犬の鼻は、いつもフル回転ー♪
のべーんと寝そべっているだけに見えても、ぼーっと座っているだけに見えても、その鋭い嗅覚(諸説ありますが、人間の嗅ぎとれる匂い分子のだいたい100万分の1までも犬は嗅ぎとれるそう。犬種・個体差あり)で、つねにまわりからの情報を敏感にキャッチしています。
うちのマーゴも、学校帰りのキッズが家からは距離のある曲がり角まで歩いて来ると、もう歓迎吠えをはじめたり、2Fの(人間の)ベッドルームで寝ている間に1Fのキッチンで誰かがバナナの皮をむきはじめるとすぐに駆け降りて来たり、しまいにはお散歩リードをフックからフックに移そうとして音もなく触っただけでも、ハッと後ろを振り返ったら、いる!みたいな感じで、彼女に隠し事はとうていできません。
その嗅覚を最大限に発揮するようなお仕事や、役割を与えられている犬たちはいいとして、一般家庭でペットとして飼われる犬たちは、日々のお散歩でたくさんの匂いを嗅いで刺激を得ることが必要で、精神的にもとてもいいと言われているので、ヨシエはそのお手伝いができるドッグウォーキングの仕事が大好きなのです!
とくに森の中は、犬たちが鼻を使う、最高のスポット。
木の切り株や、地面に横たわる倒れ木や小枝、風で舞い踊る枯葉、苔やきのこ、そして湿った地面などに他の犬の足跡やトイレ跡もあり、ヨシエの連れていく犬たちも夢中で嗅ぎまわり、一歩進んでは止まり、二歩進んでは止まる感じです。
ナショナル・ジオグラフィックが子ども向けに出版している犬についての本を読むと、犬は、トイレ跡を嗅ぐだけで、そのトイレの主(犬)がどんな状態であるとか、はてはその主(犬)の最近の社交状況などのゴシップまで分かると書いてあったので、人間にとってのSNSのようなものなのか!と妙に納得し、それ以来ヨシエも犬たちのゴシップ・チェック時間には、あまり急かさずに待ってあげるようになりました。
待つ時間もけっこう長かったりするので、ヨシエもそよ風の中で深呼吸と伸びをしてみたり、地面にあぐらをかいて座って両手で地面の温度を感じてみたり、光と影のつくり出すコントラストに見惚れて写真や動画を撮ってみたり、犬たちの真似をしてまわりのものの匂いを嗅いでみたり、そんなふうにして楽しんでいたある日のこと。
初夏の、美しい午後、マーゴ・ビイ・タンゴの3匹と、森へつづく小道をのんびりと歩いていると、ティーンエイジャー(15歳くらい?)の男の子と女の子が楽しそうにおしゃべりしながら前を歩いていました。
くねくねの小道で、すれ違うほかの人やドッグウォーカーに軽い挨拶をしつつ、また視界に2人の姿が目に入ると、彼らはまわりに誰もいない時には手をつなぎ、誰かが前からやって来るのを見ると、つないでいた手をそっと放し、おしゃべりを続けています。
なんだか、可愛い♪ と後ろから思い、あえて距離をとってからヨシエと犬たちが森へ入っていくと、その2人が森の中の広場の一角で、きらきらと揺れる木漏れ日の中、満面の笑みでふざけあいながら、横たわる倒れ木と倒れ木のあいだをジャンプしているのが見えました。
映画のワンシーンのようなその姿に、ヨシエもつられて胸のときめき度がMAXになり、
「この後、きっとファースト(ではないかもしれないけど)キスの予感・・・♪」と思って、一刻も早くその場を去って2人きりにしてあげようとしたのです、が。
ヨシエの足元には、すでにゴシップ・チェックに没頭中で、名前を呼んでも、リードをひいても応じず、切り株と地面の匂いを嗅ぎまくる犬が3匹。
しかも、その時ちょうどイヤフォンが壊れていて使えず、ヨシエの携帯電話からは大音量で流れるポッドキャスト(しかも日本語で、おじさんが2人、インドの旅について語って大笑いしている場面)。
若い2人のときめきタイム、完全にぶち壊しです。
2人もあきらかにこちらを気にしてちらちらと見ているし、こちらも早く去りたいのにままならない、微妙に気まずい数分間の後、2人のほうが先に、森の奥のほうへと手をつないで消えていきました。
邪魔してごめんね・・・と思いつつ、恋っていいな・・・♪ とも思いつつ、ようやく満足した犬たちと森を抜け、お散歩を続けたのでした。
(ヨシエのインスタグラムのストーリーズでは、イギリスでの犬散歩中の森や小川の風景をシェアしています。散歩気分を味わいたい方いましたら、ぜひご覧ください♪)