
Sohoで14年にわたって愛されてきた地中海レストラン「10 Greek Street」が、ついにその歴史に幕を閉じることになった。本日の土曜日、8月8日が最終サービス。私は木曜日にギリギリ滑り込み、その有終の美を見届けることができた。
ニュージーランド人シェフ、キャメロン・エミラリーさんと、マネージャーのルーク・ウィルソンさんが2012年2月にオープンした10 Greek Streetには、ロンドンの外食シーンに対していくつもの功績を残した。
まず「ヨーロッパ居酒屋」の先駆けとなったこと。重くなりすぎないヘルシーな地中海料理と、選りすぐりのブティック・ワインを合わせたスタイルで、すぐにロンドナーたちの心を掴んだ。コース料理ではなく、軽く飲んでつまめる賑やかな居酒屋として親しまれたのだ。
次に「小皿料理」の先駆けであったこと。上記と少し重なるが、この頃からロンドンで「small plates」レストランというカテゴリーが注目を集め、その人気店として名を馳せた。
三つ目としては「ウォークイン・オンリー」という業態を採用したこと。途中から予約も取るようになったようだが、気軽に立ち寄れるカジュアル店としての矜持が、ここでも感じられる。
そして良心的な価格設定。私自身、もう何年も足を向けたことがなかったのだけれど、驚いたことにクオリティが創業時と変わらないだけでなく、お値段もほぼ据え置きのような印象で、あまりの良心的な価格に「少しくらい値上げしても誰も文句言わなかったのにな」と感じてしまったほどだ。

木曜日にお邪魔した際の一皿。味のセンスが絶妙。こんな軽めの地中海小皿を、良心的な価格で提供。

季節のスイカに、グリーンオリーブやフェタチーズを合わせたフレッシュな一皿。家でもできそうだけど、やはりレストランでいただくと味が違う。
このお店を定期的にウォッチングしていたのには、実は別の理由もある。
私の最初のロンドン・ガイドブック『歩いてまわる小さなロンドン』(大和書房)で紹介させていただいた、大切なレストランでもあるからだ。取材時のことが、つい最近のことのように蘇ります^^ その節は本当に、ありがとうございました。

初版は2010年9月刊行なので、2012年創業の10 Greek Streetは、その後の増刷時に加わっています。
ロンドンでは毎日のように新しいレストランが立ち上がっては、閉じている。そんな中で、この10 Greek Streetは、私にとってレストラン評論の原点のような店であり、大好きな店であり、「ロンドンらしい店」だったなぁという思いから、トリビュート記事を書いている次第。クローズしてしまうのは、とても残念! 正直、そんなふうに思える店ってなかなか少なくなってしまっているんですよね・・・
今日の最終日に際して、オーナーのお二人がこんなふうにインスタグラムでコメントされています。感無量。
あぶそる〜とロンドンでは、レビューを下記のようにサイト立ち上げ時に掲載しました。
同じチームがかつて「8 Hoxton Square」⤵️も手掛けていました。
Soho内のレストランって、5年くらい前からどんどん入れ替わっている印象があるのだが、今回の10 Greek Streetもスタッフさんのお話だと、賃料やコスト高が主な理由とのこと。これはすごく納得。もちろん人件費の高騰も!
しかし木曜日に仕入れた情報では、チームはどうやらイングランド中部、ノーサンプトンの北側Braybrookeという場所で、2018年からビール醸造所兼タップルームを運営しているんだそうだ。
Braybrooke Beer Co.
https://braybrookebeer.co/
ノーマークだったのでチャンスがあれば行ってみたいな。だって、10 Greek Streetのチームが手掛けているならきっと、間違いないから^^
彼らがまたロンドンで何か面白いプロジェクトを立ち上げるなら、ありがたい限り。それまでチームに静かに感謝の気持ちを捧げつつ、豊かな気持ちで待っていよう。
さらば10 Greek Street、そして、ありがとう。