第6話 夢のスーツケース

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minimalist


Chapter1.6
夢のスーツケース

ライフスタイルとしてのミニマリズムが注目を浴び始めたのは2008年頃から。リーマンショックで大騒ぎになった世界的な経済危機の後に当たります。

突然の不況を受け不安におののいたり、社会や政府を批判したり不運を嘆く人たちが続出した中、もうお金や雇用だけに幸せを左右されたくないと願ったり、「成功」という基準枠で計れない世界を模索しはじめた人が多かったのでしょうね。

そこにブログやフェイスブック、YouTubeのブームが重なり、ミニマリズム的思考を生活に取り入れた人たちがその体験やアイデアを発信し始めコミュニティを築きはじめました。そしてそのフォロワーが自分バージョンのミニマリスト生活を紹介し、またそのフォロワーが…と、ネットを介してミニマリズムは草の根的にどんどん広がっていきます。これはまだまだ進行中。

コラム第2回目で、2016年12月よりミニマリストに関する米ドキュメンタリー「Minimalism: A Documentary About the Important Things」が世界で最も大きな定額制動画配信サービスNetflix(ネットフリックス)で視聴可能()になったニュース触れましたが、さすが巨大なネットワークを誇るNetflix、クリスマス期にこの映画を見た人はかなりの数に上った模様。年明けはオンラインでレビューが飛び交っています。

単なるテレビ放映と違ってNetflixではオンデマンドで自分で選んで見る訳ですから、この意味は大きいです。しかも人々の消費がピークに達した後、がっくりと買い物疲れする年末年始に公開をぶつけるあたりがなかなか。

「こんまり」本の英訳版『The life-Changing Magic of Tidying Up』が全米をはじめとする英語圏でヒットしたこともあって、グーグルの検索ワードでも最近「ミニマリズム」という単語が急増しているそう。2017年もこのムーブメントから目が離せませんね〜(私だけかな)。

でも、なんでミニマリズムが近年キーワードになっているのか。気になりますよね。
お金や雇用、成功となにか関係があるの?

そこで質問。こんな風に感じたことはないですか?

  • 日々の生活に追われ掃除や整理整頓をする暇がない。
  • 仕事や家事で毎日忙しいのでやりたいことができない。
  • お金が足りない。時間がたりない。
  • 家に帰ったら疲れきっていて、何かをやる気なんておこらない。
  • 幸せ感がたりない。
  • 人生、悪くないけどそれほどハッピーでもない。
  • もっと楽しく生きたい。パートナーや友人とよりよい関係を築きたい。
  • 人生を変えたいと思っているけど、どうしたらいいのか&何をしたいかが分からない。

ミニマリズム的思考やライフスタイルを取り入れた人の中には、こういった現状が目の前の霧が晴れるように改善したり、新天地へ行き着いちゃったという人がとても多いんです。自分らしい人生を歩み始めた人も多い。

お金やサプリメントじゃ解決できない人生の不満足感。これを払拭する手助けになるのがミニマリズム的思考だったんですね。だからこそこの情報を幸せのツールとしてシェアしたい思う人が多かったのだと思います。

つまりはこういうこと。

これから新しい国(=夢の生活、自分らしい人生)へ行って暮らすことになるなら、今の家(=現状)から引っ越しする必要があります。

家ごとずるずる引きずって行く訳にはいきません。

自分は何を持っていきたいのか(モノ、感情、体、知識、人間関係、愛情、仕事、冒険etc…)。
そして何がいらないのか。何が大切なのか?

隣の人とあなたの荷物は、大きさも中身も全然違います。

さて、あなたはスーツケースに何を詰めますか?

 

註※ 現在のところ米国、英国、オーストラリアやニュージーランドなど英語圏のみ。
有料になりますが、動画共有サイトVimeo(ヴィメオ)であれば世界中から視聴することができます。
Vimeo
で視聴した場合、ドキュメンタリーで一部使われている世界のミニマリスト・キーパーソンたちのインタビューを全部見ることができる6時間のボーナス画像つき。私は映画よりこっちの方が面白かった…!

 

 

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About Author

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写真家&ライター。東京で広告制作・編集と撮影の仕事を経て2003年渡英。フリーランスで活動中のアーティスト。ロンドンをベースにアーティストや作家をモデルにした絵画的なテイストを持つポートレート制作などを行う。英国をベースとしたエキシビションを開催。日常系ミニマリズム研究家。「あぶそる〜とロンドン」編集長、江國まゆ氏と共に2018年に『ロンドンでしたい100のこと(自由国民社)』(執筆&撮影)、そして2020年には『レス・イズ・モア 夢見るミニマリストでいこう。』を出版。

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