地球と人間のつながりを感じるフォレジング

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自主隔離・ロックダウン中の「福」産物

今、コロナ禍でおこもり生活を余儀なくされ
おうち時間が増えた方も多いでしょう。

うちも3月からコッツウォルズの田舎で
家族5人でおこもり生活中。

英国では運動のための外出が1日1回はOKなので
ここには何があるかな〜?と、季節の恵みを
観察しながらの田舎道散歩が日課となりました。

季節の花も愉しみつつ、本命は
雑草・山菜・ハーブです。

フォレジング(採集)という言葉を
聞いたことがありますか?

英語でForagerとは「採食者」つまり
自然に生えている植物を食べる人のこと。

まさに今、私たち家族が
コッツウォルズの田舎で実践していることです。

この言葉に初めて出会ったのは10年ほど前。
英国南部で、ある若者が1年間お金を使わずに
生活する体験談をまとめた本書でした。

ぼくはお金を使わずに生きることにした
マーク・ボイル著

「森や野原で植物・きのこなどを採集して暮らせるんだ〜」
と当時のわたしは驚くとともに、
常夏のシンガポールにいながら四季を懐かく感じました。

蘇らせたい日本の伝統にも通じる

「フォレジング」なんてカタカナで書くと
まったく違うイメージですが
実はこれ、昭和以前の日本でも多くの人が
実践していたことでもあります。

わたしのフォレジング原体験は
祖母との思い出の中にあります。

春先には蕗のとうを天ぷらに
初夏には木の芽を筍とあわせ
秋にはミョウガと茄子をみそ味で
冬になると、柚子の香りを楽しむ

身近なところで採れる植物が食卓を彩っていました。
それがどんなに豊かで贅沢なことだったか
今あらためて、有り難みがわかります。

コロナ後も、温故知新のフォレジングが
地球リズムで自然と親しむ
ライフスタイルとして世界的に注目される

フォレジングはもう何年も前に
スローライフが提唱され始めたころから
世界的な注目の兆しがありました。

現在は世界の一流シェフたちも
自然の中に自生する食物のパワーに注目し始めています。

たとえば世界NO.1に4回も選ばれた
コペンハーゲンの「ノーマ」。

この予約の取れないレストランのシェフ
レネ・レゼピは貧しい生い立ちで
子供の頃にお父さんとフォレジングをしたことが
シェフとしての原点になっているとか。

そして今、フォレジングは
コロナで一気にブレイクするのでは?
とわたしは考えます。

自然の中から採集した食材を使うことが
健康にも環境にも良い、さらには美味しい。

フォレジングが
環境問題に敏感な世界中の人々の間で
密かなブームになっているのもわかります。

わたしが今
フォレジングに注目している理由とは?

なぜフォレジングが面白いのか?
そして大切なのか?

それは五感をめいっぱい使い
身体を働かせるプロセスだから。

「大自然とともに在る」
と感じることができるから。

花や葉っぱの様子を眺め
匂いを嗅ぎ
手触りを感じ

安全そうだと思えば
ちょっとだけ齧らせてね、と語りかけ
おすそ分けしてもらう…

フォレジングとは、まるで植物との対話です。
自然の中であるがままに育った植物たち、
その生命を頂くことなんです。

つまり、わたしたちの野性味と繋がること。

食べることによって、大地のエネルギーを
そのまま頂いているような感覚があります。
まさに「与えられている」感覚。

必要なものは、その季節
身のまわりに豊かに在る。

わたしにとって、
「まるごとセルフケア」を実感する瞬間なのです。

安い・うまい・栄養満点!
フォレジングの底力とは

季節の山菜・雑草を食べることは
美味しいだけではなく、一石三鳥。

たとえば栄養面。
フォレジングしたものは地元の旬のものから少しずつ
ミネラルやビタミンなどの微量栄養素を摂ることを意味します。
サプリにお金をかけずとも自然な栄養を取れます。

ワイルドな植物を食べれば、新鮮な食べものが無料、
栄養や免疫の面でも心強いというわけです。

「安い・うまい・栄養満点!」

なんだか「Y野家」みたい(笑)

身土不二の哲学・地球と人間のつながり

身土不二という言葉があります。

わたしたちの身体と住む土地・環境は
切っても切れないものであること。

つまり

身体という小宇宙は
大宇宙である土地・環境・地球と
すべて繋がっていて
切り離すことはできない。

採集という食のありかたで
身土不二を体験することができるのです。

都会でもフォレジング
まずは身近な植物に気づこう

イギリスでは、ちょっと散歩に行けば

タンポポ
野生のニンニク
ネトルなど

食べられる雑草がすぐ見つかります。

皆さんのお住いの土地では
今のこの季節、どんな木や植物がみられますか?

摘んだものを食卓にのせる勇気がなければ
まずは五感を使って植物を観察することから。

もし食べてみたいと思ったら、
タンポポなどよく知っているものを手始めに。
本格的にするなら、図鑑を手引にして
安全なものを見分けましょう。

タンポポの花はビネガー漬けに。タンポポの葉は苦いので必ず湯がいて、他の葉ものと合わせます。

左:タンポポの葉とクレソンのサラダ。右:ワイルドガーリックでペストソース。

ちなみに野草・雑草には苦みがありますが
これがポイント!

まさにワイルドな味がします。
それを工夫しておいしく食べるのも季節の愉しみです。

その時のコツはレシピに頼らず、じぶんの感覚を信じること。
おなじ植物でも、時季や育つ場所によって味は変わります。

たとえば
ほろ苦いタンポポ

ごま和えでバランスとりたいなと感じたら
甘みを足してみてください。
サラダなら、苦味に負けない
ハニーマスタード・ドレッシングが合うかもしれません。
ぜひ味見をしながらお料理してみてくださいね。
(レシピが気になる方はこちらで)

そして

おこもり生活の新しい愉しみとして
まずは庭・公園・窓から
植物を眺めて、大地との繋がりを感じてみませんか?

英国人にとってブルーベルは桜のような花。ブルーベルが咲くところにはワラビが生えています。

 

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About Author

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ヨガセラピスト、アーユルヴェーダヘルスコーチ。がんフレンズネットワーク主宰。神奈川県逗子市の海辺育ち。2013年から英国ロンドンとコッツウォルズの田舎でのデュアルライフを実践。皆さんが「今・ここ、この季節のじぶん」に必要なセルフケアを選んで実践できるように、身体からのアプローチで習慣を変えるコーチングを得意とする。身体も心もアイデンティティも進化させるオンライン講座、メルマガやブログ記事を英国から発信中。大好きなものは、野草摘み(Foraging)、手作りスキンケア、海、オペラ。 インスタグラム:@mariko.yoga

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