玖保キリコが見た👀 道の真ん中でお金を出してはいけません

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マーブルアーチ付近で道を聞いてきた二十歳そこそこのキラキラした瞳のインド系の青年。イギリスに来たばかりなのかほとんど英語が話せない。通りの名前はその時まさにいた所。でも、その付近の建物には全く番地が付いていないので手近な店に入って番地を聞いてみようかと思っているところへインド系の女性が
「どうしたの〜」と割り込んできた。

「番地がわからなくて」と説明すると、その女性、青年にグジュラティ、なのかベンガリーなのか、パンジャビなのか、で、なにやら聞いた。彼女によると「彼のボスがその住所の弁護士の所に行くように」と指示したらしい。「弁護士に払うお金も持ってるよ。ほら」と道のど真ん中で現金を出してみせる青年。
君いったいどこから来たんだい……人を疑うということを知らないのか。

するとその女性、「ああ、その弁護士ダメ、私がもっといい弁護士を知っている」と
青年を連れて行ってしまった……。

それももう5年ほど前のこと。

今でも時々その青年のキラキラした瞳を思い出す。その女性が本当に親切な人であったことを願うのみ。

ああ!このとき向かっていたのはあぶそる〜とロンドンの編集長様との待ち合わせだった〜!

 

今週の「くるまれてクリスチナ #42」(資生堂「花椿」)はこちらで♪

 

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漫画家。東京出身。1996年渡英。ロンドン在住 。代表作に「シニカル・ヒステリー・アワー」(白泉社)「いまどきのこども 」「バケツでごはん」(小学館)「ヒメママ」(マガジンハウス)など。 また「キリコ・ロンドン」「中級キリコ・ロンドン」「ロンドン丼」(角川書店)などのエッセイもある。CDジャケットを手がける他、自身の漫画作品「シニカル・ヒステリー・アワー」のアニメーション映画化では監督も務める。ロンドンのエブリーナ小児病院、聖トマス病院の小児科歯科及び同病院の小児科緊急病棟などのインテリアも手がける。「シニカル・ヒステリー・アワー」「いまどきのこども」の英語翻訳版がeブックで発売中。 白泉社のメロディで「キリコのこばらのこみち」連載中。2022年春から資生堂花椿Web上で連載された「くるまれてクリスチナ」の単行本が最新刊。 インスタグラム:@kubosoko

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