「もしもし、ヨシエ? RSPCAのジョンですけど」
と、ある木漏れ日の午後の森の中、犬散歩中にかかってきた一本の電話。
イギリス国内中に施設を持つ動物保護団体のひとつ、RSPCA。
そこで保護中の犬を、自宅で一時的に預かってお世話をするというボランティア(Dog foster)に先日登録してみたので、それについての連絡でした。
ジョンにまず、こちらが気になる事をいくつか質問して、後日うちに下見と詳細の説明をしに来てもらう約束をしていると、
「ところで僕、君の犬散歩中に、何度か会った事があるんだよー」だって。
フィールドでいろいろな人と話すから、どの人だろう??と思いつつ、その日は電話を終えました。
話は変わり、ヨシエはボランティア活動というものを、今までそんなに積極的にしてきた人ではありませんでした。
でも、イギリスに予定外に移住する事になる直接の理由となった、2011年の東日本大震災の時に、全国各地から(海外からも)のボランティアの皆さんから涙の出るような温かい手助けを受けた事、そしてその当時、同じ状況下にいた地域の人々が助け合う姿を見ていたことが、自分の中にボランティアへの関心を芽生えさせたのはたしか。
それ以降暮らしているイギリスでは、小さな子どもからお年寄りまで、ボランティアをに日常的にしている人がほんとうに多くて、暮らしの中に自然に溶け込んでいるので、それにも背中を少しずつ押されたような気もします。
それで、自分はふだんからドッグウォーキングやペットポートレートの制作など動物に関わる事でお金をいただいている身だから、ふだんの寄付以外にも、いずれ何かの形で世の中に(とくに動物に)お返しできないかなーとぼんやりと思っていた頃、聴導犬になるための犬を預かってお世話する友人や、自宅の犬プラス保護犬のお世話もする友人などが身近にいたのもきっかけとなって、うちでも犬のお世話だったらできそうだ!と思ってボランティアに登録をしてみた、という流れだったのです。
後日、うちを訪ねてきてくれたジョンの顔を見てもやっぱり誰だか思い出せないまま、マーゴの歓迎ジャンプがおさまるのを待ち、キッチンで会話。
うちの1階と庭を見せたり、家族構成、夫婦のおおまかな在宅スケジュールなどを伝え、RSPCAの犬預かりについての説明を受けました。
(マーゴはその間、ずーっとジョンの靴とズボンの匂いを興味深そうにかいでいました)
その説明をざっとまとめると・・・
– RSPCAではローカル地域の施設にいる保護犬、そうでなければ、全国リストに載っている犬をイギリス国内中どこの施設からでも連れて来て(!)、ボランティアファミリーと条件の合う犬の一時預かり期間がはじまります。
– 預かり期間はだいたい4〜6ヶ月間が一般的で、おもに、新しい飼い主が見つかるまでの間のお世話となります。
– 預かり中は、自分の犬と同じように扱い、ヘアカットや避妊・去勢その他の獣医チェックや手術が必要な場合にも病院へ連れて行き、ごはん代を含めたそれらの費用はすべてRSPCAが負担。
– また、預かり中にホリデーなどで不在になる場合には、その犬を一緒に連れていってもいいし、信頼できる身内や犬の宿泊施設に預けてもOKだそう。
ジョンいわく、毎回見聞きして切ないのは、犯罪者(ドラッグディーラーとか)に転売のためにとか、暴力をふるう目的のために盗まれたりして、心にも体にも大きな傷をおった犬たちとか、利益のために非道な繁殖をさせられた母犬と子犬たちとか、またはとても愛されていたけれど事情でどうしても手放さないといけなくなった飼い主と犬との号泣の別れだそう。
そうかと思えば、
「犬の一時預かりのボランティアが、最終的にその犬を引き取るっていうケースも多くてねー。
このあいだも、ボランティアの女性が犬を2匹引き取ることに決めたので、もう他の犬を預かることができなくなって。
だから、なんだかんだで、一時預かりのボランティアは、つねに足りない状態なんだよ」
なんて、聞いてちょっとほっこりするような話も。
ちなみにジョンは70代の元・建築士。
リタイア後にこのRSPCAのボランティアを始めて約7年、数々の保護犬を新しい飼主のもとへと送り出すお手伝いをしているそうです。
ヨシエは、さんざん話した後、ジョンの住所や彼の飼っている(フィールドで会うといつもフレンドリーに寄ってくる♪)犬2匹のことなどを聞いて、ようやく犬とセットになって、誰だったのか思い出す事ができたのでした(笑)。
この秋以降、アラン家には、どんな犬とのご縁があるのかな。
まずは、うちのマーゴと気が合うことを願いつつ・・・。
(ヨシエのインスタグラムのストーリーズでは、イギリスでの犬散歩中の森や小川の風景を時々シェアしています。
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