血にまつわること:月経の問題にも効くハーブ🌱ヤローの巻

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今回ご紹介する散歩道のハーブはヤローです。

ヤロー(ヤロウ)Yarrow /和名:セイヨウノコギリソウ
学名:Achillea millefoliumキク科ノコギリソウ属のハーブ。

Yarrow flowers 開花中のヤロー

<どんなハーブ?>

ヨーロッパ原産ですが、日本でも野生化しています。日本では他にもアジア原産の「ノコギリソウ」(別名・ハゴロモソウ、メドキ/生薬名:蓍草(しそう)学名:Achillea alpina )が自生しています。

和名がセイヨウノコギリソウとあるように、ノコギリのように櫛の歯状に細かく切れ込んだ羽状の葉を持ちます。ノコギリソウの属名のAchillea アキレアは、ギリシャ神話の英雄アキレスの軍の兵士たちが、これで切傷のための軟膏をつくったという物語に由来しています。

yarrow leave 櫛の歯状に細かく切れ込んだ羽状の葉

ヤローは公園、空き地、道端でなど広い範囲で自生しているハーブですので、イギリスに住んでいらっしゃる方はどこかしらで見たことがあるかと思います。

川沿いに自生しているヤロー

背丈は20センチくらいと低いものから1メートルくらいまでと幅があります。
とても強いハーブで、冬の間でも翌年の春に成長をする青々とした葉を地面近くにて見ることができます。

公園で綺麗な芝生があるなーと思っていたらヤローが密集していた!なんて事もあるあるです。

芝生と同化したように自生しているので見逃しがちの冬〜初春のヤロー

開花時期は場所によって多少異なりますが、6月ごろから9月頃です。たまに11月になっても開花しているヤローを見かけることもあります。花の色は主に白、たまに薄くピンクがかったものがあります。

Yarrow white

Yarrow off pink 少しピンクがかった色を持つヤローの花

どんな効果があるの?

昔から「出血」や「傷」に使われてきたハーブです。
私自身は外出時に怪我をした経験がありませんが、こんな話を聞いたことがあります。

民家&病院まで徒歩数時間という丘陵地帯でかなり深い裂傷及び出血を伴う怪我をされた方のお話。フィールドで見つけたフレッシュヤローの葉を採集し、水で洗って軽く揉んで柔らかくしてから患部にヤローを当てがってみたそうです。すると病院に行く前に出血だけでなく、傷口もかなり塞がっていたとのこと。

似たような話は、知り合いのハーバリストや救命処理のクラスを受け持ってくださった元軍医さんなどから、実際の経験談として耳にしたことがあります。

ちなみに上のケースでは、絆創膏がわりにプランテイン Plantago majorとリブワートPlantago lanceolataというハーブを使ったそうです。

出血にはフレッシュの葉を使います。

このように外用では(止血として)フレッシュの葉を利用します。内服では開花時のハーブ全草を利用します。

ヤローは「Master of Blood〜血を支配する〜」とも言われ「止血」だけではなく、末梢血管の拡張や静脈瘤、血行不良等にも使用されます。

また女性にとっては月経困難症をはじめ、経血時の血の塊、過多月経だけではく無月経など、月経周期の乱れに対して活躍するハーブの一つです。私自身患者様のハーブ治療薬の一つとして頻繁に使います。病院に行くまでもないけれど、上記の様な月経の悩みが毎月あるという方にはおすすめのハーブの一つです。

以前ご紹介したリンデンやジャーマンカモミールと一緒にブレンドして飲むと、より美味しくいただけますよ。ヤローは飲みやすいハーブというのも嬉しいポイントです!

<その他どんな症状に対応?>

その他にも、風邪の微熱などの初期症状、高血圧、消化不良などにも効能があります。

風邪の初期症状への内服としては、以前ご紹介したエルダーフラワー、ペパーミントやエキナセアなどと一緒にブレンドして利用するのもお勧めです。

外用では鼻血、傷、出血(いずれもフレッシュヤローの葉を利用)に効能があり、精油は皮膚の炎症などに活躍します。

<注意事項>
妊婦授乳中の方の使用には注意が必要です。キク科へのアレルギーがある方もこのハーブの使用を避けた方がベターでしょう。

また園芸種(黄色や赤などの花が咲く種類などがあります)と混同しないように気をつけてくださいね。

今年は採集ベストシーズンは過ぎてしまいましたが、まだ咲いているヤローもありますのでお散歩中に目に留まるチャンスがあるかも?

実際にご自身でも使ってみたいと思われるか方は、拙著もご覧になってみてくださいね。
『メディカルハーブハンドブック』(説話社)
https://www.setsuwa.co.jp/publishingDetail.php?pKey=50

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About Author

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リエコ・大島・バークレー。英国サリー州在住。メディカルハーバリスト、アロマセラピスト、リフレクソロジストとしてロンドンのセラピールーム及び癌ケアセンターにてのセラピスト活動を行う。メディカルハーバリストとして25年以上の臨床経験を持ち、長年日本での啓蒙活動に携わる。ハーブやアロマのオンライン講座、商品開発コンサル活動の他、時々イングリッシュワイン応援&執筆活動も行う。ゴルゴ13 をこよなく愛する飛行機オタクでもある。 著書に『メディカルハーブハンドブック』(説話社)『ハーブの薬箱』(文化出発局)。フレグランスジャーナル社にて2023年まで『ゴルゴ13とハーブカード』連載。 インスタグラム:ハーブ&アロマ関連 @herbalhealinguk  航空機関連 @rieko.747  ワイン関連 @winevineyard 

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