ミニマリズム・ムーブメント
たいていの人は必要以上のモノを持って暮らしているから、捨てるとすっきりして達成感もあるし、ビジュアル的にも分かりやすい。片づけコンサルタント「こんまり」こと近藤麻理恵さんの本を読まれたり、メディアで取り上げられているのを目にした方も多いのではないでしょうか。断捨離もヒットしましたよね。
イギリスでも最近「コンマリ・メソッド」という言葉をときどき耳にするようになりました。アメリカでも以前からかなりのベストセラーになっています。日本以上に物質主義の国でこの本がヒットするというのが、 とても興味深いですね。
ざっくりとチェックしていただけですが(日本と)英語圏のネット上でミニマリズム生活のムーブメントが静かに、そして同時多発的に始まったのが約10年前。
過去にも「片づけ」「整理整頓」「大そうじ」などのハウツーの本はたくさんあってベストセラーなども生まれましたが、ミニマリスト・ブームは、ここからさら進化した「ポスト物質主義」という感じ。
モノを「片付ける」のではなく「処分して・卒業して」、新しい世界へと踏み出すアイデアを交換する新しい実験室のような感じが楽しく、わくわくと見守っていました。
ありふれた言い方かもしれませんが「モノまみれ社会へのアンチテーゼ」としてのブーム、そして「ものの豊かさ」から「こころの豊かさ」の時代への移行でもありますね。
今年(2016年)は ミニマリストについての米ドキュメンタリー「Minimalism: A Documentary About the Important Things」も上映され、アメリカのインディー・ドキュメンタリー部門で一位になりました。消費大国アメリカで暮らすミニマリストたちのインタビューで構成されたこの映画、製作者である2人組ユニット、その名もザ・ミニマリスト(The Minimalists)の本も今年日本語版が出版されています。
英国にお住まいの方は、今週よりNetflixでも観られるようになったのでチェックしてみてくださいね。
また英国人女性メリッサ・ケインさんのポッドキャスト『マインド・パレス』では、ハワイ在住の友達と一緒にミニマリズムに関する様々なトピックを女友達のおしゃべり風に紹介。世界中にリスナーを抱える人気番組です。
やっぱり、モノが多すぎる社会だからこそ、こういうムーブメントがうまれるのかも。
単に「整理整頓してすっきりしたい!」というレベルではなく、 何が大切かわからなくなったり、イマイチ幸せ感がなかったり、人生に行きづまりを感じたり。現在のミニマリスト・ムーブメントはそんな気持ちから生まれているような印象を受けました。
すっきりリセットして出直したい。今の人生なんとかしたい。
そんな風に多くの人がどこかで感じているから、ベストセラーが生まれたりするわけですもんね。