043 | EMFの現状#2 関連の症状と対策法

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前号は、予定を変更したトピックとなりましたが、その後もロックダウンに影響されず、元気いっぱいにお過ごしでしょうか?前々号の041号では、5Gやワイヤレス・テクノロジーの危険性が表向きには報道されていないこと、また、その問題をめぐって医師や専門家たちの長期バトルとなっていることを取り上げました。今回はその続編として、電磁界曝露による症状などに加え、日常レベルで実行可能な対策法のおさらいをアップデート版でカバーします。

*041号では、名称簡略化のため差し障りのない範囲内で、無線周波数電磁界をEMFとさせていただきましたが、今回は無線周波数電磁界に加えて、電化製品などの低周波層も含めた総称をEMFとさせていただきます。ご了承ください。

特定の症状を持たない原因不明の慢性病や慢性疾患が、年々増加

今までに何度かご紹介してきましたが、EMFとの接触によって現れる症状にはかなりの幅があります。現在のところ、専門知識のある医師にかからないと適切な検査や診断が受けられないため、EMFによる不調の原因特定は困難です。例えば、連続して4回流産した女性が原因追究のために医師を転々とし、最終的にとある医師から勧められて受けたEMF専門家の測定とアドバイスによって、問題解決に至った話を聞いたことがあります。環境に存在する電波の跳ね返りや、隣の家から壁越しに曝露を受けていたため、彼女は指示通りに寝室のレイアウト変更などを行って、その後まもなく妊娠したそうです。不妊や流産の原因はEMFには限定されませんが、一般にはあまり知られていないことの一つです。日頃健康的な生活をしているにも関わらず、もし何か気になる症状があるなら、念のため医師の診断を受けましょう。同時に、使用電化製品の位置と距離、ワイヤレス機器の使用状態などをチェックすることも、有効なアクションとなるかもしれません。もし、EMF対策を一つも取り入れていないなら、試す価値は大いにあると思います。

電磁波過敏症(EHS=electorohypersensitivity)は病気ではありませんが、スウェーデンでは公に機能障害として認識され(1)、ヨーロッパ圏を中心にその他の国でもEMFによる健康問題に対する理解が深まりつつあるようです。EHSを扱う医師たちのレポートによると、最初の段階では症状が時折見られる程度で、時間の進行とともに頻度と重度が増していくそうです(2)。主な症状は、頭痛、睡眠障害、集中力低下、記憶力低下、鬱、体力低下、疲労感、動悸、耳鳴り、吐き気、食欲低下、インフルエンザのような症状など(1,2,3,4)。これらの症状は、EMFによる、DNAの損傷と変化(2,3,4,5)に加えて、神経伝達物質やホルモンへの影響(5)などによるもので、細胞が機能を失い、発がんや不妊症、アルツハイマーなどの原因ともなるようです(2,4,5)。

特に、慢性疲労などは年齢や日頃のストレスのせいにされがちですが、もし原因がEMFによるものなら、曝露の低減で疲労感を取り除くことが可能です。眠りが浅いなら、就寝時にはベッドの周辺に使用中や接続中の電気ケーブルがないことを確かめ、できれば寝室内のコンセントを全部抜く(もしくは、ブレーカー自体を落とす)ことをお勧めします。また、寝室には電波を送受信するものがないようチェックしましょう。電化製品と無線周波数によるEMFは、睡眠中にからだが行う修復や再生を妨げるので、多少の面倒は伴ってもこれらを最小限にするのが理想的です。

 

ワイファイ共有接続は、避けて。

では実際に、体内ではどういう変化が起きるのでしょう? EMFとの接触は細胞内で変化を起こします。具体的には、VGCC(ボルテージ・ゲーテッド・カルシウム・チャンネル)と呼ばれる機能が活性化され、カルシウムが大量に細胞内へ流れ込んで不安定な状態となります。この現象が炎症モードのボタンを押すわけですが、炎症はからだにとってストレスなので、各種のストレス反応が促されます(6,7)。同様に、カルシウム以外のイオン・チャンネルもEMFによって活性化されることが確認されているようです(7)。

以下、 簡単にできる主なワイヤレスEMF対策法をリストアップしました:
・接続していないときには、電話やタブレットなどの接続設定を全てオフにする。
・携帯電話を使わない時間帯には電源を切るか、フライト・モードに切り替える。
・自宅のワイファイは就寝時に、可能であればルーターの電源も切る。(ケーブル接続が理想的)
・携帯電話は、洋服のポケットなどに入れて持ち回らない。
・バッグに入れる場合には、からだから離れたところに入れる。
・通話は、電気を通さないエア・チューブ式のイヤホン使用か、スピーカー設定で。
・ブルートゥースのイヤバッズやヘッドフォン、音楽用スピーカーは避ける。
・特に、こども(成長中)と妊婦の携帯電話使用は、避けるか最小限にする。
(コードレス電話やベビー・モニターも危険。電話線でつながった電話機が一番安全。)
・電波が増幅されるため、特に移動中の車両(自家用車/タクシー/バス/電車)内での使用を避ける。
・屋内/外にかかわらず、電波の弱い場所での使用を避ける。
・ワイファイを提供しているカフェなど、複数の人が隣り合って接続している場所を避ける。
(自分が使用中でなくても、使用中の人たちの電磁界に入るため)
・就寝時には、携帯電話を枕元に置かない(もしくは、フライト・モードに切り替えるか、電源を切る)。
・毎日新鮮な野菜を中心に、抗酸化作用の高いものや解毒作用のあるものをしっかり食べる。
・十分な運動、清浄な空気、アーシング(=放電)、水分補給、日光浴、十分な睡眠を考慮。

冒頭でも触れましたが、EMFは高周波層のワイヤレス・テクノロジーを使ったものに限定されず、低周波層の電化製品も体内で各種の変化を起こすため、注意が必要です。例えば、電子レンジやヘアドライヤーなどはもちろん、プラグ接続され、電気の通ったケーブルは全て電磁界を生じます。

わたしたちにできること?

一般人が個人レベルでできることは、まず可能な限りニュートラルな視点で、企業との癒着がない科学的根拠のある情報をより多く得て、報道に左右されない知識を身につけることだと思います。5Gの導入で、今まで以上に安全への取り組み強化が必要となっています。一定間隔で大量の小型ベースステーション設置を必要とする5Gは、未知数の部分がまだ大きく残る高周波領域を使用するものとして、(すでに安全性が問われている)3Gや4Gなど既存の周波数領域に「追加」という形で加わっているのです。すなわち、電磁界曝露を避けることは、もはや不可能の領域に入っているといえるでしょう。万が一、自宅の壁やすぐそばに5G用のベースステーションが設置された場合、引越しが無理でもパニックに陥る必要はありません。合法的な取り外しの申請が可能かはわかりませんが、EMFの専門家に頼るというオプションは、間違いなく存在します。プロの測定で、安全な部屋のレイアウトやシールドの必要な位置などが明確にわかるため、曝露を最小限にすることが可能となります。予期せぬ出費や面倒を伴いますが、毎日住む場所への安全に投資すると思えば、値打ちのあることです。もし、自宅でワイヤレスのブロードバンドをご使用なら、高速ファイバー・ケーブルへの切り替えが、現在一番安全とされるオプションです。ケーブル接続が無理な場合には、他にできることを実行して、全体の負担軽減を目指しましょう。

 

参照:

  1. Redmayne M, Johansson O. (2014). ‘Could Myelin Damage from Radiofrequency Electromagnetic Field Exposure Help Explain the Functional Impairment Electrohypersensitivity? A Review of the Evidence’. Journal of Toxicology and Environmental Health, Part B, vol.17, pp.247-258, doi: 10.1080/107937404.2014.923356
  2. Belyaev I, et al. (2016). ‘EUROPAEM EMF Guideline 2016 for the prevention, diagnosis and treatment of EMF-related health problems and illnesses’. Rev Environ Health, vol.31, no.3, pp.363–397, doi: 10.1515/reveh-2016-0011
  3. Verma SC, Tejaswini TM, Pradhan D. (2019). Harmful Effects of 5G Radiations: Review. [Proceedings of IRAJ International Conference] 24th March 2019.
  4. Miller AB, Sears ME, Morgan LL, Davis DL, Hardell L, Oremus M and Soskolne CL. (2019). ‘Risks to Healthand Well-Being From Radio-Frequency Radiation Emitted by Cell Phones and Other Wireless Devices’. Front. Public Health, vol.7, no.223, doi: 10.3389/fpubh.2019.00223
  5. Carlberg M, Hedendahl L, Koppel T and Hardell L. (2019). ‘High ambient radiofrequency radiation in Stockholm city, Sweden’. Oncology Letters, no.17, pp.1777-1783, doi: 10.3892/ol.2018.9789
  6. Pall, M. (2014). Electromagnetic Field (EMF) Including Microwave Action Via Voltage-Gated Calcium Channels (VGCCs): Widespread Health Concerns for Due to VGCC and Calcium Roles in Many Diseases. [British Society for Ecological Medicine Conference: Electromagnetic Radiation and Health: Evidence, Diagnosis, and Management] 7
  7. Pall, M. (2018). ‘Wi-Fi is an important threat to human health’. Environmental Research, no.164, pp.405-416, https://doi.org/10.1016/j.envres.2018.01.035
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About Author

大阪府出身、1996年よりロンドン在住。ナチュロパス、ファンクショナル・メディスン・プラクティショナー、ニュートリショナル・セラピスト(mCMA, mBANT, CNHCreg, CFMP)。ハックニー地区にあるコンプリメンタリー・ヘルス・クリニックと並行して、オンライン・クリニックでも活動中。好きなこと:健康的でおいしいものを作って食べること、ナチュラル・ヘルス・フード・ストアでヒット商品を探すこと。好きな色:ピンク紫(夕暮れ時の空の色とか)。好きな言葉:(実現の状態を)見る前に信じること(”You’ll see it when you believe it.” by Wayne Dyer)。

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