023 | 理想的な食事の間隔

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朝食の改善とおやつの頻度を減らして、血糖値が安定してきましたか?今号では、食事間隔に関するお話。先日コンファレンスで、待望のDr.レオ・プルインブーム(以下Dr.レオ)から最新情報もキャッチしてきたので、その最新情報と21号でちらりと触れたDr.レオ膵臓説の簡単な紹介も含めて、食事のタイミングとその効果について取りあげます。

 知られていなかったインスリンの機能!?

現在、一般的に知られている膵臓の機能は主だって2種類。血糖値を調節するインスリン(ホルモン)の分泌と、腸での消化を助ける膵液(消化酵素)の分泌で、膵臓の98%は消化酵素を作り、1.5%がソマトスタチン、インスリンやグクカゴンといったホルモンを生成します。2011年にイギリスのニュートリション業界を困惑の渦に巻き込んだ、Dr.レオによる新膵臓説では、人類の歴史上インスリンはグルコース値を制御するために必要なものではなく、おそらく(1)脳に必要なエネルギーを確保するためのもの、(2)消化機能面での膵臓を修復するもの、という結論に至っています。そしてさら膵臓では、少量のインスリンが15分毎に分泌されるので、それが常に肝臓に膵臓の状態を知らせると同時に、膵臓を修復するとしています。そのため、典型的な現代人のように食事が1日3回プラス間食となると、膵臓が休んで修復される時間がなくなるという見解で、食事の頻度が高くなるにつれて膵臓へのダメージが大きくなると指摘しています。(1)

ここでは詳しく紹介できませんが、センセーションを巻き起こした当時から6年経った今でも、この説を深く掘りさげると興味深いことだらけです。

食事の間隔と代謝

今までに受けたトレーニングやコンファレンス等、第一線で活躍している各種の専門家たちから学んだことをまとめると、食事の間隔は朝食と昼食また昼食と夕食の間が4時間以上で、夕食後は翌朝まで最低12時間何も食べず、水分摂取量も最低限にするのが理想的ということになりそうです。

Dr.レオも含めて、健康業界のエキスパートたちの多くは、夕食後から翌日お昼近くまでの14−16時間の断食(ファースティング)を勧めています。これは、このところよく耳にする「インターミッテント・ファースティング」と呼ばれている食事法 。利点は、断食中に消化するものがなくなって消化システムが休むことと関連して、修理や再生を必要とする部分にエネルギーが使われること。013号でもちらりと触れましたが、腸内には、食べ物が来なくなると活発になって腸を守る粘膜層の代謝を助ける善玉菌もいます(2)。そのため、健康のコアとなる腸の健康にも有効です。加えてマウスの実験では、運動と組み合わせて一定期間食べ物のない状態が続くことを繰り返すと、腸内細菌の種類が増えて(=健康度アップ)肥満も解消したようです(3)。

もう一つの代謝活性化に有効な食事法は、数年前に大人気となった「5−2(ファイブ・トゥー)ダイエット」など、カロリー制限を取り入れた食事法。これは一週間のうち5日間普通に食べて、2日間カロリー制限するもので、例えば3日間普通に食べて4日目は1日500kcal、再び2日間普通に食べた後、再び1日500kcalというパターンを連続。友人が数人挑戦して「結果が実感できる!」とがんばっていましたが、長期での実行が困難と思われます。

個人の志向にもよるのでしょうが、インターミッテント・ファースティングの方が簡単にできるので、長期向きだと思います。もちろんやる気があれば、これらを組み合わせて12-14時間のインターミッテント・ファースティングを軸に、5-2ダイエットの週を月に一回取り入れるなど、自分に一番合うタイミングやスタイルを探求するのもいいでしょう。ただし、個人の健康状態によっては、かえって状態を悪化させる可能性があるので「さっそく試してみようかな」と思われる方は、実行する前に以下をしっかりチェックしてくださいね。

断食やカロリー制限向きでない5つのコンディション(4):

  1. 胆石…断食中は胆汁が分泌されず濃縮され、断食後の食事時に小さな胆石を一気に動かす可能性がある。
  2. 過食症・摂食障害…心神的な問題のコアを改善しない限り、かえって症状を悪くする可能性があるため。
  3. 副腎疲労…断食(やカロリー制限)が体内でストレス下の状況を作るため、副腎にとってさらなる負担となる。
  4. 甲状腺機能低下…断食がT3(アクティブな状態の甲状腺ホルモン)を低下させるため、逆効果。
  5. 病気…リカバリーには、 安定した栄養素の供給が必要なため。

個人的には上記に加え、血糖値が安定しない人の場合、先に血糖値をある程度安定させてから、これらに挑むことをお勧めします。

大好きな朝食も、時折お休み。

大好きな朝食も、時折お休み。

カロリー制限や断食は、現代人のライフスタイルに大きく欠ける「変化や不規則さ」のうち、食の環境に働きかけ、からだ全体の代謝(と腸内細菌の状態も!)を整えるのに効果的です。

Dr.レオによると、食事のみならず、典型的な現代人の生活は極端な変化を体験することに欠けているため、それが代謝の問題を生じ、体調不良や病気の根源になるとのこと。彼の言う変化の状況とは、温度の変化、食事の不定期性、運動量など(5)。これらの問題はどれを取っても、わたしたちのライフスタイルが自然から遠く離れてしまっていることに起因していると思います。しかしながら、世の中は日々さらに自然とは逆の方向に向かっているため、問題への対処が困難になる一方ともいえるのが現状。これは、先進国特有の現代病が増加の一途にあることにも関係しています。Dr.レオの研究チームも含めて、人間がそもそも持ち備えるからだの機能に関する各種の研究が進むなか、都会に住むわたしたちに一体どこまでのことができるのかを考えさせられる今日この頃です。

 

参照:

  1. Pruimboom, L. (2011). ‘The real story on insulin: reinventing the pancreas’, CAM magazine. September. pp. 20-25
  2. Spector, T. (2015). The human gut microbiome and its association with obesity. [CAM conference: Meeting the microbiome] 12 September.
  3. Zarrinpar A,Chaix A, Yooseph S, Panda S. (2014). Diet and feeding pattern affecting the diurnal dynamics of the gut microbiome. Cell Metabolism, Dec.2;20(6):1006-17. doi: 10.1016/j.cmet.2014.11.008.
  4. Hardick, B.J. (2017). 5 Reasons To Avoid Intermittent Fasting’. [Online] Available at: http://mindbodygreen.com/articles/5-resons-to-avoid-intermittent-fasting (Accessed: 11 September 2017).
  5. Pruimboom, L. (2017). Intermittent Living: the vaccine against the deleterious, ageing effects of modern life. [IHCAN conference: Ageing] 18 November.
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About Author

徳永 ゆり子

大阪府出身、1996年よりロンドン在住。京都で8年、ロンドンで7年間グラフィック・デザイナーとして働いたのち、2004年にナチュラル・ヘルスの世界に入る。ナチュロパス、ニュートリショナル・セラピスト、ホリスティク・プラクティショナー。CThA、BANT正規会員。ハックニー地区にあるコンプリメンタリー・ヘルス・クリニックを拠点に、ロンドン内で活動中。好きなこと:健康的でおいしいものを作って食べること、ナチュラル・ヘルス・フード・ストアでヒット商品を探すこと。好きな色:ピンク紫(夕暮れ時の空の色とか)。好きな言葉:(実現の状態を)見る前に信じること(”You’ll see it when you believe it.” by Wayne Dyer)。

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