スコットランドの地の果てカフェ

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世界中のおうちごもりが、
まだしばらく続きそうだけれど、
皆んな元氣にしていますか?
どんな毎日を送っているのでしょう?

私は家にいる事が好きで、家でこそこそ動いているので
この世界状況においても、基本的な生活はあまり変わらない…

だけど、お氣に入りレストランへ行ったり、
親友とバーで待ち合わせて一杯飲んだり
散歩の途中にカフェで一息、
たまった雑用を抱えてカフェで一仕事…

このような日常がパッ!と、消えてしまったことは、
とても寂しい。
しかし、逆に、そういう事がどんなに大切な事だったのか、再確認できたことは、素晴らしい、と思う。

さて、カフェビジットが出来ない私は、
前回お家のカフェをテーマに絵を描いてみたけれど
次回はどうしましょう????と思っていたら…
あらあら、またまた日がどんどん過ぎてしまいました。

で、今朝、夢うつつで目覚めた時に、
遠い昔の事をふっと思い出したのです。

と、その【思い出】というキーワードから
引きずられて出てきたのが

思い出に残るカフェビジットです。

印象に残っているのだけれど、なぜか書かなかった、
同じ地区ばかりに集中してしまったので
泣く泣く、切り捨てたカフェだった
また、逆に書くほどのことはなかった、
決してお薦めしたいカフェではなかった…など
カフェにいつでも行かれた状況では
全く取り上げようとは思わなかったけれど、

私の消えそうな記憶の中に存在している、
それらカフェの事、カフェで感じた事など

記憶の箱から消えて掘り起こせなくなる前に、
そんな物語をひっぱり出してみようかと思います。

それでは、第一話、
スコットランドの地の果てカフェです。

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その日の朝、私達家族は、地の果てにあるという洞窟を目指して出発した。
途中休憩を何度かしながら高速道路を延々と走り、その後は田舎道をそれ以上に走り、やっと目的地である、
スコットランド北部の果ての海岸にある洞窟へ、到着。

駐車場に車を停めて、分厚いジャケットを着て帽子を被って手袋をして、車から出たその時は、もう午後の3時近くだった、と思います。

冬のこの時間、スコットランドではそろそろ暗くなり始める頃、強い風と雨の中、私達は、駐車場のある丘の上から崖を下り、海岸に降りて行きました。すると、他には誰もいない、寂しい海岸線の少し先に、大きく口が開いた薄気味悪い洞窟が待っていたのです。

食事も取らずに、延々と時間を掛けて到着したけれど、洞窟の入り口を少し見ただけで
不気味な洞窟の奥へ、入る事が出来ず、10分ほどいたでしょうか?私達は飲み込まれそうなおどろおどろしい洞窟を後にして、丘の上へ駆け上って行きました。風はもっと強くなり、寒さに負けそうだったことを覚えています。

お腹がペコペコに空いていたので、どこかで温かい物を
食べよう、とカフェを探すことに…。

目にとまったのは、丘の上にポツンと建っている一軒です。

外から見て、まず期待は出来ない、というタイプの
開いているのかどうかもわからないようなお店のドアをそっと開けてみると

 

開いていました!
とにかく、どこでもいい!お腹ペコペコだし、寒いし…

入ることが出来ただけで幸せに思いました。

入ってみると、外からの予想を覆すことなく
飾りっ氣の全くないがらんとした部屋に、いくつかのテーブルがあるだけ。
寒い外から入ってきた時、暖かくてホッとさせてくれる、
あのカフェの雰囲気はゼロでした。

しかしです、とにかくテーブルの一つに座りました。
そして、メニューを見て、すぐに全員一致で決めたのが
【今日のスープ】。
とにかく、温かいスープが欲しい!と皆んな同じく思ったのです。

お店には、いかにもこのお店番をしているような
ちょっと不気味な、ほとんど喋らない、まるであの洞窟から出てきたような…
または映画サイコに出てくるあの狂った母(でも実はノーマン)のようなおばあさんがいたのですが

彼女に「今日のスープはなんですか?」と、訊くと
「ちょっと、待っていてください、シェフに訊いてきます」
と言って、奥へ消えていきました。

しばらく経って来ると
「本日は、トマトスープです」
「では、それを4つお願いします」

そして、出てきたスープは
思った通り!キャンベルスープでしょう…

彼女が裏に回った時、「さて、どの缶があるかいな???」
と、チェックしているんじゃないだろうか?
と、私達はこそこそ話していたのだけれど、
どうやら、それが当たったようでした。

それでも、温かいスープで冷え切った身体が暖まり一息できた私達はトイレを借り、かなり不気味なおばあさんにお礼を言って、忘れられないカフェ、を後にしたのです。

本当に、すっかり忘れていたこのカフェは、
私の頭の中にある記憶の箱の奥の奥の方から掘り出してきた思い出です。

だけど、あの日の事を一旦思い出したら、
断片的ではあるけれど、ずるずる引きずられるように、
色々な事が思い出されて、出てきたのです。

たどり着くまでの長かった道のり、小さかった頃の息子たち、
洞窟の地面を埋め尽くす羊のフンを踏む時の
グチャッグチャッとした感触や音やツンとした匂い、恐怖を感じた洞窟、
冷たい雨と丘の上の強風、無愛想なノーマンの母のようなおばあさん、
そしてキャンベルスープ?と、それに付いていたイギリスの薄切り食パン…

脳味噌にある記憶の箱の中には、
体験したすべてのことを細かく記録したものが詰まっているらしい
それをどうやって引っ張り出すか?
これをぽんぽん引き出す事が出来るのは天才なのだろう…

ふっとしたきっかけがあると、ずっと眠っていた記憶が
深い沼の底から、ふわ~っと浮かび上がってくるように出てくる。天才じゃない私でも、そんな風に記憶の箱から思い出をひっぱり出せる事ができるみたいだ。

そんなんで、これから、カフェビジットが解禁になるまでのしばらくの間は、
消えそうな記憶の一点を掴んで、
それにまつわる思い出、エピソードを引っ張り出して

【島田カオルの記憶の中のカフェビジット】

をテーマに書いてみようと思います。

P.S) あのカフェ、実は、【簡易ホテル】でもありました。
だけど、ノーマンの母がいるところに、
私は絶対に泊まりたくない…

ノーマンに会いに、久しぶりに、サイコ
観たくなりました。
*1960年製作 アルフレッド・ヒッチコック監督の【サイコ】Psycho

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おうちごもりでYouTube
100日毎日一枚の絵を描いて、動画アップチャレンジ
やってます!
ぜひのぞいてみてね。

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About Author

島田カオル

東京生まれ、ロンドン在住の絵本作家。高校卒業してすぐに渡米。その後、パリ、南仏に暮らし、ロンドンへ。ロンドンでセシルコリン氏に師事、絵や陶芸などを学ぶ。1984年からイギリス人の夫と2人の子供と暮らしながら東京で20年以上イラストレーターとして活躍、その間、「レイジーメイドの不思議な世界」(中経出版)の他、「ある日」「ダダ」「パパのたんじょうび」(架空社)といった絵本を出版。再渡英後はエジンバラに在住後、ロンドンへ。本の表紙、ジャムのラベル、広告、お店の看板絵なども手がけている。現在はロンドンのアトリエに籠って静かに絵を描いたりお話を創る毎日。生み出した代表的なキャラに、レイジーメード、ダイルクロコダイル氏などがいる。あぶそる〜とロンドンにはロンドンのカフェ・イラスト・シリーズを連載。好きなものはお茶、散歩、空想、友達とのお喋り、読書、ワイン、料理、インテリア、自転車、スコーン、海・樹を見ること、旅行、石(特にハート型)、飛行場etc etc...

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