日本では、今日2月22日はニャンニャンニャンということで、猫の日だそうですね。ハッピーキャットデイ!
ところでみなさん、「Simon’s Cat(サイモンの猫)」というカートゥーン・アニメ・シリーズはご存知ですか? すぐにピンと来なくても、絵を見れば「どこかで見たことがある」という人は多いんじゃないでしょうか。でも「どこかで絵を見たことがある」という人でも、もし「じっくり観たことはない」のであれば、この機会にぜひじっくり観てみてください! セリフがないので、言葉の壁もありません。特に猫を飼ったことがある人、飼っている人なら、夢中になること請け合いです。ちょこっと観ようと思っただけなのに、つい次から次へとキリなく観てしまうはず(私がそうでした)。
「Simon’s Cat」 は、英国人アニメーターのサイモン・トーフィールドさんが生み出した作品です。小さい頃から絵を描くのが好きで、特にアウトドアライフやワイルドライフのドローイングが好きだったというサイモンは、パラパラ漫画からアニメに興味を持ち、大人になってアニメーターとして働くようになりました。そして13年間ほど主にテスコやマーマイトといった会社のテレビ広告用のアニメーションを制作する仕事をしていたらしいのですが、デジタル(Adobeフラッシュ)でアニメを作る方法を独学で学び、記念すべき第1作目となる「Cat Man Do」という白黒のショートアニメを完成させました。で、実はこの作品のプレビューを観た人がYouTubeにアップしたらしく、サイモン自身がYouTube上で自分の作品を見た時には、もうかなり人気が出ていたそうです。
9歳の頃から猫を飼っていて、今も4匹の猫とともに暮らすサイモン。この飼い猫たちが「Simon’s Cat」のインスピレーションになっていることは言うまでもありません。主人公の猫は、この4匹の猫たちのいろんな面を引き合いに出したキャラクターとのことで、タイトル通り「サイモンの猫」と呼ばれ、特に名前はつけられていないそうです。また、最初はこの飼い猫たちの鳴き声を録音して使おうと思っていたらしいのですが、実際に彼らの鳴き声を入れてみるとどうもしっくりこなかったので、結局、サイモン自身が猫の鳴き声をまねて、アフレコしているそうです。
2008年には、「Simon’s Cat」のYouTube公式チャンネルおよび公式ウェブサイトを設置。以来、定期的にショートアニメ作品をアップしているほか、コミックとしても出版されたり、デイリーミラー紙で連載を持ったり(2011〜2013年)、Facebook のゲームになったりと、露出度がどんどんアップ。これまでにYouTubeにアップロードされている70本以上のアニメ作品は、一本平均1〜2分程度という短さなのですが、すべて手描きなので、一本つくるのにもすごく時間がかかるのだとか。
2015年には、やや長編(12分)のカラーアニメ作品「Off to the Vet」の制作を実現するために、サイモンとそのチームはクラウドファンディングを実施。見事、資金が集まって作品が完成し、寄付してくれたサポーターたちに限定公開されました。タイトル通り、サイモンの猫が獣医に連れて行かれるストーリーなのですが、描写がとてもリアルで思わず笑ってしまう箇所がいっぱいです。ベルリン国際映画祭や、エジンバラ国際映画祭をはじめ各地の映画祭でも上映され、サンフランシスコ国際映画祭ではベスト・ファミリー・フィルムの審査員特別賞を受賞しています。こちら、2017年秋から無料公開されています。
また2016年からは、ショートアニメとともに、猫行動学のエキスパートを招いて、猫の生態や行動、習性などを学んだり、猫を飼う上で役立つヒントなどを紹介したりする「Simon’s Cat Logic」というシリーズを開始。サイモン自身もナレーターとして出演し、自分の猫たちのことを話したりします。猫への理解も深まる教育的要素を含んだこのシリーズ、猫を飼っている人には特におすすめです。
「Simon’s Cat」 は、いかにもアニメらしい動きや展開も含んではいるのですが、やりすぎ感がなく、絶妙なあんばいに仕上がっていて、それも人気の秘密なんじゃないでしょうか。シンプルな絵で猫の動きや習性をよく捉えているうえに、飼い主の行動やリアクションも大きく頷けるものばかりで「あーこれこれ、やるやる!」「そうそうウチもまさにこの状況〜」な場面の連続です。それってつまり、どの猫も結局は同じってことなんじゃないの、と思ってしまいそうですが、実際のところ「同じ猫は世界に一匹としていない!」と言い切れてしまうのが、猫の不思議でスゴイところなんじゃないかと、改めて思うのでした。
最後に、私が今まで観た白黒ショートアニメの中で、気に入っているものをいくつか貼り付けておきますね。