ハロー、スウィープ! 〜 フォスター・ドッグがやって来た

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おひさしぶりです。
みなさんの住んでいるところは、春めいてきましたか?

こちら(ロンドンから北に電車で三十分くらいのところ)は、ついこのあいだまでは
「ぽかぽか、気持ちいいお天気〜!
ジャケットももういらないね。春の花たち、今年もハロー♪」
だったのが、ここ数日はまた
「息が白い!ジャケット、手袋、ネックウォーマー、カムバーック!
霜に覆われた花たちよ、耐えてね・・・」
という感じ(イギリスあるある)です。

最近のアラン家は、それぞれの新しいことや、家族みんなで形にしたいことに向かって動き中。そのおかげで新しい場所や人とのつながりも生まれたりして、楽しく刺激のある毎日を送っています。

そんな中、犬との暮らしでも新しい動きがありました。
フォスター・ドッグが、はじめてうちに来たのです。

2月のある日の犬散歩中、ジョン(第4回「犬にまつわるボランティア」参照)から電話があり、うちが昨夏のドッグフォスターのボランティア登録時に出した一時預かり可能の条件に合う犬がいるので、うちで預かることができるか?という話。

家族全員のOKが出て、ジョンに返事をした翌日の午後にうちに到着した、その犬の名は、スウィープ。12才の、明るい茶色のシーズーの男の子です。

このスウィープ、うちから車で30分くらいの町で、身体に障がいのある飼い主さんと暮らしていましたが、その飼い主さんが脳卒中になり、回復はしたものの今までのようにスウィープのお散歩やご飯のお世話をすることが難しくなったため、RSPCAが飼い主さんに代わってスウィープの新しい飼い主を探すことになりました。

もとはその飼い主さんのご近所さんの犬だったのを、ご近所さんが5年ほど前に亡くなった際に飼い主さんがスウィープを引き取り、これまで一緒に暮らしてきたそうです。
ジョンがその家にスウィープを迎えに行き、ふだんの生活リズムのことなどをうかがい、ほんとうは手放したくなかった飼い主さんの別れの涙をあとにして、うちに連れてきてくれたのでした。

うちに連れてこられてからの2日間は、借りてきた猫(?)のようにおとなしく、リビングのソファと棚のあいだにフリースブランケットを渡してつくったテント風ベッドスペースで舌を半分出しながら寝ているばかりだったスウィープでしたが、3日目になるとすっかりうちに慣れて、しっぽをふりながらみんなの後を追ってうろうろしたり、晴れた庭に出て日なたぼっこをしたり、たまにおやつを要求して吠えたりと、本来の自分をだんだんと発揮。

両前足が生まれつきものすごく曲がっていて、よたよたと歩くので、階段の昇り降りは無理だろうと思っていたら、ちょっと留守をしたすきに2階にあがっていて、帰宅したアラン家全員をたまげさせてくれました。
あがれるけれど降りれないということも判明したので、階段上に付けてあった安全柵を、すぐに階段下に移したのでした。

第一印象のおじいちゃんっぽい風貌と動きにだまされていたアラン家の面々も、よたよた歩きに見えてじつはけっこう機敏に動くことを知ってからは、週末の家族散歩で羊と牛の群れのいる丘へ連れていってみたり。
マーゴよりはだいぶゆっくりペースで、でもちゃくちゃくと斜面をのぼるスウィープと一緒に、雲間からのおひさまの光と冷たいそよ風を受けながらのお散歩を楽しみました。

 

うちのマーゴ(10才)は、スウィープをどう思っているのか・・・は誰にも分かりませんが、遊びに誘うでもなく、かといって威嚇するでもなく、一定の距離を保ちながら過ごしている感じ。ソファの上の2匹が、思いっきり端と端に離れてスフィンクス座りをしている姿は、見るたびに笑いがこみあげる可愛さです。

今朝は、RSPCAに指定された近くの動物病院へ、スウィープを定期検診に連れて行きました。
怖がる様子もなく、病院内の待合室で待つほかの犬たちにしっぽをふるスウィープは、診察室でもあちこち嗅ぎ回り、元気いっぱい。

獣医さんがマイクロチップをスキャンして個人(犬)情報を確認した後の診察で、片目だけ目やにが多いのは涙量が通常より少ないからとのことで点眼薬をもらったり、ワクチン注射を打ってもらったり。からだのあちこちにある気になる脂肪のかたまりみたいなものは、ほんとうにただの脂肪なので心配ないとのこと。

唯一の深刻な発見は、犬歯(大きく尖っている歯)が口内病でどちらもそうとう腐っていて、これは麻酔手術で完全に抜かないとだそうで、しかもその手術はスウィープへの今後の(多分、食べることとか、そういうこと?への)影響も出るそうで、獣医さんとRSPCAで相談のうえ、日程や詳細が決まったら手術に連れていくことになりそうです。

 

ヨシエは今、リビングの一角でこの記事を書いていて、すぐそばではテント風ベッドで舌を半分出しながら眠るスウィープのいびきがジャズのBGMにのって規則的に響いています。

まだ数日なのに、ずっと前から一緒にいたような気にもなっています。

一時預かりでもなんでも、同じ屋根の下で過ごせば、もう家族と同じ。
何かのご縁で一緒に暮らすこの短い期間を楽しみながら、スウィープが居心地よく過ごせるように、そして、彼のフォーエバー・ホームにも早く巡り会えるように、ジョンとRSPCAとのチームワークで動いていきます。

インスタグラムのストーリーズで、イギリス暮らしのあれこれや犬散歩で見ている風景などをシェアしています。スウィープにも時々会えるかも?記事とあわせて、ぜひのぞいてみてください♪)

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About Author

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1979年、福島県生まれ。漫画描きやDIY、動物のお世話を楽しむ子ども時代を経て、日本大学獣医学科在学中に進路を変え、ESMOD JAPON東京校でファッションデザインを専攻。 アパレル業界に勤務後、2006年より東京を拠点にイラストレーター・コラージュ作家「ヨシエ」 の名で作品の発表をはじめる。 絵本「世界にたった2人の仕立てやさん」の雑誌 Spoon. への掲載以来、書籍イラスト、広告・展示・イベントのコラージュや布ハギレの立体作品、ファッション・インテリア柄デザイン、オーダーメイドのアートワークなどを数多く手がける。 2014年から、アーティストの Sarah Bellisarioと組んだデュオ ‘Sas and Yosh’ でのデザインも担当しており、商業・病院施設などの壁画、書籍挿絵や柄デザインなど、デジタルイラストレーションをイギリス国内外へ発信している。 近年は、自然からインスパイアされた光と影のコントラストの中に自分なりの人生哲学を織りまぜ、それをペインティングやドローイング、切り絵や色とりどりの素材ハギレ、柄で表現することに興味があり、色と素材と遊びながら模索中。 ロンドン郊外の小さな歴史ある町に家族と暮らして10年以上になる現在、愛犬マーゴをきっかけにはじめたドッグウォーカーとペットポートレート制作もライフワークに加わり、笑いと発見の溢れるリズミカルな毎日を楽しんでいる。 著書絵本は「ヨシエフォンデュ」(角川書店)、「ポンポルトンタン」 (祥伝社)、「ツキミモザ」「ギイドロとマレンカレン」(Skyfish Graphix)、「ハッピーイースター」 (くもん出版) 他。

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