破壊と再生のとき

2


ロンドンはここのところ、びっくりするような晴天が続いていて「ああ、こんな時期に旅行者の皆さんがこられるといいのになぁ」なんて考えてしまいます ^^   春から初夏にかけてのイギリスは文句なく美しいのです。

さて、ロックダウン5週目のイギリス。遠出はできないものの、好天のなか嬉々としてエクサイズに出かける人も多いと思います。SNSを覗いてみると、それぞれの家庭では美味しそうなお料理やお菓子が毎日続々とできあがっていて目と心で堪能させていただいています♪

散歩日和!

そしてそしてイギリス中の家庭では今、大掃除が行われているのではないでしょうか ^^   この国では伝統的に春に大掃除(Spring cleaning)する習慣があるので・・・人の家でありながら綺麗になっていく様子を想像するだけで、こちらまでスッキリとした心持ちになるようです ^^  不自由を感じるときもあるかもしれませんが、必ず終わりが来ることなので、今できることを楽しむしかないと思う今日この頃であります。

「Take me!」大掃除したら要らないもの出てきちゃう。

 

さて、先日当サイトに寄稿してくださっているナチュロパスの徳永ゆり子さんが、コロナウイルスに関連して、下記の記事をシェアしてくださいました。

「コロナとわたしたちの健康」
http://www.absolute-london.co.uk/alternative/holistic/29601

多くのリサーチと専門知識を必要とする大変な力作です。私はこの記事を読んで、いまコロナウイルスに対峙している私たち全員に必要な情報だなと直感したので、ちょっと振り返ってみますね。

長い記事ですが、ゆり子さんの論旨をまとめると、こういうことです。

人の健康は、確実に地球の健康とつながっている(逆も真なり)。様々な人間活動によって私たちの住環境がベストとは言い難い現在、人の健康が脅かされているのではないか。地球が弱くなることによって、人も弱くなっていくのではないか(逆もまた真なり)。

ゆり子さんはこう言います。

「建物の基礎部分がしっかりしていなければ、その上に安定した丈夫な家を建てることはできません。私たちにいま必要なのは、スーパー・サプリメントではなく、基本の強化なのです」

基本というのは「ボディ、マインド、スピリットの全てが、健康でいること」。

具体的には「快眠・快食・快便に加えて、適度な運動やメンタル面の負担を軽減するようなアクティビティを定期的に取り入れることです。インスタントなものに手を伸ばし、こういった本当に必要なことを放棄している人が多い」と、ゆり子さんは警鐘を鳴らします。

うつくしい季節。ピクニックの誘惑!

「特に慢性化している病気や症状(=慢性的に存在する負担)をお持ちの方は、年齢にかかわらず、基礎体力の強化や心身への負担軽減に取り組むことを強くお勧めします」とゆり子さん。

「理想としては、原因を探し当てて、問題の根源から改善することです」

ふだんの生活で、私たちは不調になると病院にかかろうとしますが、対症療法では根本的な問題の解決に繋がらないことも多く、やはり生活習慣の見直しや、メンタル面のケアに普段から気を配るなど、自分の心身の状態について日頃から気にしていることが大切なのではないかと思います。なぜなら症状には必ず自分しか分からない理由があるからです。

なんらかの不調があるとき、医師に全面的に自分を預けてしまうのではなく、医師の客観的なアドバイスを聞きつつも、自分で自分の生活やメンタル面のあり方について振り返ってみることをお勧めします。きっと医師が気づかない根本の原因に結びつく何かがあるはずなのです。それに気づくには、もしかすると深い自己探索が必要になるかもしれません。でも、やってみる価値はあります。

「3月半ばの時点で、新型コロナウイルスで亡くなった方の99%以上に持病があったという統計が出ています。このデータから、新型コロナウイルスが問題の核そのものというよりも、亡くなった人たちの患っていた病気など、負担となる要素が上限の真下付近まであったこと、そしてコロナ感染が個人の許容量を超す最後の負担となって加わったこと、などが伺えます。

健康な人が増えれば新型コロナウイルス感染に限らず、似たような状況で命を落とす人は減るでしょう。生態系の仕組み上、ウイルス vs 人間の場合でも強い方が勝者となるため、さらに弱くなる方向に向かっている場合ではないと思うのです」とゆり子さん。

その通りですね。普段から健康に気をつけて自分の免疫力を高めておくという当たり前のことが、いざというときに最も強力な対策となるのです。つまり

自分の健康を人任せにせず、自分の手に取り戻す。

そこが急務なのではないかと思うのです。

つい最近、当サイトで連載が始まったまりこラベンダージョーンズさんの「まるごとセルフケア」というコンセプトも、まさにこれです。そしてネモ・ロバーツさんが提唱している「ミニマリスト」という考え方も、メンタルヘルスを考える上で同じこと。人は自分の心身の健康を、自分で守ることができるのです。

私がイギリス情報を発信するウェブマガジンとして「あぶそる〜とロンドン」を立ち上げたとき、「オルタナティブな暮らし」というセクションを密かに設けたのは、隠れミッションがあったから。人が健康と幸せを当たり前のものとして享受するために必要な情報を、専門家のみなさんに発信していただき、少しでもお役立ていただきたいと思ったからです。大手メディアでは発信しない情報です。当サイトの謳い文句「未来志向のウェブマガジン」の由来は、実はここにあったんですね(笑)。

散歩の途中で見かけた街路の植え込み。色合いに一目惚れ〜。

いま、自分に最も近い人たちとともに過ごしている方が多いと思います。これまで見えていなかったことに感謝し、絆を深めているケースも多いことでしょう。一方で問題に直面している人たちもいます。どのような種類の問題であれ、これまで見て見ぬふりをしていたものに光が当たり、隠しきれなくなっているのだと思います。膿み出しの一種、と言っていいかもしれません。当事者同士で心をひらいて話し合いをしたり、周りの人や専門家に助けてもらったりしながら、それぞれに対処していくことで、どんな結果であれ、あるべき状態に戻っていくことができるのだと思います。

私たちの健康は、意識レベルで選択する心の在り方にも大きく左右されます。「メディアから流れてくる情報に右往左往し、不安を感じたりするよりも、この状況をある種のチャンスと受け止めて自分や人にとって有益なことをするかどうかは、わたしたち次第です」(ゆり子さん)。

仏教の考え方に「唯識」というのがあります。あらゆる事象は自分の意識の現れであるということだと思います。

これはある意味その通りで、いまコロナによって起こっている全ての現象は、それぞれが見ているままです。不安に映る人には不安な世の中だし、気にせず毎日を粛々と過ごす人たちにとっては穏やかな日々です。病院で働いてくださっている全ての方、その他のキーワーカーの方々にとっても、「唯識」であることの本質は同じです。どの意識レベルにいるかによって、見えてくる世界が変わるからです。

ゆり子さんはこう言います。

「対象が何であれ、個人の意識は集合体となり、社会的な意識や思考の進行方向を決定します。当然ながら、病んだ意識は病んだ方向に進み、無意識は誰かの意識に影響・誘導されます。健康的な考え方がもっと増えれば、健康へと進んでいきます。なぜ、意識的にいろんなことを選ぶ必要があるのかは、もうおわかりですよね」

まさにいま、意識チェンジのチャンスが到来していると言えるのではないでしょうか。

見たことないグリーンのお花。葉っぱ?

 

コロナはだから、ある意味で凄まじい意識浄化の役割を果たしている、と思っています。古い価値観を手放し、新しい世界観をともに生み出していく時期なのではないか。地球上の全ての人々に共通していることがあるとしたら、それは「変わらないものはない」ということです。この状況をどのように自分の意識が捉えていようとも、「何か新しいことの始まり」だということは変わらないと感じています。

アフターコロナの世界について、色々な人が考え始めています。短期的にみると様々な混乱や取り組むべき社会問題の発生は避けられないかもしれません。課題は、いかに取り組むかです。

下記リンクの記事にアフターコロナの世界についていくつかビジョンが提示されていますので、興味ある方は読んでみてくださいね。
ideas For Good
https://ideasforgood.jp/2020/04/21/profit-to-prosperity/

私が注目しているのは、地産地消と循環型経済への移行です。その基盤になるのは食料自給率100%の達成と帰農だと思うんですよね。先日、友人がこう言っていました。「今回 “職” を失った人は、“食” に戻っていけばいいのではないか」と。

人は土と接することによって本来の自分、人間性を取り戻していきます。自分が暮らす土地に育まれた食料をありがたくいただくことで、幸福度はいや増していくでしょう。幸せな生産者が作る農産物を、都市に住む人々もありがたくいただく。地球環境に負荷を及ぼさない道を選択し、経済を含め全てがうまく循環していく社会を目指す。

考えてみてください。その昔、私たちは自分が住む土地から500キロ離れている場所で、どんな生活が行われているかなんて想像もできない時代もありました(だから地域で完結していた)。今はメディアが地球の裏側のことまでレポートしてくれます。モノが行き来し、コミュニケーションも行われている今、グローバル視野で物事を考えなくて良いという時代ではありません。

しかしながら、消費活動は自分が住む場所が基盤となります。その最も小さな単位が自分・家族であり、その周りにコミュニティがあります。まずはそこから幸せにしていく。軸になるのは自分です。あなたが幸せで、家族が幸せであれば、隣人やコミュニティにも良い影響を与えるでしょう。すぐれたコミュニティの力は、やがて大きな声となって地球の裏側にまで届く時代です。

目に見えないネットワークで皆がつながっている今、個人が無力だという時代は終わりました。一人ひとりが意識をととのえ、声をあげ、実行していくことで社会が変わっていく。そう思って間違いないと思います。「上から下へ」ではなく、下から上を変えていく時代なんですよね ^^  そして愛しの地球を救う。

人と地球は切っても切り離せない関係です。地球あってこその命です。地球環境を守り、そのパワーを取り戻すことにより、人間も力を取り戻すことができる。そう信じてやみません。

 

Share.

About Author

アバター画像

岡山県倉敷市出身。ロンドンを拠点に活動するライター、編集者。東京の文芸系出版社勤務、雑誌編集・ライターを経て、1998年渡英。英系制作会社にて数多くの日本語プロジェクトに関わった後、2009年からフリーランス、各種媒体に寄稿中。2014年にイギリス情報サイト「あぶそる~とロンドン」を立ち上げ、編集長として「美食都市ロンドン」の普及にいそしむかたわら、オルタナティブな生活、人間の可能性について模索中。著書に『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房) 『ロンドンでしたい100のこと』『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし 365日』『コッツウォルズ』(自由国民社)。NHK文化センター名古屋教室「江國まゆのイギリス便り」講師。MUSIC BIRDのラジオ番組「ガウラジ」に月一でゲスト出演。チャネリングをベースとしたヒーラー「エウリーナ」としても活動中(保江邦夫氏との共著『シリウス宇宙連合アシュター司令官 vs.保江邦夫緊急指令対談』もある)。Instagram: @ekumayu

ウェブサイト

2件のコメント

  1. アバター画像

    まりちゃん! 
    同志がいて心強いよ〜ありがとう! 
    地球の自浄作用としての意味合いは強いと思います。
    そしてまさに死は誰にでもやってくる。当たり前のものとして。
    愛する人を失いたくないと言う気持ちは人間として当然のものではあるけど
    死が良くないという認識も、少しずつ改めていく必要があるのではとも思うのよね。
    まりちゃんが言うように、全体の中の私たちであることを思い出す必要があるんだよね ^^
    お家生活、楽しみましょう!♡

  2. まさにそう思っていたよ、まゆちゃん!
    ゆりこさんやまゆちゃんの前向きな記述には程遠いけど、私の印象では、このコロナって種の保存としてのふるいなのかもしれないって。
    生まれくるものは、必ずいつか死んでいくからね。それが人間という種であったり、地球上に暮らす全ての生きとし生けるものと言う意味で、いつかは退廃していく。惑星もまた、宇宙という大きなカテゴリーの中には、それに等しい。我ら人類が何世紀生きようとも、これは大きな歴史で言えば一握りの時間でしか無くて、いずれは消えていく。
    だからこそ、ジタバタせずに種としての生き残りを決意することが、今出来ることなんだろうな、と。
    まゆちゃんの言うように、ずっと続くわけじゃないから、もう少しだけお家暮らし、楽しもうね!

Leave A Reply

CAPTCHA