大きな白い犬の背にのって。

0


「Morning, モンティー♪」
「うおおん、うおおん、うおおおおーん!」
これが、ゴールデン・レトリーバーのモンティとの、いつもの挨拶です。

さかのぼること2年前、うちのキッズのクラスメイトのママから依頼された、子犬のお散歩。その理由が、

「いちどドッグウォーカーを雇ったけれど、車が嫌いなモンティを乗せるのが一苦労でうまくいかなかったので、家から徒歩でフィールドまでお散歩をしてくれる人を探していたの」だそう。

ヨシエは、イギリスでは義姉の家にもゴールデン・レトリーバーの兄弟犬、ハリーとベアがいます。
大きくて可愛いなーと、じゃれあう2匹を見るたびに思っていたので、同じ犬種のモンティのお散歩ができることになったことに、ワクワク!

そして、モンティに初めて会った瞬間の感想は、一言。

「でかい!!!」

まだ子犬なのに、成犬のハリーとベアよりはるかに体格のいいモンティ!
勢いよく飛びかかって歓迎してくれて、思わず後ろに倒れそうになった、ヨシエでした。

というわけで始まった、大きな子犬・モンティのお散歩には、いろいろと忘れられない思い出が。

ご近所で、同じ時間帯に一緒にお散歩できると思っていた犬は、モンティがはしゃいで飛びかかるために警戒吠えするようになってしまい、うまくいかず。

ある時には ー これは完全にヨシエのミスなのですが ー 、すいているフィールドでリードを離して自由に走らせていたら、じつはフィールドのはるか向こうにいたほかの犬をめざとく見つけたモンティが、ものすごい勢いで駆けていき、
「遊ぼうよ!遊ぼうよ!」
と犬のまわりを跳ね回り、あいにくそれが小型犬だったためにその足を踏んづけてしまったのです。

「きゃうん!」
という声を聞き、全速力でモンティに追いついて、前足を軽くひねってしまった様子の小型犬とその飼い主さんに平謝り。
その後その小型犬ちゃんは、足は大丈夫そうでしたが、モンティにすっかりびびってしまい、飼い主さんに抱き抱えられて帰っていきました・・・。

それ以降も、すれ違う犬たちみんなと遊びたくてたまらない、モンティ。

フレンドリーで好奇心旺盛で優しい子(犬)なのに、どうにもこうにもその体のサイズでばうんばうんと容赦なく跳ねるので(子犬だから当たり前なのだけど)、お散歩中に出会う大型犬には唸られ、中〜小型犬にはびびられ、というかんじで、なかなか犬友達ができません。

でも、子犬って、他の犬とたくさん遊んだりけんかをしたりすることで、犬社会のルールを学んでいくし(というのは大げさ?)、さてどうしよう、と。
そこで大活躍したのが、うちの犬、マーゴです。

マーゴは、ヨシエがドッグウォーカーを始めて以来、数多くの犬に会わせてきて、とくに子犬たちとは一緒に歩いたり、やんちゃすぎる行動を吠えてたしなめたりする、メンター的な存在(?)なのです。

小さいマーゴの横を、マーゴにちょっかいを出しては叱られながら歩く、大きなモンティ。
その姿にヨシエは毎回吹き出してしまいながら、何度もお散歩を重ねました。

そのうちに、季節は巡り、モンティもすくすくと成長し。

ある日のお散歩中、ドッグウォーカーでドッグボーダー(自宅で犬をお泊まり預かりする人)をする知人(その人は以前、ほかの犬と一緒に預かれないとの理由でモンティのお泊まりを断ったことがある)が、
「ますます大きくなったわねー!(犬挨拶したさにリードを引っ張っているモンティを見て)、お散歩も大変でしょう。わたしには無理だわあ」
と言ってきた時があり、その時ヨシエは
「いや、それがねー、この子(犬)、前よりはずっと落ち着いたし、最近はマーゴ以外の犬(うちに泊まっていたビイ)とのお散歩もできたのよ♪」
と即答して、そこには、心からモンティを誇らしく思っている自分がいました。

とはいえ、ヨシエがモンティのお散歩をする時間に一緒に歩ける犬は、メンター・マーゴ以外には、まだいません。
モンティの家の通りを歩くたびに、昔彼に飛びかかられてびびった近所の犬たちが、塀の向こうから吠えてきます。フィールドでいつも会う犬たちの中に、リードを離してじゃれあって遊べる真の犬友達(できれば、大型犬)も、ひきつづき募集中。
今日もフィールドで、まわりを確認してからリードを放し、一緒に1匹+1人のジョギングなどを楽しんでいます。

お散歩の途中で、ときどき、モンティの大きな白い背にまたがってみます。
そうすると、ヨシエの太ももは、モンティの体温で、じんわり、ぽかぽか。
そのまま背中に抱きついて、秋の空へと駆け上がり、いつかモンティが車に乗れたら連れて行ってみたい遠くの丘へと、空想の中で向かうのでした。

ヨシエのインスタグラムのストーリーズでは、イギリスでの犬散歩中の森や小川の風景をシェアしています。散歩気分を味わいたい方いましたら、ぜひご覧ください♪)

Share.

About Author

アバター画像

1979年、福島県生まれ。漫画描きやDIY、動物のお世話を楽しむ子ども時代を経て、日本大学獣医学科在学中に進路を変え、ESMOD JAPON東京校でファッションデザインを専攻。 アパレル業界に勤務後、2006年より東京を拠点にイラストレーター・コラージュ作家「ヨシエ」 の名で作品の発表をはじめる。 絵本「世界にたった2人の仕立てやさん」の雑誌 Spoon. への掲載以来、書籍イラスト、広告・展示・イベントのコラージュや布ハギレの立体作品、ファッション・インテリア柄デザイン、オーダーメイドのアートワークなどを数多く手がける。 2014年から、アーティストの Sarah Bellisarioと組んだデュオ ‘Sas and Yosh’ でのデザインも担当しており、商業・病院施設などの壁画、書籍挿絵や柄デザインなど、デジタルイラストレーションをイギリス国内外へ発信している。 近年は、自然からインスパイアされた光と影のコントラストの中に自分なりの人生哲学を織りまぜ、それをペインティングやドローイング、切り絵や色とりどりの素材ハギレ、柄で表現することに興味があり、色と素材と遊びながら模索中。 ロンドン郊外の小さな歴史ある町に家族と暮らして10年以上になる現在、愛犬マーゴをきっかけにはじめたドッグウォーカーとペットポートレート制作もライフワークに加わり、笑いと発見の溢れるリズミカルな毎日を楽しんでいる。 著書絵本は「ヨシエフォンデュ」(角川書店)、「ポンポルトンタン」 (祥伝社)、「ツキミモザ」「ギイドロとマレンカレン」(Skyfish Graphix)、「ハッピーイースター」 (くもん出版) 他。

ウェブサイト ブログ

Leave A Reply

CAPTCHA