
ロンドンにもようやく1ヵ月以上ぶりにちゃんとした雨が降り、気温も急降下。例年通り秋っぽくなってまいりました。植物も動物も人間も、ホッとしております。
ロンドン秋晴れの本日、ご紹介したいのはホットな夏にも寒〜い冬にも食べたい、スリランカ料理! ロンドン・ブリッジのバラ・マーケット内のトレンディ店ということもあって、2023年春のオープン以来、予約の取れない人気店として君臨してきました。

ランブータン。いい名前ですよね。
ロンドンで本格的なスリランカ料理というと、ちょうど10年くらい前に創業した「Hoppers」が先駆け。インドやパキスタン、バングラデシュの料理に押され気味だったロンドンに、新たなスパイスとカルチャーを持ち込んで話題になりました。私もスリランカ独自のお米の食べ方(米粉を使ったヌードルやパンケーキ)に目を見開かされたお店でもありました。
こちらの「ランブータン」は、そういった流れにも刺激され、英国育ちのスリランカ系女性シェフ、シンシア・シャンムガリンガムさんが立ち上げたお店です。もっともHoppers以前からレストランの構想は温めていたようですが。

独特の活気があるバー周り。ロンドンはこうでなくちゃ。
私が「ランブータン」の存在を知ったのは意外と最近で、業界の知人から「予約が取れない店」として紹介されたことです。それでウェブサイトやインスタグラムをチェックしたりしてたのですが、今ひとつ全貌がオンラインからは見えてこない。それでこの夏に実際に訪れてみたら・・・嬉しい驚き!そこには、今のロンドンの外食シーンに必要な全てがありました。
ロンドナー大好物といえば、活気あるバーとオープン・キッチン。高い天井の倉庫風スペースに、スリランカの民族的なオーナメントやしつらえ・・・。スリランカ風のモダニズム建築を取り入れているインテリアなのだそうです。これがすごくクール。そこにウォークインも含めた大勢の客がひしめいて、独特の「バズり」を醸している。ザ・ロンドンという感じです。

ランブータンやジャスミンで香りづけしたミニ・マティーニ「ランブティーニ」は冷た〜く冷やして♡
まず前菜セクションから選んでいただきたいのが、まるでたこ焼きのようなこちら! 発酵させたお米と豆の生地を、小さな丸いボール状にして焼き揚げた「gundu dosa」(丸いドーサ)。青唐辛子の効いたコリアンダー風味のサンボル・ソースを添えていただきます♡ モチモチっとしていて、クセになる美味しさ。ソースは爽やかな辛さであります。

これは楽しい!おつまみに最適。
その他にいただいたのは、お口をリフレッシュしてくれるヘリテージ・トマトのサラダ。上にゴーヤのような野菜のフライが乗っかっていて素敵なアクセントに。そしてネクタリンのレッド・カレー! ソースはサラリとしていてカレーリーフなどで香り高く、初めて食べるフルーツ・カレーの美味しさ。ある程度の辛さはありますが、どんどんイケます。何層にもなったバター・ロティを合わせました。
メインにはサフラン・チキンのライス「Saffron chicken pongal」。ポンガルというのは、米と豆を柔らかく煮込んだ料理。お米は柔らかく、チキンはジューシーで、スリランカ風リゾットのようにいただける一品で、お腹いっぱいになります^^

左がネクタリンのカレー。右がトマトのサラダ。

チキンのポンガルはボリューミーで止まらなくなる美味しさ^^ 右がロティ。ちょっとちぎってしまっていますが^^;
ランブータンではロンドナーも大好きな炭火・直火料理も取り入れていて、肉や魚、野菜のグリル料理もあります。今回は2名で訪れたのでごくわずかなメニューしか試せなかったのですが、3〜4名で訪れるとかなりお安くバラエティを楽しめると思います。
オーナーのシンシアさんは、インド圏からの移民が多いコヴェントリーで生まれ育ったスリランカ系。ご家族はスリランカ北部のタミル人地域のルーツだそうです。なので幼い頃から家では本格スリランカ料理が食卓に! 大人になってスリランカにある家族の村を訪れた際に、近海で獲れた新鮮なカニや魚、庭から摘んだカレーリーフ、ココナッツ、挽きたてのスパイスなどに触れて、レストランの構想が具体化したとのこと。
シンシアさんはフード関連の仕事をしながらポップアップや屋台などを手がけ、2018年頃にはすでに開業の準備を進めていたのにロックダウンによる挫折を経験。しかしその間になんとスリランカ料理のレシピ本を執筆・出版するという躍進があり、友人・知人を含めた約30人の投資家を集め、2023年のオープンに至ったそうです。背後にある歴史と後押しがすごいですね^^

見た目は素朴ですが、郷土料理への深い理解と、現代の技術が融合した良店という印象です。お料理は本当においしかった。
キャッチ・フレーズは「Sri Lankan diaspora cooking」。ディアスポラというのは「移民・越境」という意味。つまり「スリランカ人移民が、ロンドンで創るミックス・カルチャーの新スリランカ料理」といった感じでしょうか。だから食材もスリランカ産にこだわらず、ロンドンで手に入るさまざまな食材を使う。
北部スリランカ文化/タミール料理をベースに、移民文化、植民地の歴史、英国の多文化性が混ざったロンドンらしいカルチャー・ハブでもあるんです。ロンドンだからこそ生み出されたお店。その哲学が、他ではあまり食べられない独自のメニューや、インテリア、客層などに現れています。ぜひ皆さんもバラ・マーケットに行かれたら立ち寄ってみてくださいね。