どしゃぶりに導かれて

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cafevisit


私がcaféを選ぶ時の理由で一番 多いのは
1) 雰囲気が良いということ
それから、「私はコーヒーにはうるさいの」とは、言わないけれど
好きな味があるから
2) 私の好きなコーヒーを出す店というのもポイントに入れる
又、カフェは 仕事場にもなるので、
3) 落ち着いていて居心地が良く
4) あまりうるさくなく(グループや子供同伴者が居ないようなところ)
5) 適当に空いていて
6) 長く居られるテーブル席を確保出来ること
あっ、それから夕方になって行く時のために
7) ワインが飲めるcaféっていうのも、ちょっと嬉しいな…

だけど先日、上のリストとは真逆のカフェに入った。

+          +         +         +         +         +         +

普通だったら、しないだろう、ということをしたり
買わないだろう、と思うものを買ったり
選ばないだろう、というものを選んだりする
こういう事、時々ない?

たとえば服、遊びの値段で買えるとしたら
絶対に私のカラーじゃない、という物も
絶対に私のスタイルじゃない、という物でも
ちょっと面白いから、とりあえず試してみよう
なんて思って、買ってみたくならない?

20年ぶりに外国生活をすることになり
2005年の夏の終わりから スコットランドの田舎町での暮しが 始まった
その時

【普通では、選ばない物を手に入れるすっごく楽しい遊び】

を、私は初めてしたのです

その小さな町には、チャリティーショップがとにかく沢山あり
1ポンド2ポンド3ポンドぐらいのただ同然の古着から
もう少し高いヴィンテージ ドレスから アンティーク雑貨 が 色々あった
とにかく面白い物で溢れていて、私はすっかり夢中なってしまい

小銭を握りしめ、それらのショップを散歩がてら覗いて見て歩いた
その中の一軒が私の気に入った!
かなり年季の入った店で、その地下には宝の山が!

私は埃アレルギーなので、クシャミと戦いながら
それでも、掘り出し物を探すのが楽しくて楽しくて毎日のように通った
おじいちゃんの屋根裏部屋から出てきた様な、古くて大きな木の箱

そのおじいちゃんが使っていたと思われる?
チェス盤と駒、そして擦り切れているトランプ
素敵な柄で、ちょっと変わっている古っぽいトレイ
注ぎ口が壊れても、修理して大事に使われていた

ヴィクトリアン時代のティーポット、古〜いハロッズのクッキー缶
重くてカッコイイー大理石のランプスタンド、田舎風な椅子
まだまだ使える1930年代の大きくて邪魔で重くて素敵なタイプライター
おばあちゃんがかぶっていたと思われるオシャレなリス帽子

イブニングドレス用のちょっと壊れたビーズや羽根バッグ
真珠をぶら下げている変な顔の天使のブローチ
古〜〜〜い、ピアノ練習曲の本などなど…

ワクワクするものが、埃まみれの箱の下からゴソゴソと見つかった

 

これらは、 私の好きな路線上の物 だから、
チャリティーショップにしては、少し高めだけれど
今でもほとんどの物を
スコットランドの想い出として、持っている

ある意味 これらとの出会は 当然のような気もする
逆に、普通は絶対に見もしない、買わない

面白半分の遊びで買った数ポンドの服や小物は
すぐに飽きてしまったり
やっぱり、馴染まなかったりで
結局 またチャリティーショップへ又持っていく
という事が多い中、たまに…
使ってみたら、ピカッと光出す物がある

これは、かなりの掘り出し物だ!

普段は、見もしないようなところで アッと驚く出会いがあると
それは、自分の路線に乗っている時に、出会ったモノよりも
なんだか高揚感がある ような気がする
そっちの方が奇跡的だから
見つけた驚きの度合いは、高い

たとえば…、先日友人がチャリティーショップで見つけた
新品/サイズぴったり/オレンジ色/5ポンドのカッコいい スニーカー

「 とりあえず、安いしね」と買った、で後日…
「凄く良かったの!色々な服にも合うし、あー、買って本当に良かった〜!」

と話していた

こういう物は、本当の 掘り出し物

さて、話は又 ずれてしまった…(が、続いているのだ!)

つまり、先日入ったcaféは、
普段はきっと、選ばなかったお店だったのだ
なぜかといえば、私の 選ぶリストを全く満たして
いなかったから

外から見て
とても小さそうだったし
赤ちゃんを連れた人が真ん中の席にいるし
何か特別にそそられる雰囲気のあるお店でも
ちょっと面白そうなお店でもなかったから

なのに、入ったのは?

しばらく止みそうもない凄い雨が降ってきたから
雨宿りに飛び込んだというのがその理由
この日は、あっちこっち散歩しながらカフェを
選ぶ余裕が全く無かった

でも、そこで予期せぬ 面白い出会いあったのだ!

大都会の隅っこにあって、全然目立たない存在で
私が選ぶ基準に達していないと思っていたこのカフェで
私は掘り出し物を見つけたのです!

th_thecoffeeshop11May2015びっしょりに濡れてしまった私と友人を
お店のオーナー夫妻は気持ちよく迎え入れてくれ
私達は隅っこに一つ空いていたテーブルに座った
コンパクトな お店はうまくレイアウトがされていて

【小さなスペースでも出来るカフェ!】

なんていう特集があったらピッタリのキッチン周りだった

小さなカウンターの上には
美味しそうなスコーンやケーキやが 幾つか並んでいたので
そのケーキの一つを選んで、熱い紅茶と頂いた
小さなテーブルに紅茶とケーキを持ってきてくれたマダムはとても
感じがよくて、ティーセットも可愛らしく、オマケに小さな
人形型クッキーも付いてきたから
なんだかうれしくなってしまった私は

「 ここに掘り出し物一つあり!」と、叫んだ!
(心の中で)

このカフェの内装はペールグレーと白のモダンシックな
最近の ロンドンには よくある普通のカフェ
なんだけれど
なんとなくここには優しくて暖かい 愛情が
空気の中に漂っていたのです

部屋の中央席にいる、赤ちゃんづれの2人は、イタリア人だった
長いおしゃべりが終わり
お店を出る時、立ち上がって支度をする

その姿を私達は思わず見とれてずっと見入ってしまった!
とてもとても オシャレな女性達だったから!
赤ちゃんも、静かだったしこの2人のファッションを
見る事ができただけでも、ラッキー!

帽子のかぶり方、スカーフの巻き方それに仕立ての良さそうなコートが
なんともなんとも カッコよかったのです
彼女達のような、着方を知っている人 を見ると、私もオシャレをしたくなる

日常の中から突然飛び出してくる、こういう驚きの出会いに遭遇することは
とても嬉しいこと
何であれ、刺激を受ける、というのは素晴らしい!

オシャレな人なんて、絶対にいないと思ったこのカフェで見つけた2人の
ファッショニスタは、掘り出し物の二つ目

さて、オーナー夫妻を観察していたら、私はまた想像の世界に入り込んでしまった

彼等は退職後、貯めたお金でこのカフェを最近開業し
2人は仲良く、楽しそうにカフェを今手づくりで造り上げている最中
彼は、DIYが大得意で、現役時代も週末や休みの度に 家を少しづつ増築していった
彼女はお菓子作りが大好きで、そして、とても上手で
彼が造ったキッチンには
いつも甘い、いい匂いがしていた、今では巣立ってしまった
3人の子供達も、ママのケーキには目がない!
彼等は実家へ戻るとまずキッチンに来て
今日はどの ケーキかな?と、チェックをする
キッチンから出入りすることが出来る裏庭の半分では、ハーブや野菜を育てていて
それらでつくるサラダとパスタで、先ずはケーキの前にランチを食べる…
ママのシンプルなトマトパスタ&サラダもみんなの大好物!

この二人を観察していると、色々なことが想像できて、見えてくる!

私にこういう想像力を掻き立てさせる2人も素敵
これで、掘り出し物は3つだ
偶然に入ったカフェで、掘り出し物を3つも 見つけることができたなんて!

…私、ちょっと考え直したほうがよいのかも
カフェ選びのこと…

初めに書いた、リストを捨て去る!?
何に対してでも言えることだと思うけれど

【思い込み】が 世界を狭くするから

だから、これからは、雨が降っていてもいなくても
まず入ってみること!

そこが、少し位 狭くても、混んでいても、騒がしく赤ちゃんが泣いていても
うるさそうな子供が何人かいても、雰囲気は普通でも
オシャレな人が居そうでなくても!

…こう書いてみると、やっぱり躊躇する
外から見てこうだったら
やっぱり、選ばないなー
やっぱり、世界狭めているのかな?
でもね、何かがあって、どうしようもなくて、偶然普通は選ばない
ものを選んだ時に、遭遇する喜び、というのもあって…

そうそう、ある人が言っていた、恋は探すものじゃなくて
石につまずいたように、出会うものだって

つまり、素敵な出会いとは
ここに?あそこに?あるかもしれないと、思って
片っ端から入って出て 探し求めるものではない

ということ

確率はうーんと 低いけれど
ある時、予期せぬ場所で偶然出会う、この奇跡!
つまり、これが掘り出し物を見つける っていうことなのかもね!

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【きょうのヒント】
豪雨の中で 見つけたこの店は、道の外れ
このヒントじゃちょっと難しいけれど
お散歩していて、気がついたら小さなカフェの前にいる、 かもね?!
そんな風に、何気なく探して欲しいお店!

Have a good day!

【前回のこたえ】
Italo
13 Bonnington Square, London SW8 1TE
opening hours: 9:30 – 19:45 Mon-Fri, 10:00 – 20:30 Sat, 10:00 – 16:30

じゃ、又ね!

カオル

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About Author

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東京生まれ、ロンドン在住の絵本作家。高校卒業してすぐに渡米。その後、パリ、南仏に暮らし、ロンドンへ。ロンドンでセシルコリン氏に師事、絵や陶芸などを学ぶ。1984年からイギリス人の夫と2人の子供と暮らしながら東京で20年以上イラストレーターとして活躍、その間、「レイジーメイドの不思議な世界」(中経出版)の他、「ある日」「ダダ」「パパのたんじょうび」(架空社)といった絵本を出版。再渡英後はエジンバラに在住後、ロンドンへ。本の表紙、ジャムのラベル、広告、お店の看板絵なども手がけている。現在はロンドンのアトリエに籠って静かに絵を描いたりお話を創る毎日。生み出した代表的なキャラに、レイジーメード、ダイルクロコダイル氏などがいる。あぶそる〜とロンドンにはロンドンのカフェ・イラスト・シリーズを連載。好きなものはお茶、散歩、空想、友達とのお喋り、読書、ワイン、料理、インテリア、自転車、スコーン、海・樹を見ること、旅行、石(特にハート型)、飛行場etc etc...

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