2021年春【英国大使館別荘記念公園】でお会いしましょう🌸

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数年前「夏に訪れたい避暑地」と題したテレビ番組で「奥日光」が紹介されていた。「奥日光」とはいろは坂をのぼった先に広がる地域のことだそうだ。番組では、真夏でも平均気温18℃前後、朝夕羽織るものが必要だと紹介していた。まさに「避暑地」ステキな響き。東京でギラギラ照りつける太陽のもとで過ごしている毎日を思い、当時「奥日光」の夏がとても羨ましく思えた事を、ふと最近思い出したのである。

中禅寺湖展望台から、中禅寺湖と男体山(なんたいさん)を望む

ふと思い出したのは11月初旬。日光は日本有数の紅葉スポットでもあります。夏の避暑地はもうとうに過ぎてしまったけれど、思い出したが動きどき。秋の「奥日光」に行ってみようと決めました。しかし、いろは坂から上はもう紅葉の見頃は終了したとのこと。もう少し早く動いていればと思うこともなく、きっと静かな秋を体験できるだろうと私は「奥日光」を目指しました。

華厳滝(けごんのたき)駐車場でここだけ紅葉が見られました。日本三大名瀑のひとつ。

そういえば「夏に訪れたい避暑地」の番組で、ここもいつか行ってみたいとずっと気になっていた場所がひとつ。きっと皆さんも記憶のどこかに覚えていらっしゃるはず。JR東日本、栃木県「奥日光のリゾート篇」として女優の吉永小百合さんが登場したテレビCMの舞台にもなった「英国大使館別荘記念公園」です。

30Lのバッグを装着し、真っ暗なうちに自宅を出る。北千住6:42発 リバティけごん1号でいざ東武日光へ。寒さを覚悟していたが、日光市街はさほど東京と変わらなかった。格安ニコニコレンタカーに乗り、山道であるいろは坂を越えるのに若干ドキドキしながらアクセルをふかせました。市街を離れ、いろは坂に差し掛かった途端、雪です。私にとっての初雪、嬉しくなって車を止めた!が、強風〜、さむっ、寒!市街地と山間部の気温差の激しいこと!第2いろは坂を超えた中禅寺湖畔はもう冷たい冷たい世界でした。

 

湯ノ湖

朝の光が湖畔にきらめくさまを右手に見ながら、湖畔沿いの市道を走ります。しばらく走ると歌ヶ浜駐車場(無料)が見えてきます。この先の「英国大使館別荘記念公園」「イタリア大使館別荘記念公園」に行くには、この駐車場にお停めください。真冬並みの気温の中、湖畔から流れる冷たい風を受けて歩くのも「奥日光」ならでは。しかし半端なく冷たかったなぁ〜。徒歩約10分。テレビで観た建築物が雪の中、現れました。

明治の中頃から昭和初期にかけて、中禅寺湖畔には各国の大使館、外国人別荘が建てられました。明治29年に英国の外交官で、明治維新に大きな影響を与えたアーネスト・サトウの個人別荘として建てられ、後に英国大使館別荘となり2008年まで利用。その後2010年に栃木県へ寄贈され、改修・復元がなされ、2016年「英国大使館別荘記念公園」として開園したのです。

1Fはアーネスト・サトウの生涯と、彼がこよなく愛した奥日光の紹介が見どころとなります。

上:好きな登山、植物採集を楽しんだ。下:『日光案内』サトウが1875年(明治8)に横浜で出版した、初めての英文による日光案内書の初版本。

チャールズ・ワーグマン(1832-1891)による幕末期から明治初期の日本を描いた風俗雑記「ジャパン・パンチ」の発行者とも親交が深かった。

2Fはアーネスト・サトウが活躍した時代の英国文化について展示されています。落ち着きある調度品や、駐日英国大使館から寄贈されたアンティークな家具が私たちをその時代へと導いてくれます。

サトウが活躍した時代は、英国はヴィクトリア朝時代。また文化芸術の黄金期でもある。その一つが「アーツ・アンド・クラフツ運動」で「モダンデザインの父」といわれるウィリアム・モリス(1834-1896)の主導によるもの。

明るく広々とした空間には、駐日英国大使館の指導のもと、本場ならではのスコーンと紅茶セットが召し上がれる「Tea Room 南4番Classic」があります。(運営は中禅寺金谷ホテル)栃木県産小麦 ‘ゆめかおり’ と那須の牛乳を使用した、プレーンと木の実のスコーンを紅茶セット(¥1,530)でいただきました。アールグレイ・ダージリン・イングリッシュブレックファーストからお好みの茶葉を選びます。そして湖面の色をも感じる爽やかな青色の英国バーレイ社のティーウェア。さくっと頬張るたびのスコーンの甘い香り。また英国のGreat Taste Awardに於いて、過去6年にわたり最高の紅茶メーカーとして65個もの金賞を受賞するなどの英国高級紅茶「NEWBY」が、芯から冷えた私たちの身体を温めてくれます。

プレーンと木の実のスコーン、たっぷりの栃木県産ジャムとクロテッドクリーム添え

私たちの眼前に広がる中禅寺湖畔の美しい風景。四季折々の表情をこの場所から楽しむことができます。サトウが日本で活躍したあの頃も、きっと今と同じようにこの場所で腰を下ろし、同じ風景を眺めていたに違いありません。想いは時を超え、今に語り継がれていくのです。だからこの場所を訪れる人が絶え間ない。そして中禅寺湖の美しさに心奪われ、サトウの想いを知ることになるのではないかと想像してみたりもするのです。

今じゃ#(ハッシュタグ)を叩くだけで、必要な情報、画像が瞬時に入手できる時代。自分が望めば、数え切れないほどの世界を、数え切れないほどの人たちと共有できる時代ともいえます。#アーネストサトウ、#中禅寺湖と叩けば、サトウが見た世界の一部分に飛んでいけるのです。例えばインスタグラム。会うことも直接お話することもないかもしれない世界で、興味ある分野や、ただ単に見るだけでも(読み専アカウントというらしい)繋がることができます。時を同じくして、私ナミヘイとインスタグラムで繋がっている方が「奥日光」を訪れていらっしゃいました。訪れていた事を知るのも勿論インスタグラム上でのことです。その人の名は londoncalling.kf。周囲約25kmに及ぶ湖の美しさに魅せられ、なぜあの場所がそれほどまでに愛されたわけを、身をもって知ることになったおひとりです。 londoncalling.kf・・こちらはインスタグラムのアカウント名。ある世界の一部を私ナミヘイと共有させていただいている londoncalling.kf さん。その名の通り「London」で彩られた画像がインスタグラムを飾ります。それはそれはまるで旅するかのように、目に映るふとした一枚が日記帳のように綴られています。一見、男性か女性かもわからない謎めいたところもその方の魅力の一つでした。

英国といえば‘Robin ロビン’ 撮影場所はスコットランド、ローモンド湖畔。londoncalling.kfさんのインスタグラムより。

アーネスト・サトウも londoncalling.kf さんも、そして私も、皆時を超えて同じ場所にいた。そして窓の向こうの中禅寺湖を一望し、美しい白根山を望む。サトウにもう会うことはできないけれど、この場所に来た者にしかわからない11月の「奥日光の風」を londoncalling.kf さんと私は感じたに違いありません、な〜んてね  (⌒-⌒; )

londoncalling.kf さんは「中禅寺湖の美しさの虜になってしまいました」と、インスタグラムで綴られています。「奥日光」の自然をこよなく愛するアーネスト・サトウに寄り添うかのようなメッセージですね ♪  私はというと、どうしてもその自然の中に入り込みたくて、中禅寺湖でサップなんかやってしまいました。初体験です。体幹を必要とするスポーツです、とインストラクターの声に従いながら、冷たい湖面をゆっくり前進、ゆっくりターン。ひざまづいた姿勢から立ち上がり、湖面をお散歩できるぐらいになってきたかと思ったら、ドブン!!!何が起こったのか自分でもわからない一瞬の出来事でした! 真夏ならどんだけドブンしても楽しかろう。「真冬並みの11月の湖に落っこちるのもなかなかしたくてもできない経験!」と周りに茶化されながら、深くて広い中禅寺湖に私はどっぷり抱かれたのだと、感謝の気持ちで受け入れることにしました♡

約2万年前に男体山の噴火によって原形ができたといわれている湖。ここに来れば、英国の歴史を学び、ティータイムを楽しみ、大自然と触れ合うことができます。真夏の「避暑地」も憧れるけれど、やはりニッポンの「四季」は素晴らしいなとつくづく感じるのでありました。
厳しい冬を超えて青葉が噴き出す頃、ここ「英国大使館別荘記念公園」でお会いしましょう。

 

 

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英国大使館別荘記念公園】British Embassy Villa Memorial Park
〒321-1661 栃木県日光市中宮祠2482
☎︎︎0288-55-0880(日光自然博物館)
12月〜3月冬季休業
◉入館料、開館期間、休館日及び2F「Tea Room 南4番 Classic」の詳細はウェブサイトにて
◉公式ウェブサイトのリンクにアクセスできない場合は日光観光局のサイトで:
http://www.nikko-kankou.org/spot/1115/?spn_move

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兵庫県伊丹市出身。東京都在住。主婦時々パートタイムジョブをこなす。子育て期をニューヨーク、ロンドンにて駐在生活を送る。思いつきのその日決めで行動する一匹オオカミ派。『成るように成る』をモットーに今世を生きる。水泳・ジョギング・登山・ウクレレ・映画・ライヴ鑑賞・奉仕活動と未知なる自分を今後も探求し続ける。Instagram: @n_amihey

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