ちで心がざわつく時など。ハート型の葉が示すかのように、私たちのハート(心)の痛みをとってくれるのですね。

同じく鎮静作用がある、ジャーマンカモミールやレモンバームなどと一緒にブレンドするのもおすすめです。またストレスや緊張からの血圧の上昇などにもサポートとしても活躍してくれます。

発汗作用があることから、初期の風邪、微熱がある時などにも飲むとよいでしょう。前回ご紹介したエルダーフラワーにも発汗作用がありますので一緒にブレンドするのもお勧めです。

国によってリンデンは、イギリスにおけるペパーミントやジャーマンカモミールの様にとってもポピュラーなハーブなんです。スーパーのお茶コーナー(ハーブティーのコーナー)ではリンデンのティーパッグも売っていますよ。

リンデンはとても穏やかな味で飲みやすいので単品でも楽しめるのも嬉しいですね!

季節を少し過ぎてしまいましたが、皆様も機会がありましたら市販ハーブティーなどで「ほっと一息」のお茶として楽しんでみてください。

Share.

About Author

アバター画像

リエコ・大島・バークレー。英国サリー州在住。メディカルハーバリスト、アロマセラピスト、リフレクソロジストとしてロンドンのセラピールーム及び癌ケアセンターにてのセラピスト活動を行う。メディカルハーバリストとして25年以上の臨床経験を持ち、長年日本での啓蒙活動に携わる。ハーブやアロマのオンライン講座、商品開発コンサル活動の他、時々イングリッシュワイン応援&執筆活動も行う。ゴルゴ13 をこよなく愛する飛行機オタクでもある。 著書に『メディカルハーブハンドブック』(説話社)『ハーブの薬箱』(文化出発局)。フレグランスジャーナル社にて2023年まで『ゴルゴ13とハーブカード』連載。 インスタグラム:ハーブ&アロマ関連 @herbalhealinguk  航空機関連 @rieko.747  ワイン関連 @winevineyard 

ウェブサイト ブログ

Leave A Reply

CAPTCHA